今日は誕生パーティー 準備・中
引き続き 翔 がいきます
そして、貯めていたのを連投
やはり、俺の願いは神には聞き届けられないようで
「あ、あいつです!」
突然、俺を指差すやつがいて、俺は3人の兵士に囲まれていた。
もしかして、さっきのか?
見覚えは無いんだがな……。
顔を見てないから、わからんだけか?
ブン投げたごろつきどもを思い浮かべる。
やりすぎたからか?
でも、そこまで強くは投げてないぞ……。
「お前に聞きたいことがあるんだが?」
「俺には無い」
そう言って去ろうとして肩をつかまれる。
「一緒に来てもらう」
俺の平穏はどこへ行ったんだ!
俺の心の声もむなしく連れて行かれる。
あ!
明だ
クチパクで何か言っている。
その口の形をひとつずつ記憶と照らし合わせていく。
結果……
「おもしろいことやってますね?」
「やっとらんわ~!!」
言葉の意味を理解し、叫んだときに明の姿はない。
「うるさい、連れて行くぞ!」
「あぁ!」
クソッ!
なぜ今日はこんなにも視線が痛いんだ。
心の中で悪態をつきながら連れて行かれる。
―詰所―
席に座らされる
「お前、上級魔術を使っただろ」
「何の話かさっぱり?」
嘘はついていないぞ、嘘は。
「とぼけても無駄だぞ。膨大な魔力をこちらで観測したのだからな。場所は南通りの……」
「俺は魔術を使うことはできないんだが?」
事実だ、完璧な事実。
「馬鹿なことをいうな!そんなわけないだろ!嘘ついたってわかるんだぞ!」
「嘘じゃないですよ。穿て 火魔術『炎弾』!」
俺の突然の詠唱に兵士達が身構えるが、何も起きない。
「この通り。何もできない。焚き火すらできないんだぞ!」
やる必要はないが大げさに言ってみた。
「ギルドカードに魔剣使いと書いてあるが?」
ギクッ!だが、まだ大丈夫。
「いや、剣は手元にはない。今、厄介になっているところにおいてある」
「それはどこだ?」
そこで現最高貴族の名前を告げた。
兵士達は一瞬固まった。
しかし、そこからの動きは早かった。
そして、十数分後
俺は詰め所を後にした。
「やったのは俺の異能さ。でも、権力って大事だな」
誰にも聞こえないように呟いていく。
小腹がすいてきたので屋台で焼き鳥を食べる。
たれが香ばしく、少し焦げた感じがいい。
ここでも、美咲の大食い武勇伝を聞きながら、食べていく。
「何とか無事だったようですね?大丈夫でしたか?」
「そう思うんなら助けに来いよ」
俺の隣にやってきた明に文句を言う。
「おもし……めんどくさいですしね。」
「それはどっちも本音だろ!」
「それにしても、あれはすごいですね?」
「おい、流すなよ。でも、そうだな。5分で254本とか人間じゃないだろ」
明の指差す先には、ポスターが貼られている。
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立ち上がれ!
早食いに自身のあるやつらども
今こそ
記録を塗り替えるときだ!!
伝説を残し
鋼鉄の胃袋を
倒すときだ
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「宣伝に使うとは商魂たくましいな」
「まったくですね」
後でどうなるかは知ったところではないがな。
「で、お前はなんか見つけたか?」
「僕ですか?まぁ一応それなりのものは」
と、俺の前にビンを置く。
「これは?」
「香水です。何でもいい匂いがして、女性にも人気とか」
「それって、もっている可能性は高いんじゃないのか?」
「そうならないことを祈るだけです。それでは、僕は一足先に戻っていますので」
「あぁ、わかった。二人ほど拾ってきたやつらがいるから、顔でも合わせといてくれ」
「そうですか。それでは」
と、人ごみに消える。
「さてと、探しますか」
徘徊すること2時間
時計塔は1時を告げている。
むむっ!…何も見当たらん。
俺は未だに悩んでいた。
そして、また裏道に入っていた。
今度こそはめんどくさいのがないようにして欲しいのだがな。
と、思いながらも奥へと進む。
さっき、悠たちを拾ったところよりは物騒ではなさそうだ。
そして、さっきと同じように行き止まり。
そこには『小物屋』の古びた看板と小物屋には相応しくないような大きな建物があった。
何だ?
とりあえず、中に入る。
「いらっしゃ……」
「あ!」
そして、出てきた人の顔を見て固まる。
麻奈花である。
前と同じようにフリフリのドレスの上に白衣を着るというアンバランスな格好が、目の前の存在が麻奈花であることを肯定している。
「やばいわね。依頼があるからって油断していたわ。誕生日の用事か何かかしら?」
「プレゼントをと思ったんだが……」
予想外すぎる展開だ。
「確かにあの子は細かいから、小物入れとかはいいかもしれないけど…」
「それよりもなんで、あんたはここにいるんだ?服屋にいなくていいのか?」
「どっちかっていうと私の拠点はこっちよ。他は情報屋だからね」
「へぇ~、そうなのか?まぁ、いいか」
「あら?簡単に引き下がるのね?」
「別に知ったところで何かしようというわけでもないからな。それにただでは教えてくれないんだろ?」
俺がそう言うと麻奈花もにやりと笑って返す。
「もちろん。相応の対価をどうぞ」
「だから別にいらねぇよ」
「そう。ところで、千花ちゃんはちゃんと刻んでもらった?」
「?」
「保護の刻印」
「やば」
思い出すことを忘れていた
「まぁ、早いに越したことはないけど別に町から出ないなら、ほとんど要らないからね」
「ところで保護の刻印って何だ?」
「まず、刻印というのは固定魔術の術式のことよ」
「あの、遊びに使うやつのことか?」
「そうね。千花ちゃんの言ったことを補足するならば、あの術式にはもう2つの効果があるの。アクティブとパッシブ。アクティブは千花ちゃんが説明していたように魔力を流すことによって発動するもの。もう1つのパッシブは外的要因に対して勝手に発動するもののこと。落とし穴の原理なんてそうよ。相手が罠にかかった瞬間に発動する。これがパッシブの仕組み。わかった?」
「たぶんな」
「保護の刻印は異物から物を独立させるもの。水をかけようと濡れないし、破壊しようとしても、その保護の刻印を作った瞬間の魔力を上回る攻撃をしないといけないのよ」
ってことは
「武器とかにつけておけばいいんじゃないか?」
「残念、それは無理よ。相手を斬ろうとしても刃が相手の体という異物から独立するために相手の上を滑るだけ。殴打するような武器や剣の鞘、模擬刀にはかかっているわね」
なるほどな。
「ところで、ここにいることは内緒にしておいて」
「わかったから、だったら何かお勧めを教えてくれ」
「対価としてはそんなものかしらね?じゃあ、これなんてどうかしら?」
手のひらに乗る程度の巾着袋。
薄いベージュ色の布を基調とした尾の長い鳥の絵が描かれた紐が赤いものだ。
派手すぎず、地味すぎない感じだ。
俺が持っている紺色一色のお金入れとは全く比べ物にならない。
まぁ、適当に袋を…。と思って手に入れたものだから仕方がないのだが……。
「お礼にただにしとくわ」
「助かる」
お金は持っているがな。
「それ、他人に渡しちゃダメよ」
「なぜ?」
「それ、空間拡張魔術使ってるから、新しい技術ってやつね。基本的に気に入った人にしか渡さないから」
「別にいいぞ」
気にはなるが別にどうということはない。
それが麻奈花の一線ってやつか。
「邪魔したな」
と、小物屋を後にした。
今回は短めです




