第26話:偵察機の次は本体!?本気出す前に倒れちゃダメだよ〜☆
さっきの球体、目みたいでちょっと気持ち悪かったよね〜。
でもそれより怖いのが……今、空からすっごいの落ちてきてるんだけど!?
まさか、本番開始ですか〜!?☆
偵察機を視線ひとつで落とした直後。
空がふたたび、深く裂けるように軋んだ。
「ナリ、あれって……さっきのより大きい?」
「ええ。解析中……本体です。しかも未登録機体、恐らく王国でも極秘に開発されたプロトタイプ」
その機体は、空に浮かぶ巨影。
四本の脚に、腹部には回転する魔導炉。頭部には──ルネアの顔を模した“仮面”のような装甲がついていた。
「え、ちょ、まって……なんか私に似てない!?」
ナリも表情を強張らせた。
「……これは完全に、ルネア様の行動パターンを学習して作られたものかと」
「え、学習型!? そんなの、予習なしでテストするみたいなもんじゃん!」
だが、上空からその“兵器”はまっすぐに降下を開始。
「接近速度上昇! 迎撃準備を──」
「いいよナリ、私がやる。……だって、これって完全に私への挑戦状だよね?」
そう言って、ルネアは地面を蹴り上げ、空中へ飛び上がった。
浮遊できないはずの彼女の身体が、一瞬だけ風と一体化し、マドウ兵器の軌도を正面からとらえる。
「瞬間移動・直線! いっけ〜☆」
瞬間的な転位で相手の頭上へ移動。
次の瞬間、ルネアの指先が光を放ち、空中に小さな“結界陣”を描いた。
「ちょっとだけ、おとなしくしててもらおうかな〜♪」
結界が起動し、兵器の四肢に絡むように広がる。
しかし、兵器もまたカウンターを展開。
肩部装甲が開き、複数の光弾を周囲にばらまいた。
「ナリ、モフ!伏せてっ!!」
地上では、ナリとモフが寸전で衝撃を避ける。
ルネアは空中で身体を翻し、光弾を片目でにらんだ。
「──止まってくれる?」
紅い魔眼が輝き、空中の全ての光弾が静止。
まるで時が止まったかのように、光の粒が空で踊る。
「ふぅ〜、疲れるからあんまり使いたくないけど、ねっ?」
手をひと振り。
光弾は全て逆方向に押し戻され、敵の本体に直撃。
爆音と閃光の中、兵器は空中で回転しながら墜落した。
──ドンッ!!
地面が揺れ、粉塵が舞う。
「おねーちゃん、今の……全部、返したの?」
「うん。だって自分から撃ってきたんだから、自業自得だよ〜☆」
ルネアの瞳は、まだ戦意を帯びていた。
「でもね、あの仮面。あれって、ただの偶然じゃない。
誰かが、私の姿と力を“記録”してる」
ナリがこくりと頷く。
「これは……試験ではなく、公開された“警告”かもしれません」
「だったら……こっちからもメッセージ送らなきゃね?」
ルネアは崩れた機体の破片にそっと手を触れ、魔力を込める。
『次は、真正面から来なよ。隠れてないでさ☆』
その魔力信号は、誰かに届いた。
遠く王都の監視施設。
一人の研究員がその信号を受け取り、凍りつく。
「……“ルネア”。こちらを認識している……?」
ふぅ〜、ちょっと動いたらお腹すいちゃった〜。
というわけで、次回「精霊って休憩も必要なんです!でも次の相手がまた来た☆」で会おうね♪




