主人公に不幸は必須項目 上
~SIDE 翔~
今、俺は店の前に立っている。
震える千花をつれて……
服屋「コズミダ」
昨日、千花がいったことがあるらしい。
しかし、なぜ、机で本を読んでいたはずの俺が、こんなところに来ているのだろう。
2時間前 (2hours ago)
二日連続の徹夜で眠り込んだ俺は、丸一日寝ていたらしい。
まったく疲れとは恐ろしい。
朝ごはんもそこそこに俺は机に向かっていた。
現在の時刻 8:02
目の前にあるのは例の本だ。
今日はこの世界についての話が出てきた。
この本の構成は、まったくもって謎である。
はじめのページには、この本の読むに当たっての注意が散々書かれている。
ざっと、100ページ。
そして、創世記が無駄に長い、否、創世記自体はそんなに長くないのだが、あちこちにこの書を書いた作者たちの解釈が書かれている。
なかなか面白いが、知識にならない。
それが大体300ページ。
「はぁ~。無駄だ、無駄すぎる。これ読む人いるんだろうか?今、読んでるけど。」
俺のつぶやきは、狭い部屋で反響する。
むなしい。
外からは、朝早くに起きた子供たちが走り回って声を上げているのが聞こえる。
そんな雑念を払い、書を紐解く。
今から見始めるのは、千花が俺のひざの上で寝てしまい、読めなかった分である。
この世界にはさまざまな種族がいる。
ページををめくるとそれぞれの種族の能力について書かれていた。
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~種族について~
さまざまな道具を作り出す人族。
世界で最も多い種族であるが、同時に身体面で他の種族に劣るところが多い。
ごく稀に、創造主である神と話せるものもいる。
ほとんど能力値の高くないなかで、唯一魔力耐性が高い。
腕力 C
魔力 C
速力 D
魔力耐性 B
視覚 D
聴覚 D
嗅覚 D
触覚 D
特殊能力 危機伝達能力 : 自らの危機をある特定の人物に伝える力
神との対話(稀) : 神との会話により力を得る
世界の始まりに生まれた始族
別名、古六大民族、神の力を行使できる種族。
人間と全く変わらないためその能力を行使しない限り、気づくことはない。
しかし、神の力を私利私欲のために使われることを恐れ、人前でその力を使うことはほとんどない。
腕力 ?
魔力 ?
速力 ?
魔力耐性 ?
視覚 ?
聴覚 ?
嗅覚 ?
触覚 ?
特殊能力 危機伝達能力 : 自らの危機をある特定の人物に伝える力
神の力 : 能力はそれぞれ違うらしい
生物と語らい薬を生み出す樹族。
人に姿を見せることはほとんどなく、傷ついたものを見れば献身的に治療をする平和的な種族である。
また、受けた恩は必ず自らの種族と対立することになっても返すといわれるほど情に厚い。
人族に比べると魔力が高く、森の中では身体能力が飛躍的に上がる。
武器は視力のよさと腕力の少なさから弓を持つものが多い。
腕力 E(D)
魔力 B(A)
速力 C(A)
魔力耐性 B(B)
視覚 B(A)
聴覚 B(B)
嗅覚 D(D)
触覚 C(C)
特殊能力 生物との会話 : 動物たちと会話をすることができる
森での身体強化 : 能力値が()になる
秘薬の調合(稀) : 各部落の長のみが知る秘薬を作れる
絶対なる強さを求めさすらう獣族
人を好んで生活するため、街中でも多く見かける。
自ら強くなることを望み、旅に出るものが多い。
強いものに従うという考えを持っている。
人族に比べると魔力では劣るが肉体的なスペックははるかに高く、獣化によってさらに身体能力を上げることができる。
速度と腕力を生かした槍や剣を持つものが多い。
腕力 B(A)
魔力 Z(E)
速力 A(S)
魔力耐性 D(C)
視覚 D(D)
聴覚 C(B)
嗅覚 B(S)
触覚 B(D)
特殊能力 獣化 : 能力値が()になる
危機察知能力 : 半径5メートル以内にきた攻撃は察知できる
阿吽の呼吸 : 鬼族と念話ができる
強者のオーラ(稀) : 魔獣がひるむことがある
空へと羽ばたく翼を得た翼族
人に翼を狙われることから、生まれてすぐに人から逃げることを学ぶ。
成長するにつれて、翼を隠す術を学び人族の町にくるものもいる。
翼がないときは、ほとんど能力的には人族と変わらない。
武器は高機動に特化した暗器が多い。
腕力 C(C)
魔力 D(C)
速力 C(S)
魔力耐性 C(B)
視覚 B(B)
聴覚 D(D)
嗅覚 D(D)
触覚 D(D)
