第25話:村の空に現れた、謎の眼──それ、こっち見てない?
今日は雲ひとつない晴天☆
なのに……なんで空の真ん中に“目玉”みたいなやつが浮かんでるの!?
え、私が寝てる間に監視カメラでも設置されたの!?
ルネアは森の高台にある岩の上で、お気に入りのジャムパンをかじっていた。
「ふわ〜、今日ものどか〜♪ 平和最高〜」
その時、ナリが空を見上げたまま、突然ぴたりと動きを止めた。
「……ルネア様、すぐに下がってください。空を見て」
「え? 空〜? ……って、なにあれ? 黒い球体?」
空中、およそ数百メートル上空に浮かぶ、黒く光沢のある球体。
そこから伸びる赤いラインが、徐々に地表をスキャンするように動いていた。
「……見た目が、完全に“目”だよね」
ナリが険しい表情で魔導測定器を操作し、警告を発した。
「これは……偵察型マドウ観測機です。王国軍のものか、あるいは……」
「ん〜? 誰かが上から覗いてるなら、こっちも見返さないと失礼じゃない?」
ルネアは立ち上がり、軽く空を見上げた。
その瞳が赤くわずかに輝く。
次の瞬間、空の球体が一瞬だけバチッと火花を散らし、そのまま消えた。
「……あ、壊れちゃった☆」
「壊したんですか!? 今の、王国が開発中の最新機かもしれないのに!?」
「いやだって、あんな堂々と見てきたら恥ずかしいじゃん。プライバシーの侵害だよ〜」
モフがぴょこっと現れて一言。
「おねーちゃん、なんか“空から見てた人”、怒ってるっぽい……」
その瞬間、空の裂け目から何かが落ちてくる。
銀色の金属装甲を持つ、“羽のない飛行兵器”が回転しながら降下。
「えー……まだ続きがあるの?」
ナリがすぐに叫ぶ。
「来ます、戦闘タイプです!距離40メートル、接近速度上昇中!」
ルネアは軽く腕を組み、ため息をひとつ。
「ほんとにさ……私はただ、ジャムパン食べたいだけなのに〜☆」
風が巻き起こる。敵の機体が地面を擦る寸前、
ルネアの瞳がふたたび紅に染まり、微かな“視線の圧”が走った。
──カンッ。
音もなく、敵の動きが止まる。
そしてそのまま、爆音を立てて地面に崩れ落ちた。
「……視線だけで、止めた?」
「だって、当たる前に壊れてほしかったんだもん☆」
その笑顔の裏、ナリは感じていた。
(これは……ルネア様が本気になる前の“警告”だ)
ねぇ、ジャムパン食べてるときに襲撃するのマナー違反じゃない?
次回、「偵察機はまだ序章だった!?ガチの本体来ちゃったかも☆」へ続くよ〜♪




