表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/58

試合終了

二人の壮絶な戦いは意外な形で幕を下ろす。


剣を打ち合っている際にディリアスの耐性強化の魔法が切れた。ゼイルがその好機を逃すはずもなく剣を振るう。


剣を交わしたその時――二人の剣が同時に折れた。

ゼイルの剣は先ほどの無茶な扱いで亀裂が入っていたようで、刃は砕けて地面に落ちた。


二人はもう一方の剣の行方を目で追った。

――――その先にいたのは、二人の試合を見ていたユティシアだった。


「ユティシア!」

ディリアスが叫ぶ。身体を動かしたことにより熱を持っていた身体は、一気に冷める。


折れた剣先はくるくると回りながらユティシアに向かって飛んでいく。練習用の剣と言えども、人を傷付けることは可能だ。


周りにユティシアを守ることのできる騎士は誰もおらず、皆ただ成り行きを見守るしかなかった。ゼイルは魔法を使おうと試みるが、詠唱に時間がかかり間に合わない。ディリアスは何も出来ずに歯噛みする。


そのとき、隣にいたローウェが反射的にユティシアを庇い、抱え込んだ。

…幸い剣は二人の頭上を通過し、皆ほっと胸を撫で下ろした。


しかし―――――――

「ローウェ、後ろ!!」

ゼイルの焦ったような叫び声に気付いたローウェが後ろを振り返る。壁に当たった剣が跳ね返り、再びユティシアたちに襲いかかっていた。


今度こそダメだ、と皆が思った。ユティシアだけでも守ろうとローウェはさらに腕の力を強め、身体を伏せた。


だが、いつまでたっても剣は飛んでこなかった。ローウェが閉じていた目をゆっくり開けると、魔法によって築かれた半球型の壁に二人は覆われていた。


観客はしん――と静まり返っている。何が起こったのか、誰も把握できていないようだった。



「ユティ、無事か?」

駆けつけて来たディリアスが肩で息をしながら問う。

「ええ、二人とも」

座り込んだままのユティシアが、ローウェ振り返りながら答えを返す。ローウェは立ち上がって、服についた埃を手で払っている。


いつの間にか静まり返っていた観客が騒ぎ出し、辺りは騒然となっていた。


「今日はこれで失礼させてもらう」

ディリアスはユティシアを抱き上げると、ローウェと共に訓練所を後にした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