箱
遅く咲いた花は
枯れるの待つだけだろう
高望みしなくても
望みの部分で既に高いのだ
存在が寒風と見間違われている
腫れ物に触れるほど
他人の時間は安くはない
価値観の違いは
行動の違いでも分かることを
人というのは忘れがちである
それでも物好きは居ると
極端から極端に考えを走らせて
しみったれた感性を
透過できると信じている
存在をすり減らしながら描くのだ
鉛筆みたいに無くなるなら
行き詰まりの果てにある生き辛さなど
誰も描かないのを知っているくせに
見ないふりをしながら
聞こえないふりをしながら
時間に存在を縫い合わせている
近場では満足できない旅行と
遠くでは疲れ切ってしまう遠足
すれ違いと云うのであれば
それだけの尺度で違うのだから
お互いが準備の段階から違うことを
最初から気づいている筈なのだ
心情と慢心と信用を用いて
無理矢理に扱うしかないのであれば
必ず疲れ切ってしまうだろう
分かっていながら離れられないのは
依存しているからだけではない
理由の一つというだけだ
時間が消費されたからだろう
自らの時間に対しての損切りが
どうしても出来ない人が居るのだ
あのような形を幾つか見たが
何故か、損をした気分になって
話しに来るのである
半分は怒りであり
クレーマーと変わらない
大切な人と居た時間
自分が手に入れらると思い描いた時間
思い描いたものが強ければ強いほど
大切な人と居た時間を
消費した時間として
見ているような気がする
思い出があるだろうけれど
それで良いとはならない人が居る
あの怒りに囚われると
人間として大切な部分を無くすのだ
道すがらに箱を用意したら良い
その中に全てを入れて仕舞えば
怒りなど忘れて
考えることを思い出すだろう
繋がりが切れたから
一つ後退するのではなく
箱を境にして
一つ前進するのである
経験すら残らないということは無い
時間は有限だから
それしか出来ないとは言うまい
そうした方が良いと
曖昧な納得の先に明かりがあれば
それだけで良いではないか