第十二話:ピクニック中なのに、空が燃えてるんだけど?
新しい仲間ができたし、今日もゆる〜く過ごすつもりだった。
……なのに、「あれ?森の奥、変な音しません?」なんて言い出す子がいて。
まあ、ちょっとだけ覗くだけなら。
ピクニックのついで、ってことで☆
「……で? これが“変な音”の正体ってやつ?」
私は、倒れた木々の間にできたぽっかりと開いた地面の穴を見つめた。
リシャが耳を澄ませながら小声で答える。
「間違いありません……この下から、時折“唸るような風音”が……」
「ふーん、まあ、なんかいるなら挨拶くらいしてこよっか」
「……えっ、行くんですか!? ルネア様!?」
「ピクニックの範囲内だし? 帰ってきたらプリン食べよう♪」
ナリは「さすがルネア様です〜」と目を輝かせながら、私はいつものようにふわりと浮いて穴の中へ。
思ったより深かったけど、ゆっくり降りたらちょうど良い高さだった。
中は……予想以上に広くて、まるで古代のホール。
壁に埋まった金属板、よくわからない模様の光。機械っぽいけど、魔力も感じる。
「なんか、……ここ、昔の誰かが作った秘密基地みたいだね」
「これは……ただの遺跡ではありません。魔導工学と精霊術が混ざったような痕跡が……」
リシャが神妙な顔で呟く。私はといえば、
「ねえ、このへんの光る床、ピアノみたいに踏むと音鳴るよ!」
「ルネア様、遊ばないでくださいっ!」
でも、そう言ってるリシャもちゃんと見てるし、むしろメモまで取ってるし。
「うおっ、床がちょっと沈んだ!? これトラップじゃなくて、……あ、音楽鳴った」
「それは……起動装置の一部かもしれません。むやみに触れるのは危険です……!」
「大丈夫大丈夫〜。ほら、何も爆発してないし」
その瞬間、奥の壁面ががしゃりと動いた。ナリがびくっと震える。
「な、なんか開いた音が……!?」
「まさか……本当に何かが封じられていたんじゃ……?」
「んー、開いたなら、見に行くしかないよね♪」
奥に進むと、巨大なレンズのような装置があって、その下に何かが転がっていた。
「……誰か、いるの?」
影はすうっと動き、そして——
金属の仮面をかぶった小さな存在が、ゆっくりと姿を現した。
「起動完了。識別中……対象:“高位精霊体”——危険度:測定不能」
「うわ、ロボ!? しゃべった!? やば、かわいい!!」
私はその金属マスコット(仮)に近づいて、しゃがみ込んだ。
「こんにちは〜。プリン食べる?」
「糖分摂取……目標、友好反応あり。第一接触、成立」
「ねえ、今の聞いた? 友好反応だって! これ、絶対仲良くなれるやつ〜!」
「……ルネア様、本当に大物です」
横でナリが感動してる。
リシャは表情を引き締めて、小さなロボットとルネアの間を見つめた。
「この存在……正体はわかりませんが、おそらくこの施設を管理するためのものです」
「じゃあこの子が、この場所の主?」
「可能性は高いです。少なくとも、敵意は……いまのところないようです」
私はロボくんの頭をなでなでしながら、ニッと笑った。
「じゃあ決まりだね! この子、うちのピクニック隊にスカウトしよ☆」
「……その命名と所属基準、もう少しちゃんとしてください……」
「いいじゃーん。おやつ係その2ってことで♪」
「……かわいそうです」
そんなこんなで、新しい仲間(?)との出会いは、今日もルネアらしく、なんとなく楽しく始まったのだった。
まだ名前も知らないこの子と、これからどうなるかはわからない。
でも、なんか楽しそうだし……ピクニックの延長戦ってことでいいよね☆
次回、遺跡探検編スタート! ロボくんと一緒に冒険しよっ♪




