表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神とともに歩む者  作者: mikibo
学園入学編
60/98

いきなり一騒動

貴族階級は『陽』>>『月』>『星』>『光』>『翼』です。


月は

春は、芽の月 花の月、葉の月。

夏は、雨の月、暑の月、雷の月。

秋は、風の月、紅の月、落の月。

冬は、雪の月、寒の月、氷の月。


前にも入れましたが、一応。



花の月1日月曜日 入学式



立てられている看板通り、進んでいく。

目の前に現れたのは大きな講堂である。


俺たちは扉を開けて中に入る。

来ている人はまだ少なかった。


「皆さん学生証は受け取ってますです? 受け取ってない人は私の話が終わった後に取りに行くです」


校長が講堂の壇上に上がって、言っている。



しばらくして、前列のほうに人が集まりだした。



「皆さん集まったようなので、入学式始めるですよ」


司会はいないのか?

っていうか、いつも一緒にいる人はどうしたんだ?


「えっとですね。これから皆さん頑張ってください、以上です」


は?

終わり?

もう?


だいたい、100人くらいだろうか?

会場にいるやつらもどよめいている。

数えられるが面倒なので放置。


「皆さん、終わりハァブ!」


飛んでいく。


「皆さん、うちの校長がお騒がせしました」

「何するんです? 私のかわいいボディが壁にめり込んじゃったんですよ!」


会場がまたどよめく。

当然か、目の前で転移を見せられたらあせりもするな。

っていうか、壁にめり込むほどの蹴りで怪我してないってのもすごいよな。


「ただいまより、第157回の入学式を始めます」

「無視なのです!?」

「初めに校長からの挨拶です(へんなことしたら昼ごはんのプリンは無しですよ)」


読唇術をやって不覚にも笑いそうになった。

危ない危ない。

っていうか、校長プリン好き過ぎるだろ。


「い、今までのは無しです。この建物気づいた人も多いと思うのですが、改装工事を行ったのです」


ふーん。

あんまり俺には関係ないな。

どうせ地図見なきゃわからんしな。


「後で、在学生……あ、ここ新入生しかいなかったのです」


まぁ、そりゃそうだ。

だいたい、改装工事したんなら在学生にも連絡が言ってるはずだしな。


「担当の先生はクラスに言ったときにわかるのです」

「(早く進めないと明日の分も取り上げます)」

「……み、皆さん、あなたたち96名は新しくこの学園に入学してきましたです。身分が違う、種族が違う、国籍が違う、そんなものはこの学園では一切関係ないです。自分の進む将来に向けての勉学や修練、国民を知るための社交や活動、自分の身を守るための魔術や武道など、皆さんがそれぞれの目指すものに向かってがんばって欲しいのです。以上で、終わるのです。質問はあるですか?」





「先生は何歳ですか?」


どこかから声が上がる。


「見ての通りなのです」


判断しずらいんだが。

身体的に見ると8歳。

だけど、今まで校長やってきたからそれ以上のはず。

わからん。


「先生は何代目ですか?」


何の意味もない質問




……のはずだった。



だが、

「初代なのですよ?」


その一言は、この講堂にいる人たちの度肝を抜いた。


「あ……へぶっ!」


今度は床にめり込んだ。

っていうか、見た目全く関係なかったよな?

あれで、157歳以上ってことは無いだろ。


「校長がお騒がせしました。あれは冗談ですので聞き流しといてください。私はふざけすぎた校長にちょう……いえ、おしお……あ、注意しておきますので(プリンは無しですね)」


(最後の言葉に)うなだれた校長を引きずって出て行った。

今、調教とかお仕置きとか言いかけたように見えたんだが?

いなくなったことにほっとしてしまう。


「あ、申し遅れましたが私、生徒指導部長兼副校長のつぐみと申します。これから、皆さんと指導室で会わないことを祈ります。それでは」


ぬわっ!

出て行ったのにすぐに戻ってくるとか心臓に悪い。

代わりに男の先生が壇上に上って行く。


「あぁ、生徒会執行部責任者兼管理部長の須佐すさだ。皆はやり過ぎないように学園生活を頼んでもらいたい。後で、皆、寮の申請をしてくれ」

「俺は家から来てるんだが?」


尊大な態度で答える生徒はおそらく貴族だろう。


「ふむ、行事で帰れないときや、徹夜した者たちがでたときへの対応でもある」


なるほどな。


「だから、図書館とかでは寝るなよ」


もうすでに階段を下りつつある。


「……執行官もとい魔女が来るぞ」


そのときみんなの頭に副校長の顔が浮かんでいたと断言できる。


「なんか私仕事が無かったので、最後だけ仕事をさせてもらいます。今回の司会をやる予定だった論述学担当のこうです。また後ほどお会いしましょう。皆さんは自分のクラスに行って下さい」


座っていた俺たちは動き出す。


「Aクラス以外はくずだよな」


大声で叫ぶのは貴族だな。

周りから嫌悪の視線を集めている。

まぁ、俺には関係ない。

講堂を出ようとする。


「おい、お前何クラスだ?」

「Fだが?それがどうした?」

「お前みたいな落ちこぼれのくずの平民が『光』貴族の俺より先に出ようとするな」


はぁ、馬鹿なのか?


