第18話:監視されてたけど……その装置、私に反応したね?
なんかね、最近ずーっと“見られてる”気がするの。
森を歩いてても、背中がゾワゾワする感じ……。
でもまぁ、私だから何とかなるっしょ☆
夜の森。空には星が広がり、ルネアは一本の木にもたれて空を見上げていた。
「ん〜……やっぱ、誰かいるよね?」
ナリが近くで魔導測定器を操作していた。
「……反応あります。距離は約50メートル、ですが姿は確認できません」
「まーた、こっそり観察されてるのか〜。恥ずかし〜」
その時、草の間から小さな赤い光点が一瞬だけ見えた。
「スコープ……? 誰かが、狙ってる?」
ルネアは目を細める。
(バレたらまずいけど……ここで“遊ばれる”のも嫌だな〜)
彼女はわざとらしく立ち上がり、
「ふ〜、そろそろ帰ろっかな〜☆」と、軽く伸びをした。
その瞬間、森の奥からシュルッと何かが飛んできた。
「──っとと☆ びっくりした〜」
矢のようなものがルネアの足元をかすめ、地面に突き刺さる。
ナリが即座に警戒態勢に入った。
「ルネア様、退避を!」
「ううん、まだ大丈夫〜。……これ、反応見てるんでしょ?」
ルネアの目が、闇の中に潜む“何か”をしっかりと捉えていた。
(……あれ、ただの監視じゃない。これは、試してる)
さらに彼女は小声で呟いた。
「この反応、魔力じゃない。……機械?いや、精霊技術……?」
その時、魔導測定器が突然ピピピと警告音を鳴らし始めた。
「異常反応……魔力量、観測限界を超えました……!」
ナリが顔を上げると、ルネアの背後にうっすらと光の紋様が浮かび上がっていた。
「こ、これって……精霊コアの……!」
それは、ただの精霊では持ちえない、旧世界の魔導構造と酷似した紋章。
(やっぱり、私は“普通の精霊”じゃないんだね〜)
ルネアは笑顔のまま空に向かって手を振った。
「じゃ、今日はこれで〜♪」
“見ている者”への、確信犯的なあいさつだった。
ナリはその様子を見ながら呟く。
「これは……完全に観測されてますね。意図的に、ルネア様を誘導してるかのような……」
ルネアはぴょんと跳ねてナリの隣に立つ。
「じゃあさ、逆にこっちから観察してみようよ☆」
ナリは驚いたように目を見開いたが、すぐに小さく笑った。
「……らしいですね、ルネア様」
「でしょ? 精霊だって、遊び心は必要だよ♪」
そのとき、草の奥から低く機械的な声が響いた。
『対象・精霊体L──反応データ取得完了。記録送信中……』
「……送信先、どこ?」
ルネアの瞳がほんのり赤く染まり、森の奥を睨んだ。
「見えた。……今度こそ、捕まえに行こうか」
ナリが静かに頷いた。
「了解です、“ルネア様”」
なんかね〜、見られてるのも悪くない気がしてきた☆
でも次は、もうちょっとイケメン観察者だと嬉しいな〜♪
次回、「おかしな機械が話しかけてきた件について☆」で会おうね!




