表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

襲撃

「一体なんなんだ?」


アスモデウスだけじゃなく、施設全体がざわついていた。


「何が起きてるの…?」

結城さんが不安そうに袖をつまむ。


「敵襲!敵襲! 戦闘要員は直ちに配置につけ!」


館内放送の怒号が響き、結城さんは小さく震えた。

俺はそっと背中に手をあてて言う。


「大丈夫。俺たちは動くなって言われてるし、ここにいれば平気だよ」


そう言うしかなかった。



「アスモデウス、行くぞ」


「へいへい〜」


彼は小柄な体で、場違いなほど巨大な剣を引きずりながら歩いていく。


「またお前たちか、しつこいな」


軽い口調と裏腹に、ひと振りで敵がまとめて倒れていく。

そこへ、白い光が降りた。


「……やあ。久しぶりだね」


「誰が会いたかったって?僕はぜーんぜんだよっ!」


現れた金髪の男は、アスモデウスの攻撃を涼しい顔でかわす。


「本日は何用で?」


「私の“大切な人”の気配がしたものでね。返してもらいに来た」


「大切な……もの?」


アスモデウスが一瞬動きを止める。


「それを渡せば帰るのかい?」


「今は、ね」


「探し物は?」


「綺麗な黒曜石だよ」


「……あー、やっぱ渡せない!」


アスモデウスが斬りかかるが、逆に吹き飛ばされる。


金髪の男は大きな白い翼を広げ、戦場へ飛び立つ。


「待っててね、凜。すぐ迎えに行くから」



「À地点爆破されました!侵入者…捌ききれません!」

「うわぁぁぁぁぁぁっ!」

「たすけっ…」


「森川くん、大丈夫なんだよね?」


「……わからない。でも、今できることは逃げないことだけ」


真っ白な部屋で身を寄せていると、勢いよく扉が開いた。


「森川!結城さん!こっち来い!」


「神谷!」


「葵ちゃん!」


俺たちはふたりに連れられ、さらに下へ降りる。

広い運動場を抜け、最深部に着くと清水がいた。


「清水!状況わかる?」


「いや、急にここに集められただけで……」


そう答えかけた瞬間、神谷の瞳が金色に光った。


嫌な予感が走り、咄嗟に結城さんと清水を突き飛ばす。


「っ……!」


衝撃が腹に食いこむ。耐えられる程度だが普通じゃない。


(清水は腰抜かしてる……本物だな)


「偽物は藤田さんと神谷か」


「「避けられちゃった」」


ふたりが同じ声で笑う。そして一つにまとまりながら言う。


「ほんとは排除したいけど、ミカエラ様の指示で“殺し”は禁止なんだよね〜…でも一人くらいならいいよね?」


(避けたら結城さんたちに当たる!)


踏みとどまるしかなかった。


衝撃で視界が白く弾ける――

次に見たのは、床に横たわる“自分の体”。


「ひ……っ」


体は真っ二つ。上半身と下半身が完全に分断されているのに意識はある。


震える手で傷に触れ、回復魔法をかける。

光が走り、身体がゆっくり元に戻っていく。


「……君、なんでこれで生きてるの?」


藤田さんの姿をした何かが、素直に驚いていた。


だがそいつの視線が結城さんへ向いた瞬間、嫌な予感が走る。


(間に合え……!)


ふらつきながら飛び出し、二人の前へ。

衝撃が胸を突き抜け、息が止まる。


「も、もりかわ……?」


「森川くん!?」


「いいから……回復魔法……!」


結城さんの魔法で、ようやく呼吸が戻る。


「ん?お前からミカエラ様の匂いがするんだけど」


「知るかよ……!」


金色の瞳がじっとこちらを見つめ――


近くで爆発音。衝撃波が飛ぶ。


「君たち無事?」


振り返ると、アスモデウスが黒髪を揺らしながら立っていた。


小柄なのに、その剣が妙に頼もしく見える。


「剣でかくね?」


「でしょー?お気に入り!」


軽く笑って、襲撃者をまとめて蹴散らす。


「ちょっと厄介なの来たから、逃げて」


いつになく真剣な顔で告げる。


「逃げるってどこに?」


「あっ、たしかにね。……まあ、頑張って」


そう言うと去っていった。


俺は血塗れになった二人を見下ろしながら言う。


「神谷と藤田さんの“本物”、どこにいるんだ……」


「たしかに……」


「森川くん、怪我は……」


「平気。痛いけど、死なないし」


「まずはふたりを探そう!」


「うん!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