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目覚め
今回は短いです。
「ん…」
「起きたか」
ユティシアが目を覚ますと、側にディリアスの姿があった。ディリアスは寝台の横に座っていた。窓の外を見ると、よく晴れた空は深い青に染まり日が高い位置にあった。自分は相当眠っていたのだろう。
「良かった…目を覚ましてくれて」
ディリアスの意外な言葉に、少し驚く。
「大げさですよ。私、体は強いんです」
傷に響いて痛みが走ったが、無理に笑う。
「具合は大丈夫か?」
ユティシアの額に冷たいディリアスの手が乗せられる。その手は、熱を持った額には心地良くて。
痛みでこわばっていた顔が少し緩む。
「まだ、熱があるようだな。安静にしておけ」
ディリアスはユティシアの髪をくしゃりと撫でる。ユティシアはくすぐったくて、目を細める。彼の存在を傍に感じながら、再び目を閉じた。
ユティシアさん、なんか若干性格変わってません?
…いえ、これが元のユティシアさんです。本当はいい子なんです。
少し反抗的な態度をとっていたのはご機嫌斜めだっただけで。




