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捕縛

大陸全土に名をとどろかせている騎士団“光の盾”。国が持つ騎士団とは違い、“光の盾”は大陸中に存在し、そこに所属する者たちは町の治安を守ったり、魔物の討伐依頼を請け負ったりして平和を守っている。


“光の盾”本部である、ディスタール国王都の騎士団に一人の少女が姿を現した。フードがついた足元まである長いコートを着ている。


――シア、という名の少女だった。彼女は騎士団で魔物狩りを仕事とする者に贈られる最高の称号“狩人”を持つ魔法師だ。その名は今や大陸中に知れ渡っている。魔法師でありながら剣を扱うこともでき、その腕は魔法と同様並外れている。その戦いは美しく、見る者の心を奪ってしまうらしい。

 

彼女の剣の師はアストゥールといい、凄腕の剣士だ。彼はあらゆる方面でその実力を発揮し、多くの称号を持つ。彼の武勇伝はいたるところで語り継がれている。…シアからしてみればただのダメ男にしか見えないが。


称号を持つものは何人もいるが、現在“狩人”の称号を持つのはシアとアストゥールのみである。身体能力が高く、特殊な能力を持っている魔物を倒すということは、人を相手にするよりも危険が伴う。騎士団の中でも敬遠されがちな職業である。知能のない獣よりも狡猾な人間の方がよほど恐ろしいのに…とシアはいつも思うのだが、その意見に賛同してくれた人は今だかつていない。


「あら、シアちゃん。討伐は、うまくいった?」

カウンターにいるリンに声を掛けられ、シアは目深に被ったフードの下で微笑む。

「ええ、少してこずりましたが。最高ランクの魔物は珍しいので、高額報酬は久しぶりになりますね」


最強ランクの魔物が出没すると尋常でない被害が出るため、国から直接討伐依頼が来て、依頼料は国庫から支払われる。よって報酬は破格の値段となる。


「やっぱりシアは凄いな」

「流石だな」

「シアちゃんは世界一の魔法師だ」


騎士団にいた男達はシアを口々に誉めそやし、盛り上がっている。シアは自分の力を誇ったりせず、気さくな性格をしているので騎士団の中では人気者である。

 

にぎやかな雰囲気に包まれていた騎士団であったが、突如、それを破るものがあった。


勢い良く入り口のドアが開かれ、そこには立っていたのは豪奢な服を身にまとった男だった。男は、相当の手腕のようだ。室内に一気に緊張が走る。後ろには何人も男と同じような制服をまとったものが控えていた。


「こいつか、魔法師長」

男が、傍に控えているローブを着た魔法使いらしき男に話し掛ける。

「ええ、間違いないようです。魔法の気配が同じですので」

男は確認を取ると、シアの方に向き直った。

「国王陛下の命により、お前を捕縛する」

男は控えていた者たちに命じてシアに縄をかける。シアは無言のまま従った。

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