第41話:ひとつの終わり、そして次の扉へ☆
戦いの後って、やっぱりお腹すくよね〜。
でも今回の相手、ちょっとだけ……不穏だったかも?
いや、だってね……見たことない形してたし、魔力も違ったし、しかも反応が鈍くて逆に怖いというか……!
「ふぅ〜、今回の戦いも派手だったなぁ……☆」
空に漂う黒煙を背に、私は軽くストレッチしながらつぶやいた。
周囲には、今さっき倒した機械兵たちの残骸が転がっている。焼け焦げた鉄の匂いが、鼻をかすめた。
ナリが近づいてきて、慎重にその一つを調べていた。
「ルネア様、これ……見てください」
ナリが拾い上げたのは、そのうちの一体の“コア”だった。
私はそれを受け取り、表面に刻まれた紋様を見つめた。
「……あれ、この紋様、なんか見たことある……?」
「人間王国の南部で使われていた古い魔術式に似ています。かなり前の記録ですが……」
「え、王国ってあの人間の世界? なんでそんなのがここにあるのさ〜?」
リシャが近づき、資料を照らし合わせながら口を開く。
「……これ、たしかに王国時代の封印兵器に使われていた設計文様です。しかも……再構成されてる」
「再構成?」
「つまり、古代の兵器を今の誰かが“改造して”使っているってことです」
(え、それ……またこんなのが出てくるってこと!?)
私は内心で「うへぇ〜」と叫びつつも、すぐに真剣な顔になった。
「……となると、ちょっと人間界、行ってみるしかないかも☆」
「えっ、急にですか?」
「だってさ〜、またこんなのがポンポン出てきたら困るし。何より……王国の誰かがコレに関わってるなら、それはそれでヤバいよね?」
ナリがうなずく。
「古代兵器の再稼働は、精霊世界にも脅威をもたらします。早期確認が最善です」
「よし、じゃあ決まりだねっ! 人間界にれっつご〜☆」
私は指を鳴らして、背伸びをした。
* * *
数日後。
私はリシャとナリを連れて、人間王国との境界にある街道に立っていた。
視界の先には、広大な草原と、灰色の石で築かれた巨大な城門。
その奥には、高い塔と赤い瓦屋根の家々がずらりと並んでいた。
「おお〜……人間の国って、けっこう文明的なんだね〜☆」
「ルネア様、あまり声を出さないでください。目立ちます」
「え、そんな目立ってる? この格好、わりと地味だと思ったけどな〜」
「金髪、宝石のような瞳、輝くオーラ……全部目立ちます」
「なるほど納得☆」
私はフードを深く被り、さらに魔力を抑えて気配を最小限にした。
(まったく、遊びじゃないのに……なーんか楽しくなってきたかも♪)
「王都の図書館に行ければ、魔導兵器の資料が見つかるかもしれません」
「そして、内部調査を進めるなら、学園か行政関係の施設が狙い目ですね」
「……ってことは、そろそろ例の“完璧な人間のフリ”を見せるときだねっ!」
私はふふっと笑い、偽造した身分証をナリにちらりと見せた。
「完璧な☆一般学生! やってやるよ〜!」
次の目的地は、“人間の世界”。
ちょっとだけ危険かもだけど、だからこそ、私が行く意味がある!
うんうん、これはもう……冒険の予感だよね☆




