予感
ディリアスはユティシアの魔力を魔眼で探しながら、城下を歩いていた。今日は人が多いのでいろんな魔力が入り混じり、探すのが難しい。
大通りをまっすぐ歩いていると、ユティシアの魔力が見えた気がして、そちらを見る。確かあちらは騎士団“光の盾”の本部だったか。
このディスタール国に騎士団の本部が置かれているのは、設立に協力したのがこの国の昔の国王だったかららしい。それにディスタール国は大陸の中心となる大国である
ユティシアは騎士団に所属していたと語っていた。それに、ユティシアを捕まえたのも騎士団だ。可能性は…高い。
ディリアスは眼を凝らし、騎士団を視る。
………いた。間違いなくユティシアの魔力だ。
ユティシアの魔力は美しい。煌めく銀の色にわずかに青が混ざり、夜になるとその色はいっそう映える。その魔力は美しさと膨大さで、ディリアスに圧倒的な存在感を見せつける。魔眼を使うたびユティシアの魔力に惹かれてしまう。
ユティシアの魔力を視ていたディリアスだったが、突如異変が起きた。
――――ユティシアの魔力が激減した。
魔具か何かを使われたのか。原因はわからないが、ユティシアの身に普通でない事態が起こっている。……嫌な予感がする。
ディリアスは走り出す。騎士団までの道のりがとても遠く感じる。
その間も、ユティシアの魔力が元に戻ることはなかった。
騎士団の扉を開け放ち、中に入る。
騎士団内は、ひどく混乱している様子で、ディリアスが入ってきたことに気付いていない様子だった。
「おい、どうするよ。シアが連れていかれたぞ」
「でも、俺らじゃあいつにたちうちできねぇし」
シアという名前が飛び交っている。………もしかして、ユティシアのことか。とすると、この騒ぎにユティシアが関わっている可能性がある。
「ちょっと、何の騒ぎよ!?」
騒ぎの中で登場したのはリンだった。リンは騎士団を束ねている者の孫で、いつも依頼の管理を担当している。
「それが………」
皆口々に話し始める。ディリアスはその内容に目を見開く。
「私が留守の間にやってくれるわね…」
すべて聞き終えたリンは頭を抱えている。
「さあ、皆動いて。あの男は許しておけないわ」
騎士団員はリンに指示を受けると、先ほどうろたえていた姿が嘘のように自分の役割をこなしていく。
「俺にも協力させてくれ」
ディリアスがリンに向かって進み出た。
―――リンとディリアスはユティシアを助けるべく、動き出した。
昨日更新するの忘れてました。
本当に、申し訳ありません。