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第十四話 誕生日の花

四時間目の授業を一冴はサボった。


失神した菊花を抱きかかえ、第一実習棟へ這入る。そして、演劇部の部屋の前までやって来た。そこには、段ボールやリボン、カラースプレーなどが乱雑に置かれている。


演劇部の前にある素材を手に取ると、さっそく工作に取りかかった。


     *


それから一時間後のことである。


蘭は、友人たちと共に文藝部室へと這入った。


友人たちが誕生会の準備を始める。テーブルにケーキを置き、紙コップや料理などを竝べだす。奥の席へと蘭は坐り、誕生会が始まるのを待った。


十七本のろうそくがケーキの上へと立てられる。


誕生会の準備が整い、参加者が席へ着いた。


部室の扉が開いたのはそのときだ。


巨大なプレゼントボックスを担いだ一冴が入ってきた。しかもそのプレゼントボックスは、痙攣したようにガタガタと振動している。


「蘭先輩――お待たせしました!」


蘭は目を瞬かせる。


「まあ、いちごさん――それは何ですの?」


「いえ、私からの誕生日プレゼントです。どうか受け取って下さい。」


よっこいしょ――と言い、プレゼントボックスを置く。


れんげが箱を覗きこむ。


「なんかゴトゴトいってるんだけど――活きのいい(まぐろ)でも入ってるの?」


「ええ――新鮮な(まぐろ)を手に入れました。蘭先輩に喜んでいただければいいんですけれども。」


何が入っているのか不安を覚えた。


しかし、自分を慕う後輩が危険な物を入れるとも考えられない。


「あの、開けてもよろしいですか?」


「はい、どうぞ。」


恐る恐るリボンを解き、蓋を開ける。


えび()りに縛られた菊花が入っていた。さるぐつわで口は塞がれている。胴は亀甲縛りにされていた。それでも何とか抵抗を試みているようだ。


「ふんぐー! ふんぐー!」


「まあ――とても素敵な鮪ですこと!」


呆れた目で早月は一冴を見る。


「てか、いちごちゃん力持ちだねえ。」


なおも抵抗を試みる菊花のほほへと、そっと蘭は手を触れた。


「けど、少し活きが良すぎるかしら? ちゃんとベッドの上では無抵抗(まぐろ)にしてなきゃ駄目ですよ?」


「マグロって、そっちのマグロ?」


早月は立ち上がり、部室の片隅から(はさみ)を取り出す。


そして、菊花を縛るロープを切った。


「あんまふざけちゃ駄目だよ? 菊花ちゃんは物じゃないんだから、プレゼントするとかしないとかそんなことは――」


言い終えないうちに、菊花は立ち上がる。


さるぐつわを外し、ケーキの載せられた皿をひったくった。


「人をなめるのもいい加減にしろ!」


誕生日ケーキが一冴の顔で炸裂する。


     *


その頃、強烈な下痢に桃は苛まれていた。

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