第三十六話:残骸チェックしてたら、まさかの“呼び出し”入りました!?☆
「うーん……これは、ただの壊れたパーツじゃないかも?」
バインダーの残骸を囲んで、私はしゃがみ込んだ。
煙はほとんど消えていたけど、魔導コアからは微弱な脈動が続いていた。
「リシャ、ナリ。これ……まだ何か“つながってる”感じ、しない?」
「はい。魔力の回路が完全には切れていません」
「封印魔術を施しますか?」
「ううん、ちょっと待って。
むしろ、逆に“どこに繋がってるか”調べてみたいんだよね」
私は慎重に手を伸ばし、魔導コアの端に触れる。
その瞬間——
ビリリッ!
「っ!? 視界が……揺れた!?」
光が一瞬、脳裏に差し込んだような感覚。
そして次の瞬間、私は“情報”を受け取っていた。
> 【次段階:準備完了】
> 【転送門 開始地点:森の深層域】
「転送門!? しかも、もう始まってるってこと!?」
私は思わず立ち上がった。
「やば……このままじゃ“何か”が来る!」
「どうしますか、ルネア様?」
「行くしかないでしょ、こっちから!」
私は微笑みながら、拳をポンッと打った。
「どうせ来るなら、迎えに行っちゃおうか☆」
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森の深層域へと進む。
空気は冷たく、音もない。
さっきまで晴れていた空は、いつの間にか雲に覆われていた。
「なんか、さっきまでと“気”が違う……」
ナリが小声でつぶやく。
「はい。ここは、通常の森とは異なる結界の気配がします」
「封じられてた場所、ってことか」
そのとき。
私たちの前に、ふわりと光が現れた。
それは——空間に“門”のような裂け目。
「転送門、これだ……!」
でも、まだ安定はしていない。
今なら、先に突っ込んで“こっちから待ち伏せ”もできるかもしれない。
「行ってみる? リシャ、ナリ」
「もちろんです!」
「補助は任せてください!」
「じゃ、突入開始〜☆」
私は足元に魔力を集め、ふわりと跳び込んだ。
白い光に包まれながら、心の中でひとつだけ思った。
(どうか、大きい敵じゃありませんように……)
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転送先は——静かな広場。
でも空間の歪みは、今も音もなく脈動していた。
これは……“入口”じゃない。
“舞台”だ。
どうやら、今回は“待ってる”んじゃなくて、“呼ばれた”っぽい。
なら、いいよ。
呼んだなら——ちゃんと、遊んであげる☆




