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いい加減

家の外に出ると知らない奴らに絡まれる、したがって必要以上の外出はしない。かと言って、家の中ですることもないので・・・。


「・・・何よ」


今日も今日とて、不機嫌そうな顔をした奴隷の彼女を眺める。


とても整った、美しい顔立ちをしている。ほんの少しくらい、笑った顔を見せてくれてもいいのに。


・・・そういえば、笑った顔どころか、不機嫌そうな顔以外一つも見たことがない。


まあ仕方ないか。俺は彼女に嫌われているんだから。


「あなたもしかして、今日も一日そうしているつもり?」


彼女の問いかけに、俺はだまって頷く。


「・・・あなたねぇ」


奴隷の彼女が深いため息を吐いたとき。玄関からノックの音が聞こえてくる。


・・・この家に来訪者が来るのは二回目。一度目の来訪者はミリエラだ。


自然と顔が強張ってしまう。


「なに怖い顔して突っ立ってんのよ。早く行ったら?・・・勇者のくせにどんくさいのね」


「はいはい、わかりましたよ。それと、『元』勇者な」


俺は玄関へと向かった。



「わー!ここが勇者さんの新しいおうちっ!!!・・・ということは、ここで毎日奴隷さんとスケベぇなことをばーーーって痛いっ!?」


変なことを言い出したフェルンにチョップをお見舞いする。果たして彼女は昔からこんなキャラだっただろうか。


「バカなこと言ってんなよ。今日は何しに来たんだ?」


「それがですねー・・・」


先ほどのテンションはどこへやら。彼女は僅かにうつ向いて、手をもじもじさせた。


「ほ、本日はっ!!!」


やがて、意を決したように俺の顔を真っ直ぐ見ると。


「おデートのお誘いに上がりましたっ!!!」


頬を真っ赤に染めて、そういった。


「デート?俺とお前が?」


フェルンの発した言葉の意味はきちんと分かる。・・・が、それでも理解できない。俺とフェルンがデートするという状況が。


「デートって言っても、そんなたいそうなモノじゃないよ?ただ今日は久しぶりに何の予定もないから、暇つぶしに付き合ってもらおうと思って・・・」


「なんだ、そんなことか。デートだなんていうから身構えちまったよ。・・・それだったら」


俺は奴隷の彼女を見る。すると彼女は・・・


「私はいかないわよ」


俺の言葉を先読みして、そっぽを向きながらそう言った。


「いいじゃないか別に。今日も家でジッとしているつもりだったんだろ?」


「・・・それだとデートの意味がないじゃない」


彼女がボソッと何かを呟いた。


「なんて?」


「と、に、か、く。私は絶対行かないから」


「でも・・・」


あんまり、長い時間彼女を一人にしていたくない。もしまたミリエラの時のようなことがあったら・・・。


「・・・っ、でもじゃないっ!いい加減一人でゆっくりさせなさよっ!!!」


奴隷の彼女が不意に大きな声を上げる。


「今でこそマシになってきたけど、女盗賊とのことがあってすぐの頃はあなた、私がお手洗いやお風呂の時も扉の前でジッと待っていたでしょう!?」


席を立ちあがり、俺の方に詰め寄ってくる。


「もう一度言うから、ちゃんと聞いておきなさい!」


ビシッと人差し指を鼻の頭に突きつけられる。


「いい加減!一人で!ゆっくり!させなさいっ!!!」


「・・・はい」


彼女の圧に押され、俺は頷くのであった。



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