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神とともに歩む者  作者: mikibo
国外渡航編
72/98

湖上の…… 3/4

ご都合主義が少々含まれますので

あらかじめ御了承ください。

「ぜぇぜぇ、もう駄目だ」

「私も動けません」

「何で私まで……食べた後の運動は無理よ……」

「自業自得だ」


出航寸前で、間に合った。


「お茶でもどうだ?……うぐっ……すまん、横になってくる」


出航したばかりなのにいきなり酔った柚木に皆の同情の視線が集まる。


「酔い止めの薬です。時間があったので買っときました」

「おう、助かる」

「苦いので気をつけてください」


明が薬と柚木のもってたお茶を交換し、柚木はよろよろと船室に向かっていった。


「さて、別の船室に行きますか」


俺たちに割り当てられた2部屋のうちの柚木のいないほうへ入る。


「……『天羽』……これで大丈夫だ」

「さて、作戦会議です」

「といっても何するんだ? 来たら倒すしか選択がないだろ?」

「そうね」

「でも、今回は襲ってくることないんじゃないか?」


先日の渚との会話では、確か……


「手当たりしだいだろ? 俺たちの情報がそこまで早く伝わるはずがないと思う」

「確かにそうね。だけど、安全ってことにはならないんじゃない?」

「そうですね、私たちの情報が以前より漏れていた場合も考えられます」

「私も島で情報を集めてきたのですが、島に来る船で嵐に襲われたのは私たちを含め2回」


年中穏やかな気候のはずの湖。

そこで2回も嵐があったと考えるのは、故意というには十分。


「その上、おそらく逃げたやつの中にわれわれの正体に朧げに気づいたものがいたのでしょう」

「なんかあったのか?」

「はい、嵐のことを尋ねて回っていると後ろからつけてきていたのが2人」

「ただのスリとかじゃなくてか?」


ただの偶然ではないか?


「その可能性も否めませんが、スリなら後ろからつけません。前から突っ込んでいったほうがいいですから」


確かに体は後ろに向かうようにはできていないからな……。


「ってことは、俺たちは警戒されているわけだ」

「厄介ね。早いとこ向こうに着きたいわ」

「そうですね、海の上は行動が制限されすぎています。陸に上がるまでは逃げるという選択肢が選べません」


千花の分析も入る。



「どうする? 前回のように夜ならまだしも昼とかに来たらやばいだろ?」

「しかし、失敗した襲撃を再びやるのは愚考でしょう」

「別の手で来るってことか?」

「そうだと思います」

「相手が何考えてるかわからん以上、俺たちは船に乗ってるしか出来ないんだがな」

「最悪、あんたが空飛べば……」

「途中でおちるぞ」

「使えないわね」


腹立つ、この大陸の距離知らんのか!


「知ってるわよ」

「なら言うなよ! ってか心読むなよ!」


昼過ぎまで他愛もない口喧嘩を展開する。


「はあはあはあ……やるわね」

「ぜえぜえぜえ……お前こそ」


……しんどい。


「……おや、誰か来たようですね」

「そのようですね」


明と千花の呟きの後にノックがかかる。


「どうぞ」


千花の返事と共に扉が開く。


「失礼します」


入ってきたの角の生えた人―鬼族―だ。


「あのつかぬ事聞きますが、この船って法国行きですよね?」

「違うのか?」

「いえ、ならいいのですが……」

「何かありました?」

「太陽に向かって進んでいるので少し気になっていただけです」


千花の質問に帰ってきた答えを理解するのに時間がかかる。


「って、おい! この船南に行ってるってことか!?」

「そう言う事になりますね」


明が甲板に出ていった。

しばらくして、


「私にはそうは見えなかったのですが?」

「気の所為だったのでしょうか? 他の人にもそう言われました。すいません、お騒がせしました」


『主が見に行って見てはどうじゃ?』

『俺が行ってどうなるもんでもないだろ?……いや』


ある可能性に辿り着いた。


「ちょっと出て来る!」


甲板に飛び出して空を見上げて目を切り替える。

そう、魔力を見る目に。


「ちっ! そういうことかよ!」

「何かあったの?」


後ろからでてきた美咲と明がついてくる。


「銀色だ!」

「何いってるの?」

「つまるところ……『天破』!」


何かが砕け散るような音。


「……幻だ」

「その可能性を失念していました」



船員の動きがあわただしくなる。

しばらくして


「すいません、お客様。この船は一旦帝国によります」


なぜだ?

そのまま行けばいいじゃないか?

同じことを思ったのか美咲が船員に尋ねている。


「何か食糧庫がネズミにやられて、全く足りないらしいわ」

「ネズミね……どう思う?」

「胡散臭いですね」

「おそらく、何者かの仕業ではないでしょうか?」


明も船員と二言三言かわす。

そして、考え込んでしまった。

しばらくして、


「気になる事が一つ。さっきの子はなぜ私たちの部屋に来たのでしょう?」

「何故って手当たり次第に聞いてたからじゃないか?」

「僕たちの部屋は甲板からかなり遠かったはずです」

「そうね、手前に5つくらい部屋があったはずよね?」

「普通なら、2,3部屋回っただけで諦めるでしょう」


確かに


「それに、真上の太陽を見られると言う事は甲板にいたと言う事です」

「そうか、聞くにしたって甲板にでてる人は少なくないはずだ!」

「その上、乗員名簿には鬼族はいなかったそうです」


おいおい、何者だよ……?



波乱は続く

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