特殊能力 天の翼 : 翼で空を飛ぶことができる
人間回避 : 人が半径1キロ以内に近づくとわかる
世界の英知を求め情報を集める竜族
ときどきすべての本がそろっている王都国立図書館や酒場にいる。
竜族はその図書館で書を読み漁り始めると2ヶ月近くはこもる。
力もあるが戦闘では魔術を主に用いる。
竜化すると魔術は全く効かなくなるが、感覚系が下がる。
腕力 B(S)
魔力 A(S)
速力 B(S)
魔力耐性 S(∞)
視覚 B(B)
聴覚 D(D)
嗅覚 D(E)
触覚 D(E)
特殊能力 竜化 : 能力値が()になる
竜の英知 : 読んだ書物の中から知識を抽出し別のものに与えることができる
夜を駆り魔物を狩り続ける鬼族
特に人が嫌いというわけではない。
基本的に夜行性であるが、日中にも起きている者もいる。
獣族とは仲がよく、常に研鑽するために組んでいることが多い。
身体能力は高いが魔力は少ない、その魔力も身体能力の強化に使われている
腕力 A(S)
魔力 E(D)
速力 B(A)
魔力耐性 D(E)
視覚 D(C)
聴覚 C(B)
嗅覚 C(B)
触覚 E(E)
特殊能力 鬼化 : 能力値が()になる
阿吽の呼吸 : 獣族と念話ができる。
海や湖に浮かぶ船に住む海族
大量の荷物を輸送する際に使われる輸送手段は、基本的に船である。
その船を操るのは海族である。
水を愛するものたちである。
能力は、可もなく不可もなくという感じである。
腕力 B
魔力 B
速力 C
魔力耐性 C
視覚 D
聴覚 D
嗅覚 D
触覚 D
特殊能力 水の司 : 水の魔術が効かない
天候読み(稀) : 約一週間の天候がわかる
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俺は人族だろうなだな、何の能力もなさそうだし。
千花はどうなんだろうか、動きはすごいから獣族かな。
だったら狐とか猫だといいな、似合いそうだし。
……なんか変な方向に頭が行きかけたような。
でも、魔法はそれなりに使えるっていってたから、とても練習したか、違う種族かだろうな。
美咲は間違いなく始族だろうな、休息の民なんだし。
やっぱりこの本でも多くは書かれていないようだ。
っていうか、ほとんどわからないことだらけじゃん。
この?の多さがすごい。
古六大民族というのは、本人がそれなのかを確認することができないため、そういったものをはかることができないって書いてあるじゃん。
次は翼族。
・・・・・・・・・・・・・・・。
半径1キロって、翼族ってどんだけ人嫌いなんだよ。
信用してもらえるまでにどれくらいかかるんだろうか。
なんか暗くなってきたな、次行こう、次。
・・・・・・・・・・・・・・・。
竜族って、引きこもりかいっ!
2ヶ月出てこないってどうなってるんだ。
なになに。下の方になんか書いてある。
※ 竜族が無断で出入りするため、図書館は中に宿泊施設を作った。
図書館を変えたのかすごいなぁ~。
って、何をしちゃってるんだ!
ところで、本を出版するときは、一冊、王立中央図書館におさめるのが決まりである。
個人的な書物は、その決まりからは外れるが、その本の著作権を守ることもできるためほとんどが登録されている。
この世界にある本の特徴としては、この図書館で登録していると、著作権を持った人がその原本を書き直したときに全ての出版された本が改稿されるのだ。
便利だ……、書かないけど。
よし、戻ろう。
鬼族は、獣族と仲がいいんだ。
書いてある文章もさっきのとは違ってないし……ん?
夜行性なのに、日中も起きている者がいるんだったら、夜行性じゃないのでは?
もしかして、生活の昼夜逆転現象なのか。
現代のニーズに合わせてなのか?
結論!
鬼族は夜行性じゃない!
・・・・・・・・・。
やっぱり、一人だと突込みがなくてさびしいな。
さみしい次行こう。
海族。
読み方は一緒だけど、海族は海賊というわけではなさそうだ。
へぇ~、貿易商やる人が多いんだ。
うん?
下にまた注意書きがあった。
※海族のほぼ7割が海賊になる。
・・・・・・・・・・・・は?・・・・・・・。
駄目じゃん、それ大いに問題でしょ。
7割ってどんだけ多いのさぁ~。
がちゃ。
扉が開いた。
「うるさい」
がちゃ。
扉が閉まった。
し-ん。
なんだったんだろう。
わかんないけど、とにかくすいません。
現在の時刻 8:52
to be continued
この話は加筆されていく可能性があります。
ご了承ください