夜の宴
外が暗くなり、闇が空を覆う頃。あたりは静まり返り、人々は活動を止める。しかし、今日は特別だ。昼間の、王妃のお披露目の盛り上がりはいまだ残っており、町の人々は酒を酌み交わし夜中になってもそれが収まる気配はなかった。城も同様に明かりが灯り、華やかな雰囲気でパーティーが開かれていた。
ユティシアはいろいろな人と対面した。初めてこういう場に出たので戸惑ったけれども、ディリアスやローウェが助けてくれて何とか乗り切った。
ディリアスはずっとユティシアを離そうとしなかった。
理由は、目の前でディリアスにうっとりとしている貴族の娘たち。離れれば、ディリアスもユティシアも彼女たちの餌食になることは間違いない。
傍から見れば、こちらが笑みを浮かべてしまうほど仲睦まじい姿に見えるだけだろう。
事情を知るローウェとゼイルは、傍で呆れた目をしてディリアスを見ている。
「そういえば、ユティに紹介したい者がいた」
そう言ってディリアスは少し離れたところにいた少年を呼んだ。少年はすぐに気付き、ディリアスの方へと歩いてきた。
「新しい魔術師長だ」
「始めまして、王妃様。アル、と申します」
そう言う彼はどこからどう見てもユティシアより年下の少年だ。見た目は良い。将来は女性の目を引く男性に成長することだろう。
「彼はまだ十二歳だが、実力は保証する」
アルはゼイルの親戚らしい。ゼイルの一族は優秀な魔術師を輩出してきた家柄で、ディリアスが魔術師長として一人よこすよう頼んだらしい。実力的にはアルは2位なのだが、一族最強の実力を持つ長老は年齢の関係で自体を申し出たために、彼にその役割が回ってきたらしい。もちろん彼はまだ12歳ということで反対する者も多かったらしいが。
「もちろん、補佐として優秀な者をつける」
「それはすごいですね。将来が楽しみです」
そう言ってユティシアは彼ににっこり笑った。彼はありがとうございます、とだけ言ってその場を去った。
普段はものすごい口が悪いので、我慢の限界に達しそうだったらしい…と知るのは後のことだが。
「よっ、ディリアス。久しぶり」
突然声をかけてきたのは隣国から来た王子だった。親しげに声をかけているところからすると、二人は知り合いらしい。
「お二人でご歓談なさっていてください。では、失礼します」
見たところ久しぶりのようだし、ここは自分がいないほうがいいだろう。そう思ったユティシアは、王子と自己紹介を済ませると、ディリアスから離れた。
「いっや~。こんな綺麗な奥方だなんて、お前も幸せ者だなあ。性格も、素直で可愛らしい方だし」
「まあな。お前も早く結婚したらどうだ」
「おれはまだ独身を謳歌したいんだ」
そう言う彼は自国で数多の女性を悩殺し、浮名を流してきた。早くから妻を持っているディリアスとは大違いだ。まあ、ディリアスも若い時はそれなりに遊んだが。
「そうか」
「…ところで、王妃様大丈夫?猛獣の中に放り出したようなものだよ」
遠巻きにユティシアとディリアスを見つめる者の目は、獣の目だった。
ディリアスはそれを聞いたとたん、ユティシアを探すためにどこかへ言ってしまった。
「王妃様、愛されてるねぇ…」
ディリアスを見送りながら王子は呟いた。
最近シルフィとアルヴィンの出番がない(泣)
…ちなみにこの二匹は友人の要望でいきなり話に登場することになりました。
「羽の生えた猫の使い魔を登場させて欲しい」ということで。
友人の話によると、二匹の瞳と毛色は某小説の登場人物の目と髪の色とまったく同じなのだとか。
…私はよく知りませんが。
お詫び
最近パソコンがバグりすぎて、更新がままなりません。
昨日も更新しようと思い、試みましたが…
Wordを開こうとする。…あれっ?クリックしても反応がないぞ。
仕方がないのでとりあえず連打してみる。…まずい!画面の色がグレー一色に染まった!!しかもフリーズしてる!!
とりあえず再起動を試みた!――が、起動中に再びフリーズ…。
……なんてことがありました(笑)
まあ、ぼろパソコンでも私にはなくてはならない相棒なので労わりながら使っていきたいです。