第71話 調べれば調べるほど、私のヤバさがバレてく件☆
いや〜、昨日あの「ぽんっ☆」でデータ消したし、これでスッキリ解決〜!
……って思ってたら、まさか裏で“あの人たち”が本気出してきてるなんて聞いてないんだけど!?
ちょ、やだ〜! 私、遊びたいだけなんですけど〜!?☆
ルネアは、今日も教室の窓際席でぽけ〜っと外を眺めていた。
口にはお菓子、顔にはのんびりとした笑顔。
一見すればただのマイペースな生徒だ。
「……でも、なんか今日は先生たちの目線が、やたらスキャンしてくる気がするんだけど?」
小さくつぶやきながら、ルネアは教室内をぐるりと見回す。
何人かの生徒が、明らかに彼女を意識している。しかも、微妙に変な目で。
尊敬でもなく、警戒でもなく……“確認するような視線”。
「もしかして……昨日のあれ、誰か撮ってた……とか?」
ルネアは、自分を監視しているのが一人や二人ではないと、とっくに気づいていた。
「は〜……人気者ってつらいわ〜☆」
なんて冗談ぽく言いながらも、その目は教室の壁の向こうさえ見透かしているかのように鋭かった。
──その頃、王国情報局。
「……ルネア・コードA07。過去一週間で感知された魔力反応、これ……おかしくないか?」
端末を覗き込んでいた解析士が、額に汗をにじませながらつぶやく。
精霊としての魔力とも違い、人間とも違う。
まるで——「既存の魔力構造を逸脱した“別系統”の信号」。
「……特異点、かもしれんな」
一人がぽつりとつぶやいた。
──再び、教室。
ルネアは、何事もなかったかのように立ち上がり、廊下へと出た。
そして、わざとらしく魔導工学棟の裏手へと足を向ける。
「あ、そこの人、なに隠れてんの〜?」
声をかけられ、物陰からひょこっと飛び出したのは……見慣れない制服の少年。
王国魔導局所属。緊張した顔で何か言い訳しようとしたが、すでに遅い。
「またか〜。バレバレすぎて、もうツッコむ気にもならないんだけど?」
ルネアが指をぱちんと鳴らすと、足元に仕掛けられていた隠密魔法がパリンと音を立てて砕けた。
少年の足がもつれ、ゴロンと転がる。
「監視するなら、もうちょっと可愛く来てほしいな〜☆」
ルネアは笑いながら、その場を後にした。
──その直後。王国情報局の作戦室には、最新の報告書が投げ込まれていた。
『※対象は監視を完全に把握している』
『※現在の魔力反応、操作の痕跡あり。意図的な波形変更の可能性』
『※制御不能のリスク:高』
報告を読み終えた上官が、ぽつりとつぶやいた。
「……彼女、本気で“遊んでる”だけだとしても……その“遊び”に付き合わされる側は、命がいくつあっても足りないな」
いやいやいや、ちょっと見られたくらいでそんなに大騒ぎしなくてもよくない〜?
私としては、ただの“遊びの延長”ってだけなんだけどっ☆
次回、「そろそろ本気で遊ぶ時間だね☆」お楽しみに〜♪




