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名前のない勇者

俺には名前がない。


「それじゃあ後のことは俺に任せて、隠居生活を送ってな」


こんな人生を左右する大切な場面ですら。


「バイバイ、『元』勇者さん?」


本当の名前を、呼んでもらえないのだから。


ーーーその日俺は、勇者でありながら、勇者パーティを追放された。



勇者パーティを追放されたままの足で、行きなれたお店に入ると。


「いらっしゃーい・・・って、一人?」


名前までは知らないが、顔見知りの店員が話しかけてくる。この店の顔と呼ぶべき女性だ。


「あぁ、今日は一人だ」


「どうしたのよ、世界を救う勇者様がそんなしけた顔しちゃってさ」


あぁ、ここでも思う。俺には名前なんてない。あるのは勇者なんてたいそうな肩書だけだ。


「・・・もう勇者じゃないんだよ。残念ながらな」


「なによ、訳あり?」


俺はコクリと頷く。


余程深刻そうな顔をしていたのだろうか、彼女は優しく笑った。


「名前も知らない仲だけど、愚痴くらい聞いたげる。深くないからこそ、大切な関係ってやつもあるじゃん?」


そういうと、彼女は俺を奥の席に案内した。


ちょっと待っててねと微笑み、そのままどこかにいってしまう。


誰にでもフレンドリーに接することができるのが、彼女が人気の理由だと昔誰かが言っていた。


その誰かとは、二度と会うことがないんだろうな。なんせ俺はパーティを追放されたんだから。


そう考えると、どうしようもない虚無感に襲われる。


ーーーそんなことを考えていると、私服に着替えた彼女が俺の前の席に座った。


「おまたー」


「そんなに待ってないけど」


「かー!さすが勇者様はお堅いねー」


「もう勇者じゃないんだよ」


「そうそうそれ。一体全体、なんでそんなことになったのさ」


「もう仕事はよかったのか?」


問いかけると、彼女はグっと親指を立てる。


「勇者様に指名されたって言ったら店長が行って来いって。勇者様待遇ってやつだよ兄貴」


「だから俺はもう勇者じゃ・・・って、それはもういいか」


「で?それでそれで?」


彼女が目をキラキラさせながら身を乗り出してくる。


「もう勇者じゃないって、その言葉の通りだよ。勇者パーティを追放されたんだ」


ありのままを伝えると、彼女は納得していない様子で首を捻った。


「追放って、あのパーティはあなたがボスだよね?あなたが勇者なんだし。誰があなたを追放になんてできるの?」


「んなもん、新しい勇者に決まってんだろ」


「ん?んー?ちょっと待ってね。確かあなたは、生れたときに、『君は勇者だ!いつかこの世界の闇を暴き、光で包み込むだろう!』って言われたんだよね?」


「うん、そう。大体はそんな感じ」


俺には神託があったという。


教会のとても偉い人が、生れたばかりの俺を見てそういったのだとか。


神の使いだとか、勇者だとか、暗闇をはらうとか、そんなん。


もちろん俺はまだおぎゃおぎゃ言っていたころだし、1ミクロンも記憶にない。


物心ついてから会った教会の鰓人とやらは、腰が直角に曲がった爺だった。半分ぼけてて、その辺の赤ん坊に適当なこと言ったってのが俺の見解。


・・・教会の偉い人を『半分ぼけてる』なんていってんだから、俺に信仰心なんてかけらもない。そんな奴が神の使い~なんて呼ばれてるんだから笑わせる。


「あなたが追放されたのなら、誰があなたの代わりになるのさ。勇者はあなた一人じゃないの?救世主が何人もいたら意味がないし。新しい勇者だなんて胡散臭ーい」


「ま、そう思うよな」


俺は彼女が持ってきてくれた飲み物を飲み込み、深く息を吐いた。


「それじゃあちょっと長くなるけど、全部話そうか。・・・愚痴、聞いてくれるんだよね?」


問いかけると、彼女は笑顔で頷いた。

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