表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/67

ガチャ0 プロローグ

 ガチャこそ至高。ガチャこそ生きがい。

 唐突だが、こんなことを呟きたくなった俺は休みの日に自宅で今日も今日で大人気ソーシャルゲームの『ガチャガチャファンタジークエスト』をプレイしようとしていた。


 ガチャとは地方ではガシャポン、ガチャポン、ガチャガチャなど様々な呼び方があるが、基本的には色々なおもちゃをカプセルの中に入れて、専用の機械にセットして、お金を入れて、回して引くくじ引きみたいなものだ。

 大抵は全部で5種類とかでシークレットに1種類謎のおもちゃが入っているなど子供の好奇心を揺さぶるような感じである。

 だが俺はそんな子供だましの現実のガチャなどもちろん興味はないので(昔はハマっていたが)スマフォゲームのゲーム内ガチャにハマっている。

 『ガチャガチャファンタジークエスト』というソシャゲなんだが、これが一年前に始めたのだが、結構ハマるし面白い。

 プレイヤーは色々な職業になって世界を冒険する冒険者になるという設定で始まるのだが、戦闘は意外とあっさりしている。

 じゃんけんのグーチョキパーに対応しているのか、攻撃防御回避の三種類のコマンドしかなく、それを毎回選択するだけだ。

 そして相手のHPを少しずつ削り、ゲージが溜まると必殺技が放てるので放って大ダメージを与えて、戦闘終了。

 これの繰り返しなのだが、まあ俺はハマった。

 それに戦闘がジャンケンなのは置いといて、このゲームの本当にハマるところは戦闘ではない、ガチャだ。

 

 ガチャで手に入るものはアイテム、武器防具などの装備品とキャラの三種類だ。

 アイテムは戦闘を有利に出来るものもあるが、微々たるものだ。

 武器防具は店売りの装備品より圧倒的に強力な物が多いが、それよりも大事なのはキャラだ。

 このゲーム主人公はかなりのランダムせいがあるので、リセマラには向かないが最初にまわせるチュートリアルガチャで手に入る仲間キャラクターが強力なやつが手に入ることがあるのだ。

