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第十話 戀に先立つ失戀

『戀に先立つ失戀』が載った部誌は、早月の許可を得て持ち帰った。


この小説は他の作品より分量が多い。一話だけで二万文字もある。それが、秋季誌・冬季誌・春季誌に亘って連載されているのだ。


ゆえに、読み終えたのは翌日の「朝読書の時間」のこととなる。女子生徒として百合小説を教室で読むのは変な気分だった。


『戀に先立つ失戀』の内容は、以下の通りだ。


主人公の王女・リリアンは、ヒロインの侍女・琴子に惹かれている。


そんな琴子は、元々、何の変哲もない日本の女子高生だった。しかし天災により、リリアンの住む世界へとやって来る。異世界での流浪と孤独――そんな中、唯一、リリアンだけが手を差し伸べた。だが、それが同性愛にもとづく感情であると気づき、琴子はリリアンを拒絶する――琴子もまたリリアンに惹かれているにもかかわらず。


やがて王国は侵掠(しんりゃく)を受ける。


敵の攻撃により、王城は焼け落ちた。戦禍の中、リリアンと琴子は離れ離れとなる。


国を救うため、隣国の王子とリリアンは結婚することとなる。しかし、それは国王である父が決めたものであり、リリアンの意思ではなかった。


結婚式当日、一人の女騎士が式場に現れる。本来、彼女は国王の配下であった。同時に、リリアンの唯一の理解者でもある。それゆえ、国王を裏切り、本当に愛する者と結ばせるためにリリアンを連れ出しにきたのだ。


「殿下、この方の心は貴方にはございません。わたくしが預からせて頂きます。」


女騎士はリリアンをさらった。


女騎士の馬に乗せられ、満天の星の下を駆ける。


――地上に明かりはありません。頼りになるのは騎士の(かひな)だけです。しかし空を見上げれば、綿雪のやうな星の河がありました。


やがて、王城に馬は到着する。


廃墟の城に琴子はいた。


そして、リリアンと琴子が唇を重ねたところで物語は終わる。


完成度は高い。


しかし、一冴は気にかかっていた。


なぜ――このような内容となったのだろう。


あの雨上がりの光景が頭によみがえる。


蘭は同性愛者なのか――それとも両性愛者なのか。


続いて、昨年の夏季誌に載せられたという小説が気にかかる。


――いったい何を書いたんだ?


そこまで考えたとき、予鈴が鳴った。

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