第54話:はじめてのペア実習!だけど私、教科書読んでないんだけど☆
教科書って、開いたことなかったんだけど……まさか今日、必要になるなんて聞いてないよ〜!?
しかもペア実習って、急に言われてもっ!
……でも、ティアラと一緒なら、なんとかなる気がする☆
「今日の実習は二人一組で行います。テーマは、基礎魔法による“結界形成”です」
先生の声に、教室がざわめいた。
「け、結界……って、あれでしょ? 防御魔法系のやつ……」
私は隣のティアラに目で訴える。
ティアラはすでにやる気満々の顔。
「ルネア、頑張ろうね! 教本の第7章に全部載ってるから、見て……えっ、見てないの?」
「☆」
返事はにっこりスマイル一発で済ませた。ダメ? やっぱダメ??
「しょうがないなぁ……私が指示するから、ルネアは“感覚”でやってみて」
「任せて! 感覚だけならちょっと得意☆」
私はとりあえずティアラの指示通りに、マナを流してみた。
手のひらの上に光が集まって、空気がピリッと変わる。
「……って、え、えぇえ!? なにこれ、強すぎっ!!」
ティアラが思わず後ろに跳ねた。
私の“感覚”だけで展開した結界は、周囲の生徒たちの魔力を一瞬だけ押し返した。
「ご、ごめん!? 力、加減したつもりだったんだけどっ」
「さすが伝説級の精霊……」
後ろの席の男子がポツリとつぶやく。
その瞬間、周囲から小さな拍手がわき起こった。
「うそ……これ、ほめられてるの?」
「うん、みんな感動してるみたい……」
ティアラは苦笑いしながらも、ちょっと誇らしげな顔で私を見てくれてた。
……なんか、嬉しいかも。
周囲を見回すと、別のペアは結界の形が崩れて先生に注意されていた。
「そこのグループ、魔力の安定が足りないわよ!」と先生の声が飛ぶ。
一方、私たちの結界は透明な膜のように完璧に形成されていた。
先生も私たちの方を見て、ほんの一瞬だけ驚いた顔をしたけど、すぐに「よくできました」と言ってくれた。
「いや〜、これって私、結界の才能ありかも?」
「ううん、むしろ結界すら“遊び感覚”で作れるのがすごい……」
実習が終わった後、ティアラがこっそり耳打ちしてきた。
「ねぇ、ルネアって……ほんとに、すごいんだね」
「え? 今さら?☆」
「……ふふっ、ちょっとだけ、ドキッとした」
……え? それって、どっちの意味?
今日は予習ゼロで突っ込んだけど、なんとかなったね☆
やっぱり“感覚”って、大事! ……たぶん!
でも一番の収穫は、ティアラと“もっと仲良くなれた気がする”ことかな♪




