第二十一話:守ったのにバレた!?村の人がざわついてる件☆
「ルネア様、本当にありがとうございました……!」
——それは、事件の翌朝。
まさか、村人から“感謝される”なんて、ちょっとだけくすぐったい。
だって私は、ただ遊んでただけだから。
それなのに、“守ってくれた”って目で見られるのって……
なんか、照れる。
事件のあった翌日、ソルナ村の空気が明らかに違っていた。
いつもより静かで、だけど落ち着かない。
その“静寂”が、逆に緊張を高めていた。
「あの爆発寸前の装置、ルネア様が……」「あんなに凄い力を……」
道を歩けば、村人たちがそっと目を向ける。
目が合えば、ふいっと逸らす。けど、すぐまたちらっと見る。
「なんか今日、視線が多くない?」
「当然ですよ、昨日あれだけ目立ってましたし……」
ナリの言葉に、私は苦笑した。
「うーん、隠しきれなかったか〜。でもまあ、プリンが美味しかったし、いっか☆」
リシャが小声でつぶやいた。
「村の人々、ルネア様に対する“評価”が一気に変わったみたいです」
「うん、いい意味だといいけどね〜。悪目立ちじゃなきゃ☆」
そのとき、村の会議所から使者が来た。
「ルネア様、村長がお話を伺いたいと……」
「へぇ、ついに“上層部”のお呼びってやつ?」
会議所の中では、村長と数人の長老たちが真剣な表情で待っていた。
「昨日の件、感謝してもしきれません。我らが見たこともない魔導の力……
あなた様はいったい……」
「えっと、ただの通りすがりの遊び人精霊です☆」
返答に場が一瞬静まり返る。
「……遊び人にしては、少々強すぎやしませんか?」
「気のせいじゃないかな〜」
私はにっこりと笑って席を立つ。
「でもまあ、心配なら言っとくね。私はこの村、守るつもりあるから」
長老たちは驚いたように顔を見合わせた。
「その言葉、信じても……?」
「もちろん! ただし、プリンの供給は切らさないでね☆」
場の空気がふっと和らぎ、みんな小さく笑った。
——そんなやりとりの後。
村の広場では、子どもたちが私の真似をして“フリーズ魔法ごっこ”をしていた。
「ルネアさま、また助けてくれる?」
「もちろんっ。みんなが笑ってる限り、ね♪」
ナリが微笑んだまま、そっと言った。
「……こうやって、“本当の信頼”って育っていくんですね」
「信頼、かぁ。なんか、ちょっとくすぐったいな〜」
リシャも静かにうなずいた。
「ルネア様は、ただの遊び人じゃありません。みんな、気づき始めています」
でも、その平和の中。
空のはるか遠く、別の誰かが小さくつぶやいていた。
「……対象、第一段階クリア。次は……反応テストだ」
その声は、風に消えるようにして遠ざかっていった。
“守ったから”バレた強さ。
でも、それでいい。今はまだ“この程度”。
私が本気出すのは、もう少し後のお楽しみ☆




