第19話:急に監視対象!?でも平然としてるのがルネア流☆
なんかさ、最近先生たちの目線がピリピリしてる気がするんだよね〜?
私、ただジャムパン食べてるだけなんだけど!? ねぇ、なにかおかしいことしたっけ?
学園の中庭。昼休みの時間、他の生徒たちがワイワイと楽しそうにしている中、ルネアは木陰のベンチに寝転がっていた。
「……見られてる、絶対に」
隣でお弁当を広げていたナリが、無言で頷く。
「はい、今朝から職員の視線が明らかに変わってます。あと三回も“偶然”廊下で出会ってます」
「偶然なわけないよね〜。え? まさか……バレた?私、精霊だって」
「完全にはバレてないと思います。ただ、“何か違う”とは確実に思われてます」
その時、向こう側の建物の陰から、白衣姿の先生がチラリとこちらを見た。
「うわ、まただ。またあの先生。もう五回目くらいじゃない?」
「監視されてますね、確定です」
ルネアはベンチから跳ね起きて、腕を組んで空を見上げる。
「ふむ……どうしよう。逃げてもいいけど、面倒だし〜……」
「とりあえず、今日の授業は控えめにお願いします。力の使用は極力控えて……」
「え〜、また我慢〜? 私、あんまり我慢って得意じゃないんだよね☆」
ナリが真顔で返す。
「はい、それは重々承知してます。ですが、今は耐える時です」
その時、学園放送が鳴った。
『ルネア=ルーン様、至急、第二演習室へお越しください』
「……え、私? なにそれ、初耳なんだけど!?」
ナリが一瞬、表情を引き締める。
「演習室……という名の、観測室です。完全に“動きを測定する場”です」
ルネアは深いため息をつきながら、肩をすくめる。
「ほんとにもう……お昼もまだなのに、どーしてこうも忙しいの〜」
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第二演習室。
そこには白衣を着た複数の教師たちと、大型の魔導記録装置が設置されていた。
「ようこそ、ルネアさん。今日はちょっとした身体検査ですから、気楽にどうぞ」
「へ〜……なんか、大げさな体重計だね〜☆」
「測定を開始します。足をこの円の中心に……」
ルネアが円の中に立った瞬間。
装置が振動し、周囲の空気がビリリと震えた。
「っ!? オーバーレスポンス! 計測器が過負荷に!」
バチッと音を立てて、装置が白煙を上げた。
「わ〜……壊れちゃった? ごめんごめん、私ってば軽すぎたかな〜?」
その笑顔に場の空気が一瞬凍る。
「これ……本当に“ただの転校生”なのか?」
「いや、まさか……“Dランク以下”のはずが、あの反応は……」
ルネアは平然と手を挙げて退出する。
「はい、検査終わり☆ おつかれさまでした〜」
ナリと共に部屋を出たあと。
「……どうする? 今ので、もう完全に怪しまれたよね?」
ナリは黙ってうなずいた。
「でも、最悪ではありません。“確信”にはまだ至っていません。ですので……」
「“気のせい”って思わせる作戦ね? わかった〜。じゃあ明日からは、もっとぽんこつに振る舞おうかな☆」
(でも……どんなに隠しても、私は私。
いつか、この力を使う時が来る……その時は、全力で守るために)
ルネアの赤い瞳が、ほんの一瞬だけ静かに輝いた。
なんかね、体重計ってこんな爆発するっけ!?
次回、「ぽんこつ演技してみたけど……あれ、余計怪しまれてる?」でお会いしよっか☆




