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ゆめいろジャンピング  作者: 水平リイベ
12/15

デビューに向けて、本格始動

 私たちのデビューの日となる星山流星祭りまで後一か月、レッスンはダンスが月・土、歌が水・日に決まったのだけれど、日曜日にレギュラー番組の収録があるキリンさんは月曜日にはどうしても来ることができない。

 なので、ダンスのプロであるゆりあちゃんママがサポート講師として、月曜日の担当をすることになった。


 どうやら独身時代のゆりあちゃんママはインストラクターをやっていただけではなくその筋ではかなりの有名なダンサーだったみたいで、お父さんズが間を取り持った顔合わせの日、キリンさんは目を輝かせて握手を求めていたと後からゆりあちゃんに教えてもらった。


「びっくりした、あのキリンさんがママに向かってすごく丁寧にお辞儀して、お土産の東京マロンマカロンを渡す手もカタカタ震えちゃってね、「中学生時代のあこがれのダンサーにこうして会えるなんて」とか言って涙ぐんでいたの」


 お父さんズがバンドを組んでいたことといい、このプロジェクトをきっかけに私たちは自分の、そしてメンバーの親たちの若かりし日の意外な顔を発見することにもなったんだ。

 まぁ、そんなすごいすごいって言われても、やっぱり私たちにとってはいつもと変わりない町のほがらかなおじさんおばさんで、トオルpですらふざけたお兄さんにしか思えないんだけどね。


 でも、ゆりあちゃんママのレッスンはそんな日常の印象もどっかに吹っ飛んでしまうくらいのスパルタで、慣れっこのゆりあちゃん以外の私たち四人はひーひー言いながらなんとか振付をこなすだけで精いっぱいだった。


「はいはい、そこワンテンポ遅れた、しゅつしゅつぱっ、こうやってー、ハイ、ワンモアトライ!」


「はー、はー、キリンさんのメニューで自主練してだいぶ体力ついたと思っていたけど、プロのレッスンってやっぱきっついわー」

「先に体力づくりを始めてたこのはちゃんたちはまだいいよ、僕なんか足がっくがくだよ、ほらぶるぶるしてる、見てみてよ」


 ぜーぜー肩で息をするゆずる君の足は、確かにぶるぶるカタカタと震えている。

 ゆりあちゃんといっしょにきたえられていたはずのきらりちゃんも、フロアシートにあおむけになってぐったりしていた。


 そんな中でも、ゆりあちゃんはひょうひょうとして、キリンさんスペシャルドリンクの入ったボトルを右手に持ってチューチュー吸いながら、左手は頭の上まで上がった足を支えている。


 彼女、やっぱりただものじゃないよ!

 あの不思議味のドリンクを飲みながら、平然と柔軟ができるなんて!

 そして、歌の方のレッスンといえば、案の定ゆずる君の独壇場だった。

 ダンスでのふがいなさを払しょくしても余りあるその抜群の歌唱力!

 張りのある伸びやかな声が、町中に響き渡るじゃないかと思うほどのオペラ歌手かのようにヴォリュームのある声量。

 

 ゆめいろジャンピング、この歌はゆずる君なしでは決して成り立たない。

 私だけではなく、この場にいた全員がそう思っていたのだと思う。



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