4 異世界、三日目
思い付きで、設定とかバンバン変えているので、つじつまが合っているか、不安です。(笑)
主人公は、元々楽天的な性格なのですが、身体の不調や、年齢からくる疲労回復の遅さ等から、少し不安や焦りを感じています。
地に足の着いた異世界無双(?)が始まったら、その辺に少しずつ良い変化があるように、追々表現していきたいです。
朝、目覚めると、サニーちゃん一家の家の天井が見えた。
何とはなしに、がっかりと落胆する気分と、ワクワクと心浮き立つ気分を、同時に感じる。
身体を少しずつ動かしながら、起きる準備を始める。
年を取ると、急に起き上がるのは、色々な意味で、危ないのだ。
準備運動は、大事だ。
発作を起こしてから、翌日は、1日寝ていた。
お医者さんの診察を受けてから、寝間着にする白っぽい色のワンピース? ネグリジェ? 的なゆったりした服と、ズボンを貸してもらい、着替えてずっと寝ていた。
一瞬、女物かとドキリとしたが、……寝間着の上部分は、男性も女性も、このデザインらしかった。
夕飯だけは、寝台の上に起き上がって口にしたが、ショックが強かったのだろう。どんな味がしたか、覚えていない。
今日は、流石に起き上がりたいのだが、医者には、今日も寝ている様に言われてしまったので、午前中は寝かせてもらおう。
そうそう、思い出したが、……本好きの長女が言うには、俺みたいな目に合うことを、異世界転移って言うのだそうだ。
理由は分からんが、地球上の昔の世界にタイムスリップしたり、地球とは別の世界に飛ばされる事を指すらしい。
多少、間違って覚えているかも知れないが、当たらずとも遠からず、というところだろう。
まるで、子供の頃に読んだSFマンガの中の話だよね。
問題は、まさに、俺がそう言う目に合ってるって、事だよ。
時には、日常的に、魔法を使う様な人がいる場所に行く事も、あるらしい。
如何にもぶっ飛んだ変な……、あーいや、夢に満ち溢れたファンタジーの話が好きな、娘の事だ。
と、半ば呆れて聞いてたのだが、実際にあるとは、驚き・桃の木・山椒の木だ。
もう、いっそのこと、魔法があれば、楽が出来るのだろうか?
俺も、使えるのだろうか?
元の世界に戻ったら、妻に楽をさせてやれるだろうか?
もし、魔法が地球で使えたら、ワシは、人類の歴史上、ものすごい貢献が出来るのではなかろうか。
ハリボテ……じゃなかった、ハリポタの様な魔法を学ぶ学校を建てて、ワシが、そこの校長先生になることも、出来るのではなかろうか!
更には! そう! ワシは! 国から勲章を貰える事も、夢ではないのではなかろうか……!
「おじいちゃん、おじいちゃん? 大丈夫? 」
「ん? おはよう! 何かな? 」
「おはよう、大丈夫? ぼんやりしてたよ? 」
「お、おおー、ごめんごめん。考え事をしてたからね。」
目覚めて最初に話しかけてくれたのは、サニーちゃんだった。
耳を澄ませば、物音が聞こえる。
両親もきっと、既に起き出して、働いているのだろう。
話しかけられて、我に帰る。
いかんいかん。
どうも俺は、考え事の時に自分の事を、『ワシ』と称すると、舞い上がってしまう。
目も口も、だらしなく半開きになっていたに違いない。
気を付けなくては。
悔しくも、悲しくも思うが、どんなに頑張っても、俺の身体は、70歳だ。
そして、あまり、無理をすると、また発作を起こしてしまうだろう。
この村には、救急車は無く、病院も、医者も、無い。
ここで、もう一度、発作が起きれば、きっと命は助からないだろう。
実は、一昨年、ガンの手術を受けたばかりなのだ。
……この身体で異世界に飛ばされるとは。誰かの悪意を疑ってしまう。
結構、危ないな。
生きて帰れるんだろうか?
「おじいちゃん、大丈夫? 今度は、ものすごく暗い顔をしてるよ? 」
「ああ、また、考え事をしていたよ。大丈夫だよ。」
慌てて、寝台の上に起き上がると、サニーちゃんが、枕の位置を変えてくれる。
笑顔でお礼を言うと、にっこりと笑ってくれた。
横になっている時は、考え事等、するものでは無いな。
起き上がっている時と違い、暗い物思いになりやすい。
こんなに小さな子供に、心配はかけたくないな。
ただ、あんまり休んでいても、身体がなまって動かなくなってしまう。
やはり今日も……迷惑だろうが、基本的に、この寝台から動かないで、ゆっくり身体を休ませてもらおう。
しかし、何もしなければ、ただ身体がなまるだけ。
後で寝台の上で、横になっていてもできる、全身運動をしよう。
「お、お目覚めでいらっしゃいますな! 」
「おはようございます。」
村長と、お医者さんが来てくれた。
ありがとうございます。
何かありましたら、是非、お知らせ下さい。