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神とともに歩む者  作者: mikibo
王都外出編
51/98

ユゥフィーの街

途中からコメディー120%仕様となっております(自分的には・・・・・


聞くわけにも行かず、天羽を使って美咲たちの場所を感知。

2人が向かっている場所を明に伝えて連れて行ってもらう。



……俺だと迷子になるからな。



「4分52秒。後8秒で、私の朝ごはんを街で買ってもらおうと思ったのに」

「お前!俺たちまでの分まで食ってただろ!」


4人前で足りないって……この先どうするんだろ?

っていうか、今までどうしてたんだ?


「行きましょう」

「そうですね」


そういって歩き始める。


「ちょっ!置いてくなよ」


あわてて、2人についていく。





街に入る。




王都と比べると人通りも少なく落ち着いている。


「こっちの方が過ごしやすそうだな」

「気候も年中安定していますし、作物も良く取れますから」


そんな街も雰囲気はどことなく暗い。


「戦争か……全く面倒だな」

「しかし、不穏なのはいつもの事です。数年前からそうですが攻められたことはありません」

「そうなのか?」

「そうですね。私も父からそんな話は聞いたことがありません」


なるほど。


「そうね。ギルドにも戦争依頼はきてないわね」


それも依頼なのか?

恐っ!


「まぁ、『全人の門』は天秤を掲げていて、それは平和と中立の象徴であると謳ってるから受注はされないんだけどね」


そうなのか、それならいい。


でだ。

「話を戻すとこの暗い雰囲気は別のところから来ているということか?」

「おそらく、そういうことになります」

「後で監査届け出しておきましょ」

「監査届け?」

「そ。私たちは国内外、街内外を問わず活動するチーム織。その途中で滞在した街に不自然さを感じたらその街を治めている貴族に不正がないかを調べる依頼が出せるの」


凄い権限だな。


「自分で出して自分で受けてもいいんだけど。まぁ、一般的に麻奈花の手を借りるわね。情報が命だから。それで得た情報は国に提出される。まぁ、トップもグルだったらもはやどうしようもないけどね」


それはそうか。

でも、

「貴族が犯人とは限らないだろ」

「そうね。だから、私たちがその原因を見に行くのよ」

「実は凄かったんだな」

「身分も関係ない完全中立がなせる業ってところよ」

「もし貴族以外の人が犯人だった場合はどうするんですか?」

「簡単よ。別のギルド『協力の輪』に依頼するだけよ。私たちの仕事はそこまで」

「貴族は何で、『協力の輪』では駄目なんだ?」

「『王国の礎』は国家に不利益、主に王家の人間を対象としたものにしか動くことは出来ない」

「『協力の輪』はどう?」

「あそこは平民しか介入できないの」


なるほど。


「ということは、平民でも王家でもない宙に浮いた存在である貴族に介入できるギルドはここだけってことか」

「そういうことです。僕も詳しい話は知らなかったんですが、王家を抑えるのは『賢者の言』ですよ」


この4つでバランスよく国を押さえていると。




……?

これって国を動かすことが出来るよな?




「じゃあ、ギルドは何が押さえるんだ?」

「相互管理協定よ。王家直属のギルド、名前は知らされてないわ」

「相互って言うのは、ギルドと国って言う関係でいいんだよな?」

「そういうことよ」


難しいことは考えると腹が減る。


「朝飯になりそうなものと小物買っとくか」

「ですね」

「このダガーも刃こぼれしてきましたし」


そういえば、千花も隠し持ってたな。

広場に出る。

王都より人が急いでないような気がする。

周りを見渡して


「あれか?☆3って看板に書いてあるぞ」

「俺たちは買ってくるけどどうする?」

「☆1で適当なもの見繕ってくるわ」

「では、10分後にここでということでいいですか?」

「いいわ」

「わ、私の分もダガー買ってきてください」


美咲に連れ去れる寸前に千花が言う。


「おう」


ガラン、ガラン!

