不幸は誤解から始まる
なんか主人公の出番が少ない最近の話です。
千花はかなりお馬鹿キャラになっています。
~SIDE 翔~
足がしびれている。
もはや自分の足がなくなっているのではないかと思うくらいに何も感じない。
理由はいたって簡単。
ひざに重りを載せたまま正座もとい千花の膝枕をしていたからだ。
他人から見たらさぞかしうらやましい光景に見えるに違いない。
が、はたして耐えられるだろうか。
徹夜という地獄に、起こすのも千花が泣いていた手前、少し気まずい。
起こしたくないので、体を動かすこともままならず。
寝たくても、正座して寝れるほど器用ではない。
そして、夜が明けてから数時間後。
俺は、頬は思いっきりつねられて痛く、頭は殴られてくらくらの状態だった。
何でこんな目にあったんだ……
と、思いながらも解放されてベッドによじ登ると同時に俺の意識は黒く塗りつぶされていった。
~SIDE 千花~
目を開けたら、疲れた顔をした翔さんの顔が目の前にあります。
普通、ベッドから起きると賞賛の顔が見えることは無いのです。
つまり、
「これは夢ですね。」
「いや、夢じゃないから。」
そんなはずはありません。
「夢の中にいる人はみんなそういうのです。」
「いや、それなんか違うから、って言うか思いっきり間違っているから。」
そうです、こんなときは、
「ほっぺたをつねればいいのです。」
と言って、私はほっぺたに手を伸ばします。
むぎゅ!
「痛い!何で、俺にするの。自分にするでしょ。」
翔さんのほっぺたは意外と気持ちいですね。
「さすが私の夢。」
「違うから。」
この夢ならば、昨日の早朝に仕事に行ってしまった美咲さんにも会えるのではないのでしょうか?
バタバタッ!
誰かが走ってきました。
キキーッ!
ブレーキかけてます。
バーン!
止まりきれなくて壁にでもぶつかったのでしょう。
ドーン!
ドアが吹き飛びました。
すごいですね。
さすが、美咲さんです。
やっぱり夢だと思ったとおりのことが起きるのでしょうか?
「いやな予感がして、急いで帰ってきたらこれはどういうことよ。千花は部屋にいないし、昨日の夜からあんたの部屋から出てこないって聞いたわ。って、何してるの?」
美咲さんが、叫んでます。
これは面白い夢です。
それより問題です。
「ここは私の部屋ではないのですか?」
「えっ!まさかあんたは千花ちゃんが寝てる間に連れ込んだのね。」
「誤解だ。しかも、俺は千花のせいで寝れなかったんだし。」
「///。このへんたいが~!」
「ちょっと待てどうしてそうなる。落ち着kぐぼっ!」
あの部屋のドアを吹き飛ばしたであろう蹴りが顔面に直撃しています。
痛そうですね。
私は、起き上がって周りを見ると、確かに翔さんの部屋です。
何か忘れているような気がします。
え~っと。とても大事なことだったはずなのですが。
翔さんがぼろぼろになっていきます。
早く思い出さなければ、翔さんの生命の危機(?)になってしまいます。
???
どうしたのでしょうか。
美咲さんがじっとこっちを見ています。
「千花ちゃんってそんなかわいい服も持ってたんだ。」
私の服はいつものしかもっていないはずなのですが……
私の視線は下へ降りていきます。
私の記憶が叫びます私の心が拒絶します
なにも思い出してはいけない
それ以上下を見てはいけない
しかし、人間の心と言うのは常に反するものをとるようです。
そして、私の視線の端は黒いフリルを捕らえてしまいました。
「夢の中でも着ているなんて、屈辱です。」
「さっきから言ってるがこれは夢じゃないぞ。」
「確かにゆめじゃないわよ。こいつが変態なんだから。」
「誤解だって言ってるだろ。」
二人は言い争っています。
そして、私の記憶は、昨日の地獄を再生します。
服、服、服!
「思い出しました。私、ここで泣き疲れて寝ちゃったんですね。美咲さん、勘違いです。」
「えっ。そうなの?」
私は、昨日の服から美咲さんは今の勘違いから恥ずかしさで顔が真っ赤になっています。
「そうなら先に言いなさいよ!」
美咲さんそれは暴言です。
だって・・・
「お前が言わせなかったんだろうが~っ!」
その叫びは、王都中に響き渡り原因究明にギルドが動いたと言うのは本人たちの感知するところではなかった。
一方、酒場では、翔を二人の少女が取り合っているという根も葉もないうわさが飛び交っていた。
曰く、三角関係
曰く、修羅場
曰く、ハーレム・・・etc
酒場にいた彼らは本人たちの前では決して言うことが無かった。
そのため彼らが、美咲の美咲による酒場にいた人たちのための地獄に送られるのは、もっと後の話である。
毎度ありがとうございます
今回は短いです。
なんか番外編みたいな感じですが違います本編のつもり
これからは大筋に戻す予定です(多分)