#1-4 アイテムボックス 襲来!!
『谷口彩香がKTW!!の入団申請が届きました!』
何か来たんだけど。
何故彼女にパーティーを作成した事を伝えていないのに、こんな申請が届いたんだ? もしかしてノリで作ってたのバレた?
彼女を覗いてみると、羨望な瞳でこちらを見つめてくる。なんか、凄く威圧的な何かを感じるのは気のせいでしょうか。
うぐぐ……約束とはいえ、やっぱり承認したくない。そうだ、申請に気付いていない振りをしよう、永遠に。そして聞かれたら、『申請した? ごめん、届いてないや。』と言え……
「まだ?」
「あ、はい。」
『谷口彩香がKTW!!に加わりました!』
あれ?
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松本直人 盗賊 Lv.1
HP 110/110 [||||||||||||||||||||||||||||]
谷口彩香 魔法使い Lv.1
HP 140/140 [||||||||||||||||||||||||||||]
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画面右下のステータス表示に谷口さんが追加されていた。ガチでゲームみたいだ、というかゲームだなこれ。セレクト画面を開いてみると、谷口さんの細かいステータスを見る事が出来た。
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プレイヤー名:谷口彩香
Rank:H
職業:魔法使い
レベル:1
HP:140
MP:140
ST:152
攻撃力:60
知力:160
守備力:96
敏捷性:142
Next Exp. 100
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いや、ステータスお化けすぎる。ST152、知力160、敏捷性142とかどうなってるんだ。魔法使いを指示して良かったな。完全に魔法タイプのステータスだもん。
「成程……これが世界34位か。」
「34位?」
「ランキング見てないの? 谷口さん世界で34番目に強いらしいよ。」
「はい?」
何言ってるんだコイツという表情で首を傾げる谷口さんは、すぐさまにセレクト画面でランキングを確認する。というか他人がセレクト画面開いてるの初めて見たな。今まで見えなかったけど、急に見えるようになっていた。世界が変わったからかな? それともパーティーメンバー同士は見えるようになってる仕様なのかな?
「私34位じゃないよ。10500位だよ。」
「へ?」
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【H】谷口彩香 10.5K 位 / 7.88G 位
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「本当だ。さっきまで34位だったのに。」
「見間違いじゃない? 私なんかが34位なわけないでしょ。」
11億4000万位の自分から見れば煽りにしか聞こえねぇよ。それに10500位も充分化け物だよ? 上位何パーセントだ? えっと、約0.0002%……うん、化け物!
でもなんでランキング急変したんだ? もしかして、世界中で既に魔物を倒してレベルアップしてるのかな? 既に魔物に遭遇している報告も、クエストを通して分かってるし。あと、武具を装備するだけで大幅にステータスが変わる。装備でステータスとランキングが急変している説も濃厚だな。
「うわわ、私のランキングがどんどん下がってる! こうしちゃいられない!松本、私達も早く魔物倒してレベル上げよ!」
「いや、駄目だけど?」
「……うええっ!?」
「昨日の話聞いてた? 今日はここで情報収集に徹すると言ったよね?」
「だから、情報収集のついでに魔物を倒すんじゃないの?」
「それはインターネットが使えなくなってたらの話。ほら、ネット使えるよ?」
スマホで無線LANを使用しSNSを開いている画面を彼女に見せる。
「そ、そんな……」
「なんで落ち込んでるの……第一優先は生きる事。何度も言ってるけど、一番死にやすいのは序盤、一番レベルが低くて知識もない状態だ。無知の状態で外に飛び出すと、理不尽な死に方をする。嫌という程経験してるよね?」
「はい……」
「よって、今日はひたすら情報集め。谷口さんはセレクト画面で出来る事をずっと調べるように。自分はSNSで外の情報を集めるので。」
「ら、らじゃー!」
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そこから1日中使って出来る限りの情報を搔き集めた。新たに分かったことを幾つか教えよう。
まず、地面に転がっている物体を『アイテムボックス』や『袋』に収納できること。
電子機器、金属類、日用品、基本何でも収納できる。収納方法は簡単。収納したいものを手に触れて『アイテムボックス』や『袋』と念じる。これだけでOK。というか谷口さん、説明書無しでよく見つけたな。
ちなみに、説明書やチュートリアル的な物はセレクト画面には無かった。宇宙人さん、運営サボるなよ。このゲーム新規ユーザーしかいないんだからチュートリアルはしっかりしないと駄目だぞ。
例としてこのコップをアイテムボックスに入れてみよう。コップに触れて、『アイテムボックス』と念じる。
『ガラスのコップを入手しました!』
このテロップと同時にコップが消滅する。
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【アイテムボックス】
・ガラスのコップ ×1
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こんな感じに文字になって格納されている。取り出すにはセレクト画面から、『取り出す』のコマンドを押せば出てくる。それが本来の取り出し方らしいけど谷口さんが、
「『いでよ!【アイテム名】!』と強く念じればセレクト画面経由しないで取り出せるよー!」
との事。本当かよ。
いでよ! ガラスのコップ!
