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赦免

「さてと、シアちゃんの方の罪だけど」

リンがユティシアの方を振り返る。

「処罰はなし。間違いのようだしね。早とちりした私達が悪かったわ」

その瞬間、その場にいた全員から拍手と喜びの声が沸き起こる。


「どうして…」

ユティシアは驚いてリンを見つめる。

「陛下から説明があったわよ」


ディリアスは話を聞いてすぐリンに頭を下げたらしい。

「私の部下の愚かな行いによって、騎士団の名誉を傷つける結果となってしまったことをお詫びする」

そう言って謝ったらしいのだ。


ディリアスがそんなことをするなんて。国王は簡単に謝ったりしない。なぜ…


「でも、問題はもうクビになってるってことなのよね~」

リンの呟きに、先ほどまでの喜びの声はぴたりと止まる。


「そんなのありかよ~」

「リンさんの権力で何とかしてくださいよ」

「たぶん無理ね」

リンは皆に非常な言葉を言う。


騎士団はクビにされると復帰は難しい。自主的にやめた者は再び仕事に就けるが、罷免された者は犯罪や問題を起こした者に限られるため、受け入れてもらえない。


ユティシアは顔をゆがめ、俯く。

ずっと、ここにいたかったのに。完全に心の拠り所を失ってしまった。


「その点については大丈夫だ」

ユティシアは肩にそっとコートをかけてきたディリアスを見つめる。

「彼女は私の正妻になるからな」

ディリアスが爆弾を投下した。

…いえ、ぜんぜん大丈夫じゃないです。ユティシアの心の声は届かない。


「俺、シアちゃん狙ってたのに」

「俺も~、騎士団に女の子少ないし」


また大騒ぎしている連中を放っておいてディリアスはユティシアに声をかける。

「おい、変身の魔法を解け。怪我、隠しているだろう」

ユティシアはしぶしぶ魔法を解く。

「痣以外は無事だな?」

ユティシアはこくんと頷く。


「では、行くぞ」

「あの…陛」

ユティシアの言葉を遮り、ディリアスはその手を引いて騎士団の扉に手をかけた。


ディリアスはふとその手を止めるとリンの方を振り返った。

「ユティシアが世話になったな」

「彼女をよろしくね。けっこう鈍い所があるから」

「知ってる」

ディリアスが苦笑する。


シアちゃん、とリンに声をかけられユティシアも振り返った。

「強い魔物が出たときはあなたにも協力してもらうわよ」

リンは悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「これからも、たまに遊びにきてくれよ」

「やめても仲間であることに変わりはないからな」

騎士団の皆も口々に声をかけてくれた。


「では、そろそろ失礼する」

ユティシアはディリアスに手を引かれ騎士団を出た。



~その後の騎士団~

「彼女の素顔、初めて見たわね」

「すげえ美人じゃん」

「彼女の絵姿でも売りさばいとけば良かったわ」

リンが残念そうに呟く。

「てか、あの人国王だったんだよな」

「ということは、彼女は王妃になるのね」

「………」

「………」

「俺本気で狙ってたのに……」

「………」

「………」



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