「さっきも言われただろ?話聞いてたか?ここでは身分は関係ないんだとさ。人間的にクズな貴族様?」

「貴様、いい気になりおって! 覚悟しろ! 貫き 燃えよ 火魔術『炎槍フレイムランス』!」


なんとも挑発に乗りやすいやつだ。

その程度の速度と制御力で俺が倒せるわけが無い。

と、同時に感じた予感に横に飛ぶ。


それと同時に爆発が起きる。

余波で巻き込まれることは無かった。

……俺は・・


明の手からは血が流れている。

爆発で飛び散った床の破片で切れたらしい。

だが、あの程度のことで明が怪我を負うはずが無い。

あいつは動けなかった生徒をかばったのだ。


「……貴族ってのはそんなに偉いのかよ?……」

「なんか言ったか?あいつもどうせ。Aクラスには入れなかったクズなんだろ」


その言葉で、俺の中で何かが切れた。

俺の手に雷が集まってく……


「ぐは!」


横っ腹に美咲のとび蹴りが炸裂した。


「何しやがる!」

「暴れるんじゃないわよ!」

「……すまん」


危うく、隠すと決めたばかりなのに初日でぶち壊すところだった。


「燃えよ 喰らえ 飲み込み 溶かせ 火魔術『昇炎イラプション』」

「空魔術『遮絶シェルター』」


下から湧き上がってきた炎。

俺を貫通しているはずなのに、熱さは無い。


「な! どういうことだ?」

「勉強不足だね。次元をずらしてるから、当たらないに決まってるじゃないか」

「私、先行ってますね」


千花が出て行こうとする。

うわ、怒ってるよ。

この子が自分から喧嘩売りに行くところはじめてみたかも。

視線の先の背中から怒気が伝わってくる。

当然のごとく、飛んできた炎槍を背後を見ずに聖布で切り裂く。


「その程度ですか?」


喧嘩買われたら更に売って出て行くって……。

どうやってなだめるか考えながら、柚木に礼を言う。


「まあ、柚木助かった」

「いらん、おせっかいだっただろうけどな」


こいつよく見てやがる。


明の周りで、騒ぎが起きているため、まだ血が出ている。

気で直せばいいのにと、目で合図する。

首を横に軽く振って、視線であいつを指す。


なるほど、大馬鹿貴族あいつに手の内をばらしたくないと?


「何やってるの? どきなさい」

「でも、血が、血が出てるんです」

「治療する側が落ち着かなくてどうするのよ。水魔術『快癒ヒール』」


こっちも当然のごとく、一瞬で治療が終わる。

魔術だから種族はばれないと思うが自重しろよ!


「美咲さん、すいません」

「馬鹿に効く治療法なんて無いわよ」


明が笑う。


「さて、いきますか」

「俺も行くぜ」


俺の横に転移してきた柚木。

気配が無いと軽く身構えるよな。


「貴様ら許さん」


炎槍が飛んできたので、『紅蓮』で自分の手を包み掴んで投げ返す。


「な、なんだと」

「翔兄、すげぇ」


悠の感嘆と同時に

相手の一歩手前に落ちて爆発する。

こいつ固有の能力か?

爆魔術も同時に使ってるよな?

と、思いながら出て行く。


教室を確認し、彼が『火炎』という二つ名を持っていることを知った。


「だから、火と爆が同時に……」


同い年の違う学年の人もいるので、見知らぬ顔もいる。

担任から挨拶があった。


……なんで、騎士団長?


「この学年のF組のお前らを担当している烈だ。新入生は知らないだろうが……」


目が合う。


「そうでもないな。まあ、いい。騎士団長をやっている。普段は忙しいから、ここにはいないがな」


その一言に教室がどよめく。


「この学校は自主性を重んじている。『求めるものを追わせる』これが学校の方針だ」


一息おいて続ける。


「ただし、マナーとルールは守れ、魔女に殺されるぞ。ちなみに人に怪我をさせるな。魔術を向けるな。邪魔をするなだ」


こっちを見てにやりと笑う。

いやな予感。


「早々にこれを破ったやつがいてな。翔、呼び出しがかかってる」

「何で俺だけ……あ」


美咲は回復していただけ、明は一方的に受けただけ、千花は斬っただけ、柚木は防いだだけ。

思い返すと攻撃したのは投げ返した俺だけという、まさかの展開。





十数分後





俺といけ好かない奴の前には魔女が座っていた。


それからの暫くの時間。

完全記憶が売りの俺の記憶がなぜか抜け落ちていた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