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神とともに歩む者  作者: mikibo
学園入学編
64/98

初授業は遠い 上

投稿を始めてから1年が経ちました。

読んでくださってる方々、本当に感謝です。


ではでは本編です。

目を開ける。


「……学園に来てまで気絶するとは予想外だったぜ」


呟きながら、見回す。

全体的に白で統一された空間。

ベッドも白、枕も白、カーテンも白。




俺の存在が浮いているように感じる。




そんな感覚から逃れるためにカーテンを開く。


「おや、目覚めたようだね。そこにお前さんの武器は置いてあるよ」


気配はなかったはずなのに、声がかかった。

周りに目をやると、壁に渚が立てかけられている。

それを手に取り改めて声の主に目をやる。



……?



白衣を着た小柄な少年である。




「幻……か?」

「違う。お前さんの目も耳も正常だよ」



明らかに姿と声が一致していない。

見た目は子供なのだが、声が初老の人のそれである。


「お前さんはよく怪我するよの?怪我じゃなくて魔力枯渇だったかな?」

「そうですね。で、ここは保健室でいいのですか」

「正解」


ついつい丁寧な言葉遣いになってしまう。

そんな威厳を感じさせるこの人が裏の校長でも俺は納得するだろう。



ここで、

いきなり鐘の音が響く。

校内図にも乗ってなかったし、これも魔術なのだろう。


「1限目も終わったようだね」

「なるほどそのための合図ですか」

「正解、保健室所属の蓮という。いつでも来るといい、と言いたいところだができるだけ来ないようにね」

「ありがとうございました」

「どういたしまして」


扉を開き外に出る。

ここは、教育塔の1階である。


「俺ってこんな早くにくる必要なかったんだな」


俺の授業は午後からである。

ということで、俺はこの学院からにg……


「待ちなさい」


後ろから声がかかる。


うげっ……。

この声は副校長。


声に出したら間違いなく何か言われる。


「何かとはなんですか?」


……俺の安住の地は何処いずこ

何でみんな心読むんだよ!


「さあ?」

「もういいです。で、何のようですか?」


さっきの蓮さんとは別の意味で丁寧になる。


「いえ、先程はすいません」

「は?……いえいえこちらこそ。結界まで破壊して」


突然の謝罪に動揺した。

って言うか何?

これって罠なのか?


「窓ガラスによる被害はとりあえずなかったので、不問とします」

「へ?」

「ただし、結界を破ったのには罰則があります」

「はあ……」


何だ?

学園中掃除か?


「これをつけなさい」


渡されたのは細い紐。


「え?」


何が罰則か理解できないまま手首で結ぶ。

それと、同時に体が重くなったような気がした。

いや、確かに重い。

というより、だるい。

動きたくないという倦怠感が、俺を襲う。


「これは?」

「無気力結界の小型化したものです。効果もその分落ちていますが」

「はあ……いつまでつけていれば?」

「2週間です。緊急時のみ限定的な解除を認めます」


これで依頼受けても大丈夫なのか?


「慣れれば、大丈夫のはずです」

「そんなにたやすく読まれたら心が折れそうです」

「頑張ってください。私はこれで……」


俺の愚痴を華麗にながしてきびすを返す。

靴音が遠ざかっていった。


「ああ、動きたくないな……?あ、どうやって解除するか聞いてないんですが!」


もはや、誰もいない廊下に響く。


「魔力こめるだけなのですよ」

「のわっ!」


振り返ると校長先生が立っている。


「心臓に悪いんだけど?」

「病気なのです?」

「あんたのせいだ。で、魔力こめるだけって?」

「校長をもっと敬うのですよ」

「それに見合うことをしてくれ。で?」

「むぅ……。魔力で結界を破るんですよ」

「なるほど。それじゃあ……」


今すぐ


「何考えてるのは想像つくです。おすすめはしないです」

「何故に?」

「みだりにやると鶫に罰せられますです」

「……おお」


危ない危ない。

……死ぬところだった。


「それじゃあ、俺はギルドに行って来る」

「気をつけるのですよ」


外に向かって歩き出す。


『ふむ、これなら2つまでなら具現化しても大丈夫じゃろ』

『そうなのか?』

『うむ。それでも、限界まで使えば無理じゃろうがな』

『ちなみにどれくらいの強度だ?』

『量産型の武具程度なら耐えるじゃろうが、鍛冶屋の一点物なら即プチンじゃな』


枝に引っかかった程度では切れないということだろう。





扉を開ける。


「3階まで直したんですね」

「大変だったのよ」

「主に僕が……ですよ」


光と冬樹が返してくる。


「思ったんですが、他の人たちと会いませんね」

「当然よ。この時間はほとんど人が出て行ってるって言うのもあるけど、ギルド員そのものが少ないからね」

「入るときの試験で大方落とされるんだ」


あれか……。


「で、何人くらい何です?」

「52人よ。君たちが入って55人。あの姉弟はまだ試験受けてないから数には入れてないわ」

「それでも結構多いじゃないですか」

「翔君、何か忘れてないかい?」


ん?


自分の記憶をあさる。


「あ、世界で?」

「そうよ。一応、ここが本部ってことになってるけど、ほとんど人員が足りないから均等に分かれているわ」

「でも、このギルドってこの国で認可されたんですよね?」

「他の国でも認可してもらったわよ。初めは私たちの4人がばらばらでいたのよ」

「僕は西で、龍炎は南、麻奈花は北だったんだ」


へえ……。


「まあ、そこら辺は置いといて、会わない理由はわかった?」

「なるほどね」

「ちなみに、麻奈花の隠密情報部が10人だから実際はもっと少ないんだけどね」


さて、理由も理解できたので、依頼でも受けるか。



--------------------------------------

轟草とどろきそうの採集』


受付ランク:F

依頼者  :☆1カルティア道具屋の波崎

内容   :爆音弾に使う轟草の実が欲しい



報酬   :10個につき銅貨3枚

分布   :ソルベーユの森


--------------------------------------



あれ?


