彼らが出て行った後
短いです。
2012/04/07に今までのギルドカード表示の部分に矛盾が生じていたので修正しました。
お詫び申し上げます。
No Side
騒がしい彼らが帰った後
受付に残っているのは美鈴のみである。
指を鳴らすと外の景色が変わる。
「ホントに今年の子たちは楽しみなのです」
「楽しみなのです。じゃないんですよ!勝手に受付と校長室の時空転移を行わないでくださいってあれほど言ったじゃないですか」
校長室に入ってきた女性。
彼女に叱られている姿は外見ともあいまって、ただの子供にしか見えない。
「大体、あなたが好調であることの証明にわざわざカードを出す必要はなかったはずです」
彼女を叱っているのは
美鈴の補佐を任せられている
サブリーダーの鶫。
「大丈夫なのですよ~。ランクはちゃんと偽造しておいたのです」
鶫に見せる。
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名前:美鈴
種族:***
ランク:A
所属ギルド:知の学び舎
戦闘:魔術師
備考:学校長
ギルド長
***
***
国はこの者がギルドをまとめる
事を認める。
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美鈴が手を振ると
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名前:美鈴
種族:神の知を戴く者
ランク:Ex
所属ギルド:知の学び舎
戦闘:魔術師
備考:学校長
ギルド長
全属性魔術師
特権
国はこの者がを国の要人である
事を認める。
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ため息をつく。
「だからって、あんまり派手なことはしないでくださいよ。あなたが国内最強であることを隠すためにこの二人だけのギルドはあるんですから」
知の学び舎
それは、国が彼女の存在を隠すために作られたギルド。
その事実を知っているのは国王と現4大ギルドのトップだけ。
麻奈花には知られているので、だけというのは適当ではないのだが。
そのギルドも知る人はごく一部である。
「分かっているのですよ」
生来、苦労性な鶫である。
「……?もう一度カードを見せてもらえます?」
「いいのですよ」
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名前:美鈴
種族:神の知を戴く者
ランク:Ex
所属ギルド:知の学び舎
戦闘:魔術師
備考:学校長
ギルド長
全属性魔術師
特権
国はこの者がを国の要人である
事を認める。
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「違います。隠したときのです」
「はいなのです」
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名前:美鈴
種族:***
ランク:A
所属ギルド:知の学び舎
戦闘:魔術師
備考:学校長
ギルド長
***
***
国はこの者がギルドをまとめる
事を認める。
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「私の記憶どおりならば、ギルド名が変わっていないと思うのですが」
「あ……」
「何やっちゃってるんですか!!このギルドも一般的に伏せられていますよね?私たちは先生ギルド『学徒の導き手』と名乗っているんですよ?」
「う……」
さらに小さくなっていく。
「覚えられていたらどうするんですか!?」
「チラッと見られただけなのです」
「他に見せたのは?」
「いないのですよ。今日は麻奈ちゃんから連絡があって、ぎりぎりに面白い子達が来るからって言ってたから一目見ようとしただけなのです」
「ということはその子たちに口封j……」
「だ、だめなのですよ!」
物騒なことを言い出す鶫をとめる美鈴。
「そうですか、取り敢えずこの話はおいておきましょう。今回の生徒はどうですか」
「さっきも言ったけど面白い子がいっぱいなのですよ。一週間前からこの入学手続きが始まったのですが、純潔二色の子達が全員入っていきましたです」
純潔二色とは
国の上位貴族の中で火と爆、水と氷、風と雷、土と木をもった者のことである。
性質が似通っている分、組み合わせやすいというのが特徴だ。
さらに、必要とする魔力もその系統の純度が高いため。
他の多重色とも十分に渡り合えるため、特例としてSクラスになっている。
「巷の二つ名は『火炎』と『氷雪』、『天空』と『大地』のことですね?」
「はいです。『火炎』と『天空』の子は、どちらも長男で『氷雪』は次女、『大地』が三男なのですよ」
「そういえば『氷雪』と『大地』の長男は今は社交ギルドに入っていましたね。確か、『大地』の次男は放浪中でしたね」
「ただ……」
言葉を途中で止めて、ため息をつくように続ける。