はい、本当にセレクト画面なしでガラスのコップが出てきた。ちなみにちゃんと『いでよ!』と前に言わないと取り出せない。何で初見で見つけられられるんだよ。でも、大幅な時間短縮で取り出せるのはお手柄だった。
そして、『アイテムボックス』と『袋』の違いが少し判明した。ここに飴玉が20個ある。これらを全部『アイテムボックス』に収納する。
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【アイテムボックス】
・飴玉 ×20
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セレクト画面を使うことで、持ち物を『アイテムボックス』から『袋』に移すことが出来る。
飴玉を『アイテムボックス』から『袋』に移動させてみる。
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【袋】
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
・飴玉
【アイテムボックス】
・飴玉 ×10
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この様に、『アイテムボックス』は理論上無限に収納が可能だが、『袋』は最大10個までと上限値が定められていた。そして、
飴玉!
と念じると、飴玉が1つ手元に出現する。これは『袋』から出てきた飴玉だ。続いて、
いでよ! 飴玉10個!
と念じると、今度は飴玉が10個手元に出現する。これは『アイテムボックス』から出てきた飴玉だ。
まぁ、そういうことよ。
『袋』に収納されているアイテムは、アイテム名を念じるだけで取り出せる。『いでよ!』は要らない。但し、アイテムは1個ずつしか取り出せない。
それに対して、『アイテムボックス』は『いでよ!』と最初に念じないとショートカット出来ないが、数を指定して取り出せる。
「袋の需要無くない? 上限数あるし、何より1個ずつしか取り出せないのが痛い。」
「『袋』はアイテム名だけで取り出せるのがデカい。戦いは数ミリ秒単位で勝負が決まるので。『袋』には取り敢えず回復薬で埋めましょうか。」
「そうだね。」
また、『アイテムボックス』と『通販ストア』を利用して新たな金策方法を見つけた。
『アイテムボックス』に格納したアイテムは『通販ストア』で『売る』ことが出来る。売ったアイテムは完全に消滅し、『ドスコイ』の通貨に換算される。
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・飴玉 ×1 → 5ドスコイ
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逆に『通販ストア』で購入したアイテムは、資金を消費し『アイテムボックス』に格納される。つまり、『通販ストア』で購入した物は直ぐ手元にやって来る。
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・100ドスコイ → お鍋の蓋
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また、売るだけでなく『オークション』に出品する事も出来る。競売によって、『通販ストア』では売ってない物の売買が出来る。
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・カップ焼きそば 150ドスコイ
・国語辞典 600ドスコイ
・SSR激レアカード 2000ドスコイ
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まぁ、つまり便利な世の中になったということだ。
SNSで通販・運送の企業が全て宇宙人に消されたと知った時は絶望したけど、もっと便利な奴が出てきたから安心だね。我々一般人にとっては。
けど運送業も含め、多くの人々が失業しまっている。そもそも、資金が全て消滅したから全滅したと言ってもいいけど。
まぁ失業しちゃった全人類の諸君、皆でダンジョンに潜ろうや。




