お披露目の準備
ダンスも礼儀作法もきっちり習得したユティシアは、お披露目に向けて準備が整いつつあった。ダンスは身体に叩き込んで何とか形になったし、礼儀作法は婚前にしっかり叩き込まれているのですんなり出来た。
ディリアスもローウェもゼイルも予想以上に優秀だと褒めてくれた。
「ユティシア、今日は採寸をしてもらう」
ディリアスはユティシアにそう告げた。
ドレスを作る事に関して国でも一番の腕の者なのだとか。…以前ユティシアを採寸してくれた人らしい。ユティシアはここで暮らし始めた当初、服を持っていなかったのでディリアスが急いで仕立て屋を連れてきてくれた。
ユティシアは早速自室で採寸してもらうこととなった。
採寸は始まったのに何故かディリアスは部屋を出て行かず、ついたての向こうで壁に背を預けて立っている。
体全体、色々な所を採寸された。それは、身体にぴったりのドレスを作るため。採寸は二度目なのに慣れない。
「王妃様は少し痩せすぎていらっしゃいますね」
採寸を終えた女性が言った。
ユティシアは長時間に及ぶ採寸に疲れ、ソファに腰掛けて休んでいたところだった。
「ほら、言っただろう、ユティは軽すぎるんだ」
すべて終わったと判断したディリアスがついたての向こうから顔をのぞかせた。
…抱き上げた時、軽すぎてこちらが心配になってくるほどに、ユティシアは軽い。
「でも、素敵なお体をしていらっしゃいますから、もう少しお肉をつければ大丈夫ですよ」
女性はユティシアに笑顔で言った。
ユティシアは身体のバランスは良い。出るところは出ているし、ウエストなどは引き締まっている。
「ところで、ドレスのデザインはどのようになさいますか、陛下」
ディリアスはドレスのデザインを相談し始め、ユティには出来てからのお楽しみだ、と言ってユティシアは部屋から追い出された。
ユティシアは暇なので、ふらふらとうろついていた。お披露目のために皆忙しく働いている。こんな時に暇そうにしているのはユティシアだけだろう。
ミーファはユティシアのただ一人の侍女ということもあって、休む暇もないぐらい働いているし、リーゼだって、陛下の信頼が厚いため何かと大変そうだ。
ディリアスだっていつも以上に忙しくしている。さらに、ユティシアのドレスのためにも時間を割いてくれている。
お披露目のための準備は進みつつあった。