国王の母
「ユティシア、起きて」
「ん…」
肩をゆすられて目を覚ますと、目の前には愛らしいフィーナの顔があった。
昨日は夜遅くにフィーナを帰すわけにもいかず、ユティシアの部屋で一緒に眠ったのだった。フィーナは疲れたのかすぐに眠ってしまった。すやすやと寝息をたてるフィーナは本当に可愛い。…そんなフィーナを見つめているうちにユティシアも眠りに落ちた。
ユティシアはフィーナを抱きしめようとして手を伸ばしたが意外な存在によって阻まれてしまった。
「おはよう、ユティ」
ディリアスがユティシアの額に口付ける。
状況が読めずに寝台の上で固まってしまったユティシアに苦笑しながら、ディリアスはユティシアの髪を梳きはじめた。
「…なんで陛下がいるのですか」
やっと頭が回転し始めたユティシアはフィーナを抱き上げながらディリアスに疑問をぶつける。
「ユティシアがなかなか起きないから起こしに来た」
「……それは、ありがとうございます」
ユティシアは素直に礼を言った。
「疲れているのか?すまない…慣れない生活を強いているのは分かっている」
ディリアスは心配そうにユティシアに問う。
ユティシアはふるふると首を振った。
「そんなことは…ただ、昨日は久しぶりに身体を動かしたので…」
「そうか。疲れたらきちんと休め」
「ところで、私は何か予定が入っておりましたか?」
そうでなければディリアス自らが起こしに来ることなどないだろう。
「ああ、突然母上がユティシアに会いたいと言い出してな」
「陛下の、お母様?」
ディリアスの母にあたるシャラは先代の王と共に国を反映させた存在としてその名を轟かせている。先代の王が亡くなった際にも、圧倒的な政治的手腕と王妃時代に得た地位で、即位間もないディリアスを助けたのだという。
王妃時代の功績により、ディリアスも含め皆シャラに頭が上がらないので、王妃に頼まれたことは誰も断れないとか。
「ミーファ、十分以内に仕上げろ」
「畏まりました!!」
気合たっぷりのミーファが待ってました、とばかりに姿を現す。
そうしてユティシアはあっという間に着替えさせられ、今はディリアスに連れられシャラの部屋へと向かっているところである。
「すまないな、母上がどうしても…と言って聞かなくてな」
「いえ…お会いするのが楽しみですよ」
ディリアスとしては、大人しくて可愛らしいユティシアが母の毒牙にかからないか非常に心配なのだが…ユティシアはそんなこと、知るはずもない。
「朝食は母上のところで食べる」
「そうですか」
あまり食べないユティシアは、朝食の事などたいして問題にならない。
「着いたぞ。ここが、母上の部屋だ」
そう言ってディリアスは部屋の扉を開いた。
その瞬間、ユティシアは部屋から飛び出してきた何者かに抱きつかれた。
お詫び
最近自分の小説を読み返してみると、文章が抜け落ちている所が大量に見つかりました。読んでくださっている方、本当にすみません。
修復を試みる…かもしれないですが、私はその場の勢いで書いているため、もとの文章がまったく保存されておりません。
完全には無理ですが、少しずつ直していくと思います。