「これまだ残ってたのか?」

「あ、それね」


光がペンを手に取り、書き換える。



--------------------------------------

轟草とどろきそうの採集』


受付ランク:■ C

依頼者  :☆1カルティア道具屋の波崎

内容   :爆音弾に使う轟草の実が欲しい



報酬   :10個につき銅貨3枚

分布   :ソルベーユの森


--------------------------------------


「なんかあったんですか?」

「なんでも、レッドウルフが確認されたんだって」

「レッドウルフ?」

「赤い毛色した魔物なんだけど通常のファングウルフと違って炎を使うのよ」

「大きさも2周りぐらい大きいんだ」


そうじゃなくて、


「何で残ってるんだ?」

「報酬が変わってないからよ。うちのCランクなら大体1日で銀貨8枚は稼げるのよ」

「銅貨3枚程度じゃ動かないか。爆音弾の有用性は?」

「結構高いわよ。聴覚の発達した魔物なら良く効くわ」

「それじゃあ、駄目なのか?」


余った分で作ってもらう。


「その爆音弾いくらか知ってる?」

「見てないな」

「銅貨5枚」


その返答に納得する。


「普通なら買うか」

「そういうことだ。ま、レッドウルフの毛皮の有用性は高い。うまくやれば、儲かるかもな」


どうするか、一瞬考えたが依頼の紙を手に取る。


「これを受ける」

「頼んだわよ。場所はわかってる?」

「西の港町へ行く途中だって聞いたが?」


前にここで千花が説明してくれていた。


「どんなものか知ってる?」

「本で見たからな」

「大丈夫みたいだね。ま、気楽に行ってきてよ」


姿が消える。


「え?」


魔力を見てもどこにいるかわからない。


「冬樹のは魔術じゃなくて、技術。気配をごまかす事にかけては天才よ」


いつもは手を抜いているということか。

だから、あの森の時も気づかなかったのか。



まあ、いいか。



依頼受領書と渚を携え、外に出る。

朝の涼しげな空気も昼に近づき生温くなっている。



時間もないので王都を出たところで走ることにする。

温かい気温と髪で首が暑い。


髪止めに使っていた紐を解く。

それと同時に髪が風に乗って広がる。




涼しい。






森に近づくと集団がいる。

どうやら、兵士たちらしい。

さらに近づく。


「入れないのか?」

「嬢ちゃん、親はどうしたんだ?」

「俺は男だ!」

「そうか、そうか。現実に気づく時が来るさ」


殴っていいかな?


「これ依頼の受領書なんだけど?」

「どこから盗ってきたんだ?早く返してきなさい」


……埒が明かない。


と、

ここで視界に見知った人を発見する。


そして、ここで俺は失態を犯す。


「梓ちゃんだ……あ」


ついつい言ってしまった。

周りの兵士も固まっている。

震えている者までもいる。


やべ、これはやらかした。

さて、この結界を壊さず、逃げることはできるだろうか?

壊せば、副校長からも追われるという悲劇。

ここは大人しく……。


「あなた、私と会ったことある?」


こっちに気づいていないので、ごまかそう。


「いえ、ないです」


もちろん、渚に聞いて風で声は変えている。

さっきの兵士にも元の声を聞かれているが女と信じているので問題ない


……と、思いたい。


「でもさっき……」

「あそこの兵士さんたちから聞いたんです」


俺のために死んでくれ。


「な、そんなことは言ってません!」

「私にこんな可愛い子を疑えというのかしら?」

「しかし……」

「……今回は聞かなかったことにしましょう。この子は私に任せなさい」

「は!」


戻っていく。


「どうしたのかしら?……翔?」


うそ!?

何でばれた?


……あ


「その刀は、魔剣の類なんでしょ?当然一品ものよね?それにジャケットそんなものがそう何個も市場に出回ってるわけないわ」


終わった……。


「ま、いいわ。今回は勘弁してあげましょう」


ほっ



「次はないからね」

「はい!」


思わず敬礼。


「で、どうしたの?」

「これを……」


依頼受領書を見せる。


「なるほど、分かったわ。無魔術『通行パスゲート』」

「な、なんだ?」

「ここら辺一帯は私の結界で覆っているから、これで通れるの」

「どうも」


強堅の盾の名は伊達じゃないってことか。


また、森に向かう。


止めようとする兵士たちはすべて無視。

っていうか、梓さんも部下たちに言ってくれればいいのに。


肩をつかまれそうになったので、体を沈め走る。


一瞬何かにぶつかるような感じの後、通過する。


何やら、梓に怒られている。


『お前たち、相手が女だから油断したな?甘い!この国で最強の魔術師は女だ!王族が下ろされたときになんと言うんだ?「女だから油断してました」、か?そんなものは言い訳に過ぎない!』


ここで一呼吸。


『あいつは男だぞ?外見にだまされているようじゃ駄目だ!全員訓練を2倍にする』

『あれが男だと?』


読唇術を使って読み取った。


「おいおい、俺は訓練に使われたのかよ」


と、同時に渚を振る。


「ったく、油断も隙もないな」


体に渚が直撃し吹き飛んでいく。


ウルフである。

だが、毛皮は赤くなかった。

恐らくあれが光の言っていたファングウルフなのだろう。








俺はそのまま森の奥へと向かった。




作者の能力値の低さが露呈してきたので、

一話を4000字位にしようと思います。


これで密度が上がるはず

……いや、上がるといいな

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