第51話:まさかのペア!?ツンデレ騎士と課題地獄☆
新学期ってさ、なんでこう、イベントとか多いの〜!?
しかもよりによって“彼女”とペアって……
あはは……うん、嫌いじゃないけど、怖いよ!?☆
その日は特別授業の日だった。
教室の前に立った先生が、パリッと声を張る。
「本日から数日間、課題実習を行う。テーマは“魔力の循環と制御”。
君たちはランダムでペアを組み、共同で実験し、レポートを提出してもらう」
(実習って、そんな突然!?)
先生が読み上げるペア表を、私は半分ぼーっと聞いていた。
でも、次の瞬間。
「ルネア・フェルディナ——セリス・アイゼン」
(……え?)
ちらりと横を見ると、セリスも目を見開いてこちらを見ていた。
「……ペア、らしいよ?」
「信じられない。なぜあなたと……」
「えへへ、運命ってやつかも☆」
「最低の運命ね……」
* * *
放課後、実習室の一角に設けられた二人用の机。
私とセリスは向かい合って、沈黙。
「……で、まずどうする?」
「基礎理論からまとめて。魔力制御の公式、どれまで覚えてる?」
「……そもそも、その公式ってなんだったっけ?」
「はぁ……」
(え、今、ちょっと呆れられた?)
セリスは溜息をつきながら、教科書を開いてノートにびっしりメモを取り始めた。
私はというと、ペンをくるくる回しながら、彼女の横顔を観察していた。
(めっちゃ真面目……集中力すご……)
「あなた、何もしてないわね」
「観察っていう立派な作業をしてます☆」
「……まったく。いいわ、私が書くから、あなたは器具を準備して」
「任せて〜!」
私は笑顔で立ち上がり、魔力測定器やらグラス管やらをごそごそと準備。
……のはずが。
「きゃっ!」
測定石を落として、カーン!と派手な音。
「……不安しかないわ」
「で、でも見て! 完璧に組み立てたよ!☆」
「そこ、配線が逆よ」
「……」
(ルネア、ピンチ。)
* * *
何度かやり直した末、やっと装置が動き始めた。
セリスの魔力が流れるたび、装置の結晶が柔らかく光る。
「ふむ……あなたの魔力特性、かなり希少ね」
「え、ほんと? わーい、褒められた〜☆」
「……褒めてはいない」
(うんうん、ツンデレってこういうことだよね☆)
私は結晶に自分の魔力も流してみると、光が一瞬ビリッと弾けた。
「えっ……!?」
セリスが思わず手を伸ばして、私の手を掴む。
「あなた、今の魔力……ただの精霊じゃないわね?」
「……あはは〜☆ それ、秘密にしといて〜?」
「……やっぱり、あなた、面白いわ」
(あれ……? 今の、ちょっと距離縮まったかも☆)
まさかのツンツンさんとペア作業!
最初はどうなることかと思ったけど……なんだかんだ、悪くないかも?
さて、明日はちゃんとレポート出せるのかな〜☆




