表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/112

第十五話 気づいていた?

日が暮れかけた頃、一冴は菊花と下校した。


桜の散りかけた鎮守の杜を二人で歩いてゆく。


遠くからながめていた蘭はどこか神秘的な感じがした。あの雨上がりの光景もそうだ。しかし実際にふれた蘭の姿は、一冴が想像もしないものだった。


菊花はウキウキしている。


「ご愁傷様だったね♪ 蘭先輩、女の人しか好きになれないんだってさ。」


「うん。」


何とか一冴は気を取り直そうとする。


「でも――異性を好きになったことがまだないだけかも。同性愛者かと思っていたら、実は両性愛者だったってこともありえるじゃん。」


「百二十三人も好きになっておいて今さら両性愛者なんてあり得る?」


そう言われると黙らざるを得ない。


「蘭先輩がそういう性的指向を持ってるっていうんなら、尊重しなきゃね。セクシュアルマイノリティのSOGIを尊重してマイクロアグレッションをなくしてゆくことがLGBTQ+にインクルーシブなダイバーシティっていうやつじゃないの?」


「そういうカタカナ語を遣う人が一番うさん臭いんだよ。」


菊花は溜息を一つついた。


「けど、私も意外だったかな――蘭先輩がレズビアンだったなんて。」


一冴は考えこむ。


「意外――かなあ。」


「意外――じゃないの?」


「だって、蘭先輩が書いてた小説って、そういうのでしょ?」


「まあ――そうだけど――」


一冴は胸元に手を当てる。


「それに、私はこの格好をしてるのに、今さら意外もないんじゃない?」


「いや――あんたみたいなオカマ、そうそういないじゃん。それと同じで、レズなんてそうそういないでしょ。」


それはそうであろう。しかし、菊花は知らない――中学のとき、見知らぬ女子と蘭がキスをしていたことを。


――これは天祐なんだろうか。


自分は男だとバレてはならないのだ。その上で蘭に好意を寄せている。普通、女性は女性を好きにならない。しかし蘭はレズビアンなのである。


考え込んだ一冴を目にして、菊花は疑問の声を上げる。


「あんた――まさか、蘭先輩がレズだってこと知ってた?」


「うん――まあ――」


菊花は酷く驚愕した顔となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