 大抵はいわゆる銀玉と呼ばれるキャラしか手に入らないがその上の金玉や虹玉などの最上位キャラが手に入ることもある。

 俺は最初はリセマラなんてしらなかった初心者だったので、銀玉で始めた。

 だがこのゲームこのガチャをまわすために必要な通称ガチャ石を最初は結構配るのだが、ゲームが進むにつれてあまり配らなくなる傾向がある。

 ログインボーナスで毎日1個は貰えるのだが、そもそもガチャを一回まわすのに必要なガチャ石は5つも必要なのである。

 だから俺は今日も必死になってまだクリアしてないノーマルステージを攻略してガチャ石を集めている。

 なおもうスペシャル面や裏面などは殆どクリアしている。

 このゲーム毎週ノーマルステージが追加されるのが一つの売りである。

 なので少しずつクリアしているのだが……




「ふぅ~……やっと5つ貯まったぜ」

 時刻はもう夜の十時くらい。

 晩飯も食べずに熱中してしまった。

 飯でも買いに行くか。


 俺は近くにあるコンビニまでジャージで足を運ぶ。

 もちろんスマフォはポッケに入れたままだ。

 今日は土曜日で明日も休みなので徹夜でステージをクリア出来る。

 しかも俺はあまりやりこまないほうなので、まだまだクリアしてない面が沢山あるので、ガチャ石を稼げるのである。

 現在貯まっているガチャ石は全部で49個。

 後一つ貯めたら、11連ガチャがまわせるのである。

 本来1回5つの石を使うガチャなら10回なら50個の石を使うのは明白だが、このゲームは違う。

 50個の石を一度に使うことでこのゲームはなんと1回余分にまわせちゃうのである。

 なので俺は後1つの石を貯めるために歩きながらノマ面をクリアしている。

 既にコンビニでツナマヨおにぎりとピザパンと即席カップそばを購入済みだ。

 昼も殆ど食ってないから腹が減ってたからな。


 俺は50個目のガチャ石を獲得しようとしていた時だった。

 ふといつも通る公園で声が聞こえる。


「…………ゃやめてください……大声出しますよ……」

「いいから、俺の言うことを聞いてくれたら酷いことはしないからな……」

「へへっ兄貴の眼についたら逃げることなんて不可能なんだぜ」

「いっ……いや近寄らないでっ!…………」


 中学生ぐらいの女の子がどうみてもレイパーな二人組に襲われそうになっている。

 どうしよう、俺はいつもならこんなやばそうな現場に出くわす前に本能で回避するのだが、そんなことはなかった。

 俺はいつもなら絶対にしない行動に出た。


 二人組の男に右ストレートを放っていた。

 まずは兄貴と呼ばれる爬虫類系のやつに一発。

 次に豚みたいな達磨人間に一発。

 した後に気付いたがあまり効いてなかったようだ。

 だが隙は作ったので、その間に「御嬢さん逃げて下さい」とかっこよく決めた。

 そして俺と悪人だけになった後、俺はボコボコにされた。


 だがそこで終わりじゃなかった。


「てめえよくもオレの獲物を逃がしやがったな、ゆるさねえ殺すぞおらっ!」

「兄貴だったら刺しちゃいましょうよ」

「そうだな……こいつで一発ズドンとなっ……」

 俺は意識がもうろうとする中胸をナイフで刺された。


 その後警察官と思われる男性と先ほどの中学生が脳裏に微かに記憶しているのだけは覚えている。

 俺の意識は沈んだと思われた。




 気付いたら俺は真っ白い何もない空間にいた。

 だが、一つだけ違う点があった。

 椅子があってそこに座らされている。

 だが何故か鎖でがんじがらめされているのである。

「はっ!? なんだこれどうなってんだ!?」


「ここは無空間と呼ばれる場所じゃ、本来何もない空間で普通は誰も呼ばないのじゃが、今回は例外じゃ」

 するとそこにはどうみてもちょっとばかし小っちゃいが女神様っぽい人がいた、人なのか?

 真っ赤なツインテールで目はぱっちり、胸はぺったんこ、ちっこいどうみてもロリです、ありがとうございました。

 じゃなくて、何で俺は椅子に鎖で括りつけられているわけ??

 ちょっとおい説明しろよそこの女神らしきやつ。


 すると察したのか心でも読んだのかロリ女神は口を開いた。

「人間のクズのガチャ廃人がついうっかり人助けなんてするからこんなことになるのじゃ、このこの、このアホが面倒な仕事を増やさせやがって」

「てめえ黙っていたら調子に乗りやがって、何様だ!」

「もちろん女神様だよ」

 あっーうん知ってた。

「それでその女神様が何の用だよ」

「なんじゃお主もしかして自分の状況がわかっていないのか?」

「たぶん俺死んだんだろ、それでここは死後の世界みたいなところかな? 三途の川の一歩手前とか?」

「察しが良いのは早くて助かるのじゃ、それでお主には選択肢を三つやろう」

 ロリ女神が三つの選択肢を言う。

 その内容がこちらだ。


 一つ、このまま天国で永久に過ごす。

 二つ、輪廻転生の輪に入り、生まれ変わる。

 そして三つ目が、今の肉体のまま別の世界に生まれ変わる。

 正確にはちょっとだけ肉体強化してくれるし、補正つけてくれるらしい。

 別の世界はどんな世界だと聞いたら、剣と魔法のRPGみたいな世界だとか。

 それに今なら転生特典として一つだけどんな願いも叶えてくれるらしい。

 まあ元の世界に戻せとか神にしろとかの願いは無理そうだが。

 俺はどうしても叶えたい願いがあった。


「願いは決まったか?」

「その別世界の異世界でもガチャをまわせるようにしてくれが俺の願いだ」

 ロリ女神はなるほどといった顔で納得していた。

「お主ならそう言うと思っていたぞ、どれ生前使っていたお主のスマフォをここに持ってきておるのじゃが、私が今ここで女神パワーで改造してやろう」

 そう言って、ロリ女神がスマフォをちょちょいのちょいと指を振る。

 そしてスマフォが光に包まれたと思ったらすぐに光が消えた。

 そしてほいっといつの間にか解放された俺のほうにスマフォが投げられる。

「ちょっ! 投げんなよ! 壊れたらどうするんだ」

「そんなちょっと落としたぐらいで壊れるようなやわな加護などつけるわけなかろうが」

「というと?」

 聞くと、対衝撃水没切断などのいかなる破壊などを完全に防いでくれるとか、しかも万が一誰かに盗まれても念じるだけで手元に戻ってくるし、俺以外のやつにはこのスマフォは使えないとか(ただし俺が許可したら別らしい)。

 流石女神様だぜ。

 そして肝心のガチャなのだが、それは異世界に行ってからのお楽しみだとか。


「じゃあな、達者で暮らせなのじゃ」

 とロリ女神が言った瞬間に俺は落とし穴に落ちるかのような感覚に襲われて、いつの間にか森の中にいた。

「ここが異世界か……」

 俺は意外と冷静だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