「みんなプライド高すぎなのですよ。大地の三男はおどおどしていてとてもかわいいかったのですが」
「そういうものですよ。いつかプライドよりも命のほうが大事であることに気がつきますし、気づかせるのがわれわれの役目ですよ。続きをどうぞ」
「5日前に入ってきたのは、空魔術を使う子でした」
「それは珍しいですね。あなたを含めて国内には2人ですね」
空間を操ることができる者は少ない上に、それが使えるということは創世魔術、つまり、世界に干渉できるほどの魔術を扱えるということだ。
「この国出身ではないのです。でも、もう一人、素質がある子はいるのですよ。こっちも同じなのですが」
「それは?」
「ひ・み・つなのです」
「夕ご飯後のプリンは抜きですね」
「あ~、後で話すから待って欲しいのです!」
麻奈花を使える美鈴とそれすらも操作する鶫。
最終的に鶫が世界の平和の一端を担っているといっても過言ではないだろう。
「一昨日に入ってきた子は、無魔術『先見』が使えたのですよ」
「『先見』ですか?数十年単位で1人しか出ない伝説クラスですよね」
先見とは
近未来を見ることができる国の要保護対象魔術である。
「他の魔術が全く使えないから、Fクラスなのです」
「……不憫ですね」
「昨日、今代の『聖女』がきたですよ」
「『聖女』というと教会の教皇と並ぶ存在、天使の降臨を行えるといわれている血脈ですよね?」
「はいです。まさか入学してくるなんて思わなかったのですよ」
「ほかには?」
「天才な人も来ましたですよ。創生魔術8属性がすべて使える人だったのです」
「それはそれは……なんとも鍛えがいがありそうですね。それで、今日は?」
美鈴たちの話が翔たちの話へと近づく。
「はいです。今までの人たちは、当直の受付の人の調書だったので、詳しくは会ってみてのお楽しみなのです。でも、今日のを超えることはないのですよ」
「それは楽しみですね」
「まず、面白いことを追求する明君。この子はハーフです。それも竜族と人族のですよ。カードに表示はしてなかったけど、気の量が凄かったですよ」
「竜族に関しては、現在問題が一つ発生していますが……」
鶫が書類を一枚取ろうとする。
美鈴の周りの空気がピリリと締まる。
「承認です」
「内容は見なくても?」
「大丈夫なのです。竜族の魔術と年齢に関する問題なのです?後で申請書類を提出します」
「(こういうときだけ、校長ですね)……いえ、私が代わりにやっておきました」
「なんか心の声が聞こえたような気がするのです?」
「気のせいですよ、気のせい」
「とりあえず、ありがとうなのです。何か釈然としないですけど話を続けるですよ。神器持ちに魔剣使い、休息の民……」
「休息の民は……」
「そうなのです。癒しの民とも呼ばれているですが、創世記で言うと神の涙を注ぐ者。私と同じ古五大民族なのですよ」
「5ですか?6ではなく?」
「はいですよ。創世記に出てくる神とともに歩む者は世界に一人しか存在しないのですよ」
「!?」
初耳だったのだろう。
考古学の権威が集まる学会でも知られていない、この驚愕の事実。
美鈴を疑うこともしない鶫は驚きのあまり声も出すことができていない。
「そ、それは……?」
「詳しくは言えないのです」
「そうですか。で、休息の民はどうするのですか?」
沈黙で美鈴の言葉を待つ。
立場として国に奏上すべきであるということを言外に告げている。
美鈴はいつの間にか机の上にのせられていたお茶をすする。
「どうもしないのですよ」
「え?」
「私もあなたも何も知らない、これでいいのですよ。彼女は私にカードを見せたときに隠されていたのです。まだ、国にはばれていないっていうことは麻奈ちゃんがうまくやってるのですよ。私たちが口出しすることではないのです」
「本心は?」
「教え子たちよ自由であれ。なのですよ」
「ならば、私からは何も言うことはないですね」
それも本心。
そして
「もし、国にばれたら不自由な生活を強いられるですよ。私と違って条件次第では死をも覆せる力なのですから」
憂いを含んだ目で
窓の外を見上げる。
そんな心境とは裏腹に
春の訪れに花びらが空を舞っていた。
鶫が部屋を出て行く前に交わした言葉。
「今年は厄年となるでしょうかそれとも……?」
「それこそ神のみぞ知る……なのですよ」
作:短い分、なかなか良い出来だぜい
美:自画自賛はあまりよくないのですよ
作:……一瞬。美咲が壊れたのかと思った
美:これが行けないのです。ヨイショ
美鈴:これで完璧なのです
作者:べつに俺の分までしなくても良かったんだけど
美鈴:ついでというものなのですよ
作者:さいですか。で、美鈴ちゃんに質問です
美鈴:はいです?
作者:何歳ですか?
美鈴:見ての通りですよ!
作者:8歳ですか?
美鈴:むぅ!見ての通りっていってるですよ!
作者:そのままじゃ?
美鈴:20ですよ!
作者:…………
美鈴:どうして沈黙です?
作者:いや……ね?ドンマイということで
美鈴:なんで逃げるのです?私が次回予告しちゃうのですよ
…………
美鈴:帰ってこないのです。ということで、次回は本編に戻るのです