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神とともに歩む者  作者: mikibo
常識学習編
14/98

とある狼の真実とそれから舞踏会・・・

意味ありげな題名ですがあんまり意味はありません。

最後の一文以外、舞踏会はもはや関係ないしです。

しかも最後の一文いらなくない?とか思う次第ですが

あしからず

「えっ……?」

開かれたページを見て、絶句する。

天月の姿だ。

「そう、それが答え。」

美咲がいう。

「本当は、あなたも傷を治してほって行くつもりだったんだけど、記憶も失ってるし天月も頼むから、そのまま見せたんだけど。」

俺が見ている本を閉じ、題名を見せる。



神獣しんじゅう精霊せいれいの解釈』



「それって……?」

ある事実に行き当たる。



「そう、天月は神獣よ。」



太古より昔に、人とともに作られた神の眷属。

彼らは眷属としての力をふるった。

人は彼らを敬い、彼らは人を導いた。


しかし、人間の欲は深かった。

人々は、彼らを狩るようになった。

逃げたものもいたが、最期・・まで人を信じていたものもいた。


彼らは、ここ数百年姿を見せてはいない。

現在、すばらしい性能を誇る宝具といわれるものが存在する。

それらは、彼らの一部から作られたものである。


そして、それらが示すのは、は、かれらがいたという事実だけである。

人がかれらを見る機会はもはやないのかもしれない。

だがしかし、かれらを見たら何もせず引き下がることを切に願う。

これは、人間のせめてもの償いなのだから。

著・理香



以上がこの本の冒頭ページである。



「神獣や精霊を、欲しがるやからはとても多いわ。現に毎年、貴族たちが山狩りを行っているわ。この作者のように、彼らの平穏を願うものもいれば、自分の身分にかまけて働くことすらせず、遊んでばかりで狩りを行う貴族たち。どちらが、人間として上等なのかしらね。賢者の言がなければこの国はとっくに滅びてるわ。」

と、この国を皮肉る。

「そうだ、なぜ。さっきは止めたんだ。千花は信頼に値しないのか?」

と、美咲に問う。

「違うわ。多くの人に知られれば、それだけ欲深い連中に知られやすくなるのよ。このギルドは、信頼に値する人たちばかりだし、知られても大丈夫なんだけど、それでも用心するに越したことはないから。」

「ところで、そういう敬う風習はもう残っていないのか?」

「山のほうへ行けばどこにでもあるわよ。」

思わぬ回答に唖然とする。

「そうなのか?」

「だって、自然が生活に密着してるんだから。敬ってないのは、技術が進みすぎたところだけよ。自分たちが神のような力を手に入れたことで自分たちが偉いんだと勘違いしている。神のような力を手に入れても、それは所詮まがい物でしかないわ。人間は神にはなれないのよ。」

いつになく毒舌な美咲であった。

「さてと、あれ読むのよ?」

「あれって、あれ?」

「そうあれ。」

冷や汗が止まらない。

「ほんとにあれを読むのか?」

「そうよ。そこにあるじゃない。」

美咲が手にとった、本は『ワールド図鑑』。

「いや、それ何日で読まないとだめなんだ?」

「5日かな?観光するなら早く読んだほうがいいわよ。」

「何ページあると思ってるんだ!」

「2263ペ-ジ。」

「数えてたのか?」

聞いた俺はページ数を知らなかった。

「一日400ページだぞ。」

「だってそれ常識だもん。ほとんどの人が知ってることよ。あんたみたいなイレギュラーは想定してないのよ。それと、ギルドには適正テストがあるからね。成績が悪くても私の推薦だから落とされることはないと思うけど、ちゃんと知識詰め込みなさい。」

「了解。適正テストが終わってから観光することにする。」

「テスト後は、依頼準備期間があって装備とかのお金がもらえるからそのときに行くといいわ。出かけるときは、私も呼びなさいよ。あんたじゃ絶対ぼられるからね。」

多分、心配してくれてるんだなって行ったらなんか殴られそうな気がするからいわないでおこう。


しばらくして、美咲は出て行った。

さっきの本を美咲から借り、読みふける。

暗くなってきたと思い顔を上げると、ちょうど日が沈む頃だった。

「いつの間に?昼飯どころじゃないぞ、夕飯じゃないか。」

そこかよと突っ込みの入りそうなことをつぶやいた。

階下に降りてご飯を食べに行ったが、二人には合わなかった。

公衆浴場で体を洗い、部屋に戻った。

ベッドの上に寝転がりかけてから、眠気を誘われている時に気がついた。

そして、起き上がって椅子に座り机の上の一冊の本かいぶつと向き合う。

ため息をついて、俺はつぶやいた。



お嬢様 

どうか私と踊ってくれませんか



本を読むのにはちょうどいい月明かりが照らし、翔の背中からは哀愁が漂っていた。

よんでいただきありがとうございます。


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