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7 一方、日本の家族は その2

しろくま先生のストレッチタイム


「はい、肩をゆっくり上げ下げしましょう

上げてー下げる

上げてー下げる、繰り返してー、

いちーに

いちーに

最後に大きく深呼吸ー

お疲れ様でしたー」


お待たせしました、日本の家族の様子をお届けします。


 とりあえず、今の母を1人には、出来ない。

 考えたけど、答えも出ない。

 3人で話し合い、今日は、私達一家が実家に泊まり、妹一家は、自宅に帰って、明日また、集合しようという事にした。


 久しぶりに娘達が家族を連れて、帰ってきたので、母も少しは、元気を取り戻したのだろう。

 全員の昼食を作り始める。

 妹が、子供達と母の手伝いをしている間に、夫達に、私が説明をした。


 夫達は、にわかには、信じ難い表情をしていた。

 しかし、一族の中でも、しっかり者の母が、嘘を言うはずも無く、ボケている様子も無い。

 何ともいえない表情を浮かべていた。

 話の最後に、『うちの両親がすみません』と、頭を下げると、二人は、苦笑いしながらも、受け入れてくれた様だった。





 昼食のメニューは、中華。チャーハンとスープだった。

 料理自慢の母が作ると、何でも美味しい。

 本人は、首を傾げていたから、納得の行かない出来だったのかも知れないが、我々が口々に、『美味しい美味しい』と騒いでいたので、喜んでいた。





 母に気分転換をさせようと、午後は、皆で出かける事になった。

 申し訳ないが、私は、ここ数年、あまり体力が無く、家で休ませてもらうことにした。


 皆を見送ってから、布団の中に入って、スマホで検索を始めた。

 異世界転移・ロウソク七本・誕生日、など等。

 ……役に立つ情報は、得られなかった。


 仕方無く、皆が帰ってくるまで、そのまま寝てしまう事にした。

 食後から、眠くて眠くて、我慢していたのだ。

 結果、夕方まで、眠りこけてしまった。




 夕食は、買ってきてもらったものを、皆で食べた。

 食後に、子供達3人だけで遊んでもらい、大人だけで、話し合いをした。

 私は、ネットで調べものをしたが、何も分からなかった事、異世界転移とは何ぞや、について語り、そして、自分の意見を述べた。




「と、いう理由で、警察には、行った方が良いと思います。けど、そのまま事実を語るのは、さっき言った理由で、危険です。そこで、言い訳を皆で考えて欲しいの。」


「ちょっと無理があるよね? だってさ、ローソク消しました。電気を点けました。人がいなくなりました。これをどうやって、ごまかすの? 」


「うん、それだよね。」



 妹は、どうやってもごまかすのに無理があると、思っているらしかった。

 すると、妹の夫は、しばらく考えて、口を開いた。




「お義父さんがいなくなってから、お義母さんは、びっくりして、ドアを開けたんですよね? 」


「え、ええ! そうよ……。」


「なら、お義父さんが開けて、外出した事にしましょう。」




 妹は、隣の自分の夫を見ながら、表情を和らげた。





「あー、それ良いかも。今までもさ、勝手に黙って家を出て、数分後に突然『ただいまー』とか、あったじゃん? 」


「あったわね。」


「あったよ。何回注意しても、直らなかった! 」




 母と私が頷くと、妹の夫は、笑って言った。




「それなら、『ケーキに合う飲み物を買ってくる』と言って、近くのコンビニに向かったけど、帰って来なかった、は?」


「「「「おおおおー!!!! 」」」」


「さすがです! 私の義弟は、天才だ! 」


「素晴らしいわね、優秀な息子がいて、鼻が高いわー。」


「皆、私の夫だから! 」


「すげえなあ! 」




 日頃丁寧に話す私の夫も、感心している様だ。





「いや、……大した事は、言ってませんよ。」


「いや、大した天才よねっ! 」


「素晴らしいわー。」


「皆、この人、私の旦那様だから! 」


「すげえ、何も考え付かなかった! 」


「……。」




 とりあえず、その日の集まりは、それでお開きになったのだった。




妹の夫は、話しながらも

「これ、穴が有りすぎて、全然大丈夫じゃない」と思っているのですが、あまりにも周りが楽天的なので、少し呆れています。


お読み下さって、ありがとうございます。

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