#1-1 リアルRPG 襲来!!
朝、目が覚める。何故朝なのか分かったのか? 太陽が東から照らされているからだ。東には窓がある。そこから日光を感じるため、今は朝なのだろう。
てかあれ、自分何してたんだっけ?
そうだ。確か午前8時が過ぎた瞬間に、急に眠気が来て意識を失ったんだ。意識を失った場所はお風呂場。なのにどうして、寝室で寝てるんだ? もしかして谷口さんが運んでくれたのかな?
というか、どれくらい寝てたんだろう。朝だからそんなに寝てないと思うけど、今何時なんだ? 時刻が知りたい。
『2×××/6/3(月) 8:02』
あれ、まだ2分しか経っていないのか。いや、ちょっと待て。意識失ったのは日曜日だよな。
「……」
まる24時間寝てたやん。
学校遅刻してるやん、どうするのこれ。まぁ、いいや。どうせ、停学や退学の処分が言い渡される予定の自分にとっては一日くらい休んでも何も問題は無い。
「てか……」
どういうことだ。当たり前の様に時刻確認してたけど、自分はまだ布団の中にいて、リビングにある壁掛け時計は当然確認していない。スマホを開いて時刻も確認していない。なのにどうしてこの寝たきりの状態で『現在の時刻が分かった』んだ?
正解はこれ。自分の視点の左下に時計が表示されていたからだぁ! ふはははは!
なにこれ。
まるでARの様に、自分の視点右下に時刻が表示されていたのだ。触ろうとしても触れない。目に手をぶつけても届かない位置に配置されている。
そして、表示されているのは時刻だけではなかった。
『松本直人 盗賊Lv.1』
画面右下のこんな表記がされており、その下に緑色の棒が表示されている。
『HP:110/110』
この緑色の棒って絶対にHPバーだよな。よく見てみると、HPバーの下には青色のバーと黄色のバーがHPバーと並んで小さく映し出されている。青色と黄色のバーには『HP』の様な表示は記入されていない。
経験上、青色のバーはMPなんだろうな。黄色いバーは……何だろう。次のレベルアップまでの獲得Exp……ではなさそうだ。
次のレベルアップの獲得経験値は、経験値を獲得すると増えていき、バーが満タンになるのと同時にレベルアップして、また空っぽになる。
もし、黄色バーが経験値関連だったら、黄色バーは空っぽの筈だ。まだ何も経験値を得ていない状態だからな。しかし、黄色バーは満タンの状態になっている。一体これは何だろうね。うーん、分からん。
というか、何でゲームみたいにHPバーが表示されてるんだ? 夢でも見てるのか?
いや、夢にしては現実味を感じ過ぎている。軽く頬っぺをつねってみても、痛覚が悲鳴を上げるだけ。おそらく、ここは現実で宇宙人によってファンタジーの世界になってしまったのだろう。
まさかこんなにも早く理解不能な現実に適応するなんて。常識の概念が10日前と比べて、大分変わってる様な気がする。恐ろしいぜ。
そうだ、セレクト画面。最初のセレクト画面は『職業選択してください』しか表示されなかったが、今はどうなってるだろう? 見てみるか。
いでよ、セレクト画面!
ーーーーーーーーーーーーーーー
【セレクト一覧】 0 ドスコイ
・アイテム一覧
・スキル一覧
・クエスト
・通販ストア
・パーティ設定
・通知(×2)
・ランキング
ーーーーーーーーーーーーーーー
プレイヤー名:松本直人
Rank:H
職業:盗賊
レベル:1
HP:110
MP:90
ST:58
攻撃力:70
知力:96
守備力:108
敏捷性:76
Next Exp.:0/100
ーーーーーーーーーーーーーーー
うおっ、色々出てきたぞ!?
左画面の方は『セレクト一覧』。アイテム一覧、スキル一覧、クエスト……全てコマンドだな。とにかく色々な事が出来そうだ。
というか、ガチでセレクト画面になってるじゃん。最初は『職業選択してください!』と言ってるだけだったのに、お前もデカくなったな。後で1つずつ調べよう。
そして右画面の方が……『ステータス』きちゃ!
もう、この画面でワクワクしてしまう。これだけでご飯一口はいけます。ありがとうございます! あ、これが廃人RPG中毒者の反応です、無念。
早速ステータスの方、よく見てみますか。
ーーーーーーーーーーーーーーー
プレイヤー名:松本直人
Rank:H
ーーーーーーーーーーーーーーー
まずは『Rank』がある。これは一体何のランクなのか? 自身の強さなのか? それとも、職業のレア度なのか? どちらにせよ自分のランクは『H』であり、これが最低ランクで間違いなさそうだ。ここから『G』『F』『E』と上がっていきそうだ。
あ、ちなみに自分は『盗賊』を選択しました。よろしくお願いします。
『HP』と『MP』があって、その下には……『ST』? RPGではあまり見かけないステータスだな。最初から溜まってる類だから、戦闘中に増やして溜まったら必殺技を打つ『TP』とかの類ではなさそうだけど。何だこれ。
あっ、『スタミナ』か!
よくよく考えたら『ST』は『スタミナ』だった。走ったりすると消費する奴。そうか、今の時代のRPGは『スタミナ』を再現しにくいからな。特にコマンド式では。高度に発展した宇宙人が創った『リアルRPG』だからこそ、実装出来たシステムか。
ということは、分からなかったあの黄色いバーはSTね。違ったらお笑いだけど。
さて、次はセレクト一覧の方見てますか。
まずは『アイテム一覧』から。アイテム一覧のコマンドをタップすると、新しい画面に切り替わった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
・袋
・アイテムボックス
ーーーーーーーーーーーーーーー
『袋』と『アイテムボックス』。これはアイテム名じゃなくてコマンドだな。
『袋』のコマンドをタップしてみる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
アイテムをまだ所持していません。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『袋』には何も入っていなかった。まぁ、当然だよね。まだ何も手に入れてないもん。
続いて、アイテムボックスのコマンドをタッチしてみる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
アイテムをまだ所持していません。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『アイテムボックス』にも何も入って入っていなかった。まぁ、当然だよね。まだ何も手に入れてないもん。
えーとっ、何で2種類もアイテムを入れる枠があるの?
普通、アイテムを収納するだけなら『袋』と『アイテムボックス』のどちらか1種類で事足りると思うのだが、なんで2種類も同じ枠があるの? 『袋』と『アイテムボックス』の違いか。うーん、分からん。
疑問は後回しにして、『スキル一覧』のコマンドをタップしてみる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
スキルをまだ習得していません。
ーーーーーーーーーーーーーーー
まだレベル1だから何も覚えていなくて当然か。スキルはレベル上がったら覚えていくのかな? まぁ、それはレベルが上がらないと分からない事なのでスルーしましょう。
『クエスト』のコマンドをタップしてみる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
・クエスト発行
・クエスト受注
ーーーーーーーーーーーーーーー
新しいコマンドが出てきた。クエストの発行と受注。もしかして、冒険者ギルドみたいな事が出来るのかな?
冒険者ギルドは、主にファンタジーの異世界で依頼者が用意したクエストを受注者が受けて、達成に応じて依頼者が受注者に報酬を与える仕組みを管理する組織だ。
受注者は主に『冒険者』と呼ばれ、クエストの達成具合によってランク分けされる。
もしかしたら、ステータスにあった『H』は冒険者ランクなのかもしれない
この感じだと、クエスト発行はお金を払えば、オンラインで何時でも誰でも出来るみたいだな。クエスト内容、概要、報奨等を指定して発行すれば、世界にいる誰かが受けてくれるらしい。
冒険者って異世界では、ギルド施設に足を運んで受ける依頼を決めるんだけど、現実だと全部オンラインで出来るのか。わー、ネットの世界って便利ー。
『クエスト受注』欄を開くと、既に幾つかのクエストが貼られていた。
もう貼られているのか。自分はずっと寝てたけど皆既に起きてるのかな?
自分は貼られているクエストをざっと読んでみる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
『目が覚めたら、謎の怪物に襲われました! 助けて下さい! byエジプト(報酬:金銭)』
『目が覚めたら、魔物が交尾してる所を見てたら襲われました! 助けてください! by イギリス(報酬:ムフフな本)』
『朝起きたら、ゴブリンに囲まれていておねしょしてしまいました! 誰か僕のおねしょがママにバレないようにする方法を教えて下さい! by ニュージーランド(報酬:おしっこ漏らした男児のパンツ)』
ーーーーーーーーーーーーーーー
「……」
どうやら皆起きるタイミングは同じの様だ。
それにしてもやっぱりいるんだな、魔物。この人達は起きた瞬間に魔物に襲われてるのか。どんな感じなんだろう、現実だとやっぱり怖い。
でも襲われてるとはいえ、クエストを発行する余裕のある方々だしこの人達はスルーで良いでしょう。そもそも、今から海外に駆け付ける暇なんて無いし。




