第55話:ちょっとドキドキ?学園生活に異変の予感☆
ティアラと仲良くなるって、思ったよりも自然だった。
でも、そういう時に限って“イベント”って起こるんだよね〜。
楽しい学園生活に、ちょっとした影がチラリ。
翌朝の教室は、昨日よりも少しだけざわついていた。
廊下を歩くと、あちこちから「昨日の結界、見た?」「あれヤバすぎだよ!」なんて声が聞こえてくる。
「ねぇ、ルネア……今日、なんか注目されてない?」
「うん、昨日の私、ちょっと派手だったかも☆」
クラスメイトの視線がいつもよりもピリッと熱く、でもどこか好奇心に満ちていた。
ティアラと並んで座ると、後ろの席の子たちがヒソヒソと盛り上がっているのがわかる。
「でも、悪い意味じゃなさそうよ。むしろ、期待してるっぽい?」
「期待って……私、ただ教科書読んでなかっただけなんだけど?」
そのとき──
「失礼しまーす!」
明るい声が教室に響き、ドアが勢いよく開かれた。
入ってきたのは、赤いポニーテールを揺らす少女。制服を片方だけ肩から外し、見るからに自由奔放な雰囲気を漂わせている。
でも、その目だけは、鋭く獣のように光っていた。
「お、あんたが“噂の転入生”ね?」
私の机の前にずかずかと歩いてくると、腰に手を当ててこちらを見下ろしてきた。
「アタシ、フレイア。武技科の代表やってる者よ」
「……え? はじめまして?」
「ルネアでしょ? 昨日の結界、ちょっと面白かったから、見に来たの」
(“見に来た”って……この人、絶対バトル脳だー!)
フレイアは一瞬、私の顔をじっと見つめた。
なんか、服のシルエットから体格まで……ぜんぶ観察されてる気がする!? や、やだ、恥ずかしいっ!
「ねぇ、今度の合同実習で組んでみない? どんな奴か試してみたくてさ」
「試すって……私、そういうガチの人、ちょっと苦手なんですけど……」
「ふふ、怖がってるの?」
フレイアは唇の端を吊り上げ、戦士特有の挑発的な笑みを浮かべる。
その姿に、教室の男子たちが「うわ、やっぱフレイア先輩だ……」とざわついた。
「先生にはアタシから言っとく。じゃ、またね〜!」
そう言って、フレイアは軽くウィンクして、教室から去っていった。
(……なんだったの、あの人。こわいけど、なんか……ちょっとカッコよかったかも?)
「……ティアラ、今の何?」
「ルネア、人気出るの早すぎってば……」
でも。
ちょっとだけ、ワクワクしたのも事実だった。
誰かと組んで、ちゃんと戦うのって、たぶん初めてかもしれない。
また新キャラ登場!?ってくらい強そうな人が来たけど……
まさか合同実習で“ペア組む”なんて、聞いてないし〜!?
でもまあ、フレイアって人、ちょっと楽しそうだったし?
次も……軽〜く、遊んでみようかな☆




