表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/112

第十一話 偽らざる自分

土日を通し、プロット作りに一冴は励んだ。


物語の舞台は、第二次世界大戦末期の伯林(ベルリン)から架空の世界へ移した。そもそも、最初に湧いてきたイメージは雪の降る街だったのだ。一方、伯林の戦いは四月に始まった。イメージを優先すれば史実は合わない。


今までの悩みが嘘のように全ては進んだ。


主人公は、平凡な幸福を愛する二人の少女だ。お互いに想いを伝えられないまま戦争が始まる。家族を殺害された少女に与えられるのは小型航空機。片方の少女は看護師として徴募される。戦場における立場の違いがすれ違いを生んだ。


ラストで、看護師の少女は目にする――重傷を負い、包帯を巻かれ、生死の瀬戸際を彷徨う親友の姿を。二人がお互いの気持ちに気づくのもそのときだ。


ハッピーエンドではない。しかし、そちらのほうが自分らしい。


プロットを作ってゆくうちに、一冴は気づいた。


自分は――必要以上に「女」を演じようとしてはいなかったか。


少女が戦争をするという、いかにも男性が思いつきそうな物語を作ることによって、不審に思われることを恐れていた。


けれども、一冴の周りにいる少女はどうか。菊花は仏壇を寮に持ち込んでおり、蘭は女性しか愛せず、紅子は共産趣味者で、早月は残虐なホラー小説を書いている。


女性とはこうであるはずだ、それに合わせなければならないという気持ちが、偽らざる自分から一冴を遠ざけていた。


しかしその枷を一つ外した今、想像の翼は広がりつつある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