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出来ること

ディリアスを探して執務室に行ってみたが、彼の存在はなかった。ユティシアは体を休めようとソファに腰掛けた。



「何か悩み事でも、王妃様?」


ディリアスのことを考えていると、ローウェが声をかけてくる。


「陛下を…傷つけてしまった気がするのです…」

ユティシアは今までの経緯をローウェに話した。


「そうですね…陛下はマウラ様が亡くなられたとき、とても自分を責めていましたからね…」

「私、何があったのか知らなくて…だからこそいっそう傷つけてしまったのではないかと」


ユティシアは、ディリアスとの距離を測りかねている。どこまで彼の心に踏み込んでいいのか、踏み込むことができるのか。

無理に知ろうとは思わない。ユティシアだってディリアスに話していないことはたくさんある。ディリアスも話したくないことがあって当然だと思う。


でも、少しだけ寂しいと思ってしまうのだ。ユティシアはディリアスに自身の弱みをさらけ出した。誰かを頼ることなんて考えなかったユティシアにとって、とても大きなことだ。ディリアスはユティシアのことを知っているのに、ユティシアは何も知らないような気がしてくる。

それは、4年前に城を飛び出したユティシアの代償だと思う。ユティシアの知らない過去を抱える彼らに踏み込むことがかなわない。


「陛下を支えるのは、王妃様です」

「でも…私だけでは何も出来ない気がして…」

「貴女が役割としてそうしなければならないのではなく、本当に辛いとき陛下を支えることが出来るのは、王妃様だけだと申し上げたのです」

ローウェの瞳は本気だった。


「もう…あの方を苦しみから解放して欲しいのです。陛下は強いからこそ、辛いことを誰よりも抱え込んでいると思うのです」

「…はい」

「あなたなら出来ますよ」

ローウェの言葉にユティシアは強く頷く。そして、ディリアスの元へ向かった。



―――あなたなら出来ますよ―――

先ほどいった言葉は嘘ではない。ローウェは信じていた。ユティシアならできると。


ディリアスは信用のおけない者には傲岸不遜な態度をとる。相手と同じ立場に立てば、弱みを見せてしまうことに繋がるかもしれないから。そんな態度をとらないのは、幼馴染であるローウェやゼイルだけだった。

ユティシアにも最初は拒むような態度をとっていた。…なんせ4年前に国から逃亡したような人間だ。優れた魔法の腕も持っている。いつもより余計に警戒を強めていたに違いない。


しかし、最近は違う。ユティシアと同じ目線に立とうとしているし、前妻マウラにすらなかった気遣いを見せている。徐々にだが、ユティシアの前では彼の普段被っている仮面をとることが多くなった。


だからこそ、マウラやフィーナに関することでユティシアに対してそういう態度をとったのだと思う。本来ならば、表情を変えずに冷たくあしらって終わりだ。


――――ユティシアなら、大丈夫だと思ったのだ。


遅くなりました。作者は怠け者なのでなかなか書けず…

スランプとかはありえないです。

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