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フェルンのもとを離れ、一度も家に帰ることなく俺はーーー『銀の翼』のアジトにきていた。


「おいおいおいおい、元勇者様がいったいなんの用だってんだ?さすがにまだなんも悪いことはしちゃねーぜ?」


椅子に座ったボスがおどけたように笑う。俺はそんな彼の様子を気にすることなく、要件だけを伝えることにした。時間が惜しい。


「ミリィって女を知ってるか?」


「ミリィ・・・ミリエラのことか?逆になんでアンタがあの女を知っている?」


ミリエラ。それがあいつの本当の名前らしい。


「俺に、盗品をお前らから取り返すように・・・いや違うな。お前らを壊滅させるように頼んだのはそのミリエラって女だ」


「なるほどな、全部よめたぜ」


「ってことはあたりか」


「ーーー俺たち『銀の翼』は、もともと義賊だったんだ」


ボスがポツリと語り始める。


「だからどうだって話じゃなく、事実としてな?ーーークソみてぇな金持ちからだけ盗み、生活に必要な分以外の金はかわいそうなガキにでもくれてやってた」


義賊・・・か。悪いことをしているのには変わりない。だけど、だから俺はこの男を嫌いになれなかったのかも知れないな。


「でもま、長く続けばどんなものにだって綻びは生まれるもんでよ。俺たちの中から、欲に目がくらんだ女が出てきたんだよ」


「それがミリエラってわけか」


「ご名答。さすがは勇者様だ」


「元だよ、元」


「ミリエラは大半のメンバーをたらしこむと、ここにあったお宝を全部盗んで逃げやがった。おかげさまで、もう銀の翼は数人しかのこってねぇや」


「つまり、アンタからの報復を恐れたミリエラは、俺を使って安全に害虫駆除をしたってわけだ」


「ま、そんなとこだろうな」


その計画の途中で、彼女は俺の家にある指輪の存在を知った。勇者の持つ高価な指輪・・・盗賊が狙うには十分な品だろう。


そして、盗みの現場を偶然見てしまった奴隷の彼女は俺の大切な指輪を守って・・・クソ。


「それで、ミリエラの場所を教えて欲しいってんだろ?」


ボスの問いかけに、俺は無言で頷いた。


「なんだ、まんまと騙されて腹かいたのか?」


「そんなところだな。ぶん殴ってやらないと気が済まない」


「ははっ!ぶん殴るって!?勇者が、女を!?」


ボスがこらえきれないといった様子で腹を抱えて笑う。


「問題ないさ。だって俺はもうーーー」


そう、俺は既に。


「ーーー勇者じゃないんだから」

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