入ると同時に音がなる。


カウンターに立っているのは女の人。


「いらっしゃいませ」

「ダガーが2本欲しい」

「大きさはどれぐらいにいたしましょう?」

「1つは……これぐらい。もう1つは……」


置いてあったものの中にはなかったので


「これより一回り小さめで」

「わかりました。そちらの方は?」

「僕も市販サイズのを1本とロープを5m、非常食を3袋くださいと簡易テントを2つ」

「はい、非常食は1袋で4人分の3食となっております。また、簡易テントは2人用と4人用となっていますがどちらがよろしいでしょうか?」

「4人用で」

「わかりました」


品物を取りに奥へ入っていく。

無用心というかなんと言うか。


「っていうか、大荷物になるだろ?」

「大丈夫です。今はお金があるので収納リュック程度なら買えるでしょう」

「収納リュック?」

「店に出回っている数少ない魔道具です」

「なんか知らんがそれならたくさん物が入るんだな?」

「えぇ」

「なら、俺が買うよ。円月輪買ってるんだから、そう余裕があるわけじゃないんだろ?」

「まぁ、そうですが大丈夫ですか?金貨5枚はしますよ」

「それなら払える。なんか麻奈花にもらってるしな」

「そうですか。お言葉に甘えてこっちの小物は僕が出しましょう」

「おう、頼んだ」


女の人が戻ってきた。


「このダガー大きさ問わず。2本が1本で銅18、それ以外が銀8銅58になりますが?」

「僕出すんで、合わせてください。それと収納リュックはありますか?さすがにこの荷物は入らないんで」

「なら、たくさん買ってもらったので金4銀5でどうでしょう?」

「金4じゃ駄目ですか?」

「駄目ですね。銀4」

「銀1で」

「銀3。もう譲れません」

「非常食をもう一袋別に買って銀2」

「いいでしょう。金4銀2で手を打ちましょう」

「ありがとうございます。これ代金です」

「確かに」


銀8銅58内訳は


非常食×3   銅50 × 3袋

簡易テント×2 銀3  × 2個

ダガー×1   銅18 × 1本

ロープ    銅10 × 5m


である。


「でも、よく考えたらそんなに時間かからないよな?」

「確かにそうですね」

「何か食べ物でも買ってくるわ。希望ある?」

「特には」

「じゃ行ってくる」

「ここでは林檎が名産ですよ」

「わかった」



目に付いた屋台に行く。


「これは何だ?」

「林檎飴といって林檎に飴をぬって固めたものなんだが馬鹿にしちゃいけねぇ。1本だけ半額で売ってやる」

「これを4本くれ。半額にしなくていい。うまそうだからな」

「欲がないねぇ。頭、大丈夫かい?」


欲がないってほめ言葉なのか?

その後の言葉で人間性を否定された気がするんだが。


「ほれ」

「銅貨12枚だな」


お金を渡す。


ついでに

「ほかにもいい店知らないか?」

「向こうの路地に入ったところにアップルパイを焼いてるところがある。行ってみるといい」

「助かる」

「なんの客は神だからな。また買ってくれ」

「機会があればな」


言われたとおりにいく。

いい匂いだ。


ドアを開ける。



カランコロン



「いらっしゃい」

「アップルパイが欲しいんだが?」

「そこにあるよ」


周りからいい匂いが漂ってくる。

なんともすきっ腹にはこたえる場所だ。



目的のパイを袋に入れてもらう。



ホクホク顔で広場に戻る。


芝生の広場に座り、袋を開けてパイを取り出し明にも渡す。

そして、買ってきたパイを口に運ぶ。

小気味良い音を立てて中から林檎の甘い香りがあふれる。


「うまい」

「ホントですね」


次に林檎飴を取り出したところで、千花たちが帰ってくる。


「なに、そんなにおいしそうなもの食べているのよ!」

「そりゃ、誰かさんに食べられた朝ごはんの代わりだが?」

「むぐっ」

「私も買ってきます」

「ここにある」

「わーい」


美咲が伸ばしてきた手の軌道から袋をずらす。


「何すんのよ!」

「お前は言うことがあるだろ!」

「あ!私としたことが……」


お、こいつにも謝るという概念が存在したのか。


「いただきます」

「違うわ!」


思わず頭を殴る。


「痛い!なにすんのよ!ちゃんと言ったじゃない!」

「そういうことじゃないだろ!」


騒ぎ立てる俺たちの後ろで


「ハーブティー要りませんか?朝、水筒に入れてきたんですが?」

「いただきます。さっきのところで水筒も買ってくればよかったかもしれません」

「いっちゃんからもらったハーブティーです。何でも、気分が和らぐ効果があるとか」

「香りはジャスミンでしょうか?」

「戻ったら教えてくれるそうです」


と、

2人がほのぼのと談笑を交わしている。


「隙あり!」

「甘い!」


伸ばしてくる手をかわす。


「やるわね!」

「やるわね……じゃないだろ!普通に考えて謝れよ!」

「何で?」

「何でって……もしお前の朝ごはんを誰かが食べてしまったら?」

「もちろん、殺すわよ」

「ちょっと待てい。なんか間いろいろ跳んでないか?」

「極刑に決まってるじゃない」

「まぁ、いい。よくないけど、気になるけど!取り敢えずそれは置いといて。それを他人にやっていいと?」

「……いい?」

「何故に疑問系?」

「いい!」

「いやいや、よくないから!聞き返されたからって思いっきり肯定しても駄目だから。普通に考えてありえないからな」

「お腹がすいたら食べる。これが私の正義!」

「開き直りやがった。っていうか、それは正義じゃない!犯罪だ!それに、お前、2日前といってることが違うぞ」

「……じゃあ、可愛いも正義!」

「可愛いのは、もはやおまけなのか?可愛いは食欲に負けたのか?」

「美咲さん、可愛いのは大事なんです」


そこ力説するところじゃないよ。

っていうか、千花が入ってきたら余計にカオスになるから。


「可愛いも大事だけど、やっぱりご飯のほうがもっと大事よ!」


賛成!

これには激しく同意。


「いえ、可愛さがあればどんな苦難だって乗り越えられます。ほら」


いやいや、林檎飴にパイで耳つけてもねぇ。


ガタン!

え?

物音に振り返ると


「ま、負けたわ。私が間違っていたのね。食事の中にだって可愛さはある。この勝負、あんたの勝ちよ」


えええええぇぇぇぇぇ!

ちょっと待て。

話の趣旨がわからない。

って言うか、どこから勝負だったんだ?

ぜんぜん勝ってもうれしくないぞ。


「というわけで、もらうわよ」



と、

手を伸ばしてきたので思いっきり殴った。



「な~に~がっ!というわけでだ!謝れといってんだろ!」

「ごめんね~!」

「むかつくぞ。その言い方は!」


その後ろで……


「林檎飴とパイが余ってますね。食べちゃいますか」

「そうですね。まだ、お茶のおかわりあります?」

「はい」

「「ま、まさか!」」


振り向くと、いつの間にか戻っていた千花がこれまたいつの間にか2つ目の林檎飴を口に入れていた。

パイのほうはいつの間にか袋が途中で斬れていて……


「円月輪をこんなところで使うな!」

「いや便利ですね。この円月輪は」


ん?


林檎飴もパイも4つずつ。

まず、俺と明がパイを食べて、千花も1つ食べて明が今もう1つ持っている。

林檎飴は明が食べて、千花の手には何もついていない棒が1本ある。


「まだ、1本ある!」


包んでもらった袋に手を伸ばす。

千花の恐ろしい食べ物に関する頭の回転であの一言が意味しているところを悟ったらしい。


負けない!

これは俺が!

袋に俺たちの手がぶつかり、林檎飴は宙を待って……









荷馬車に引かれた。









「「……俺の(私の)朝ごはんが」」




愕然とする俺たちの後ろで





「「ごちそうさまでした」」







2人の言葉が空虚に響いた。



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