第3話:実はワタシ、食べられそうでした!?
今回は……食べるか、食べられるかのギリギリ攻防!?
森って、ほんと油断できない!!
「お腹すいた……」
浮遊しながら、私はお腹をさすっていた。
精霊って食べなくても大丈夫なんじゃなかったっけ……?
「この世界、ルールゆるすぎじゃない?」
昨日の“モフ”との出会いも、どこか幻みたいで。
今はもうひとりぼっちに戻って、また食べ物探しの旅へ。
「せめて甘いものが欲しい〜……あ、スイーツ的なやつ……!」
そう思っていたそのとき、
木の陰に、ぽつんと真っ赤な実が見えた。
「うおっ!? あれは……!」
つやつや、ぴかぴか、甘酸っぱそうな香り。
誰がどう見ても、おいしそうなやつ。
「今日のおやつ、君に決めたーっ☆」
私は手を伸ばした。
でもその瞬間――
「ちょっ、やめてえええぇぇぇーーっ!!!」
「……え?」
誰もいないはずの森に、突如響く絶叫。
視線を落とすと、私の手の中の赤い実が、ぷるぷる震えていた。
「え、えええ!? もしかして……今の声、君なの!?」
「はいっ! 私は森の監視精霊“ナリ”と申しますっ! 食べないでくださいぃ〜!!」
「精霊!? 食べるところだったよ!? 私、もうちょっとで精霊食いになるとこだったんだけど!?」
慌てて手を引っ込めた瞬間、
実の皮がぺりっとめくれ、中から出てきたのは――
ちっちゃな顔、まんまるな目、そして……金の王冠。
「な、なんで王冠ついてるの!? ただの実じゃなかったの!?」
「密命を受け、森の秩序を監視している重要任務中でございます!」
「やばっ、絶対やばいの拾っちゃったやつだコレ……!」
ぷるぷる震えながら、ナリは必死にぺこぺこと頭を下げ続けていた。
見た目はちびキャラ全開なのに、口調だけやたら硬い。
「ど、どうか潰さないでください……! 任務もまだ残ってまして……」
「潰さないってば!? てか、最初に名乗ってよね!? 危うく食べるとこだったんだから!」
ふぅ、と私は深呼吸して、真剣にナリの目を見た。
「ねぇ、ナリ。そんなに色んなこと知ってるならさ――」
「私と一緒に行こうよ。今から、ルネア旅団の正式メンバーってことで☆」
「えっ……!? 旅団!? メンバー!? そ、そんな……」
「文句は受け付けません。さっき、食べかけた償いということで!」
「うぅ〜〜、なんでこうなっちゃうのぉ……!」
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こうして、“食べかけた”精霊ナリは、
私ルネアの旅のお供として、正規加入を果たしたのだった。
「なにはともあれ、仲間が増えるのは嬉しいねっ!」
「……この先、波乱しかない気がします……」
森のさすらい精霊隊《ルネア旅団》、結成完了☆
喋る実と出会って、食べかけて、仲間になる流れ……クセが強い!笑
でも、これでルネアも少しだけ寂しくなくなったかな?
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