3 宣誓! 生きます!
少し長くなりました。
あと、キーワードをローファンタジーに、変えました。
魔法使える設定にするか、悩んでいます。
その時は、ハイファンタジーに変更する必要が、あるでしょうね……。
胸を押さえて、寝台の上で、のたうち回り。
一時間位、苦しんだ。
この村には、医者が居ないらしく、隣村のそのまた隣の村まで、馬に乗って村長が、呼びに行ってくれたが、その前に治まった。
村長……、本当に、申し訳無い。
俺は、ネクタイを取って、枕元に置きながら、発作の原因について、考えた。
俺が発作を起こした原因は、地図だった。
見たことが無い地形。
見たことが無い地名。
見たことが無い国名。
下手すると、時代どころか世界すらも、違う可能性がある。
俺は、知らない場所に来て、その原因が分からない。
どうやって来たかも、分からない。
何故来たのかも、分からない。
帰る方法も、もちろん、分からない。
分からない事だらけだ。
一番始めに思い浮かべたのは、妻だった。
俺がいなくなって、大丈夫だろうか?
心配してくれて……なかったりしてー!!
わっはっは!
はあ、落ち込むなあ。
他の家族は、まあ、大丈夫だろう。
長女は、ここ数年、少し病がちだ。夫との間に、娘と息子がいる。
次女は、しっかり者だ。やはり、夫との間に、娘がいる。
娘それぞれに、素晴らしい婿を得て、良かったと思う。
手前味噌にはなるが、他の親戚・友達も、人格者だ。
皆で助け合ってくれるだろう。
最悪、妻も、娘達が助けてはくれるだろうが……。
帰れるものなら、帰りたいが、今のところは、到底無理だろう。
でも、俺はここに居たら、早死にする未来しか、無くなる。
体調不良でも、すぐに医者にかかれない。
もし、もう一度発作が起きたら、俺。
……即、死ぬな!
織田信長の、人生50年時代から考えたら、70歳は長生きだろう。
でも、2017年から来た俺としては、もっと長生きしたい。
あと、数年で、人間は、寿命百年時代に突入すると、この前、里帰りした長女が言ってたな。
まだ30年あるぞ?
でも、ここで、じーさん扱いされてたら、俺。
……即、ボケるな!
どうすれば……。
とりあえず、生き残ろう。
とりあえず、生きていよう。
生きていれば、奇跡も起こるかも知れない。
戦後生まれの俺が、生き残っているのも、きっと何かの奇跡だろうからな。
俺は、生きて、帰るんだ。
もう一度、妻に会うんだ。
その日は、翌朝まで、寝台で休ませてもらった。
次の日に、寝台の上で座ったまま、サニーちゃん一家・村長と2つ先の村のお医者さんに、話をした。
こことは、違う場所に住んでいる。
この場所の事は、初めて知った。
どうやって、ここに来たかは、分からない。
どうして、道に倒れていたのかも、分からない。
帰り道も、分からない。と。
つまり、結構そのまま率直に話してしまった。
その方が、疑われないと判断したからだ。
自分の取り柄は、良い人っぽく見える事。
一生懸命に、正直に話した。
吉と出るか、凶と出るか……。
しばらくして、口を開いたのは、サニーちゃんだった。
「おじいちゃんは、まいごになったの? 」
「うん、そうだね。」
「おじいちゃんでも、まいごになるの? 」
「うん、そうなんだ。」
「とっても、こわいね。」
「……うん。そうなんだよ。」
「サニーもね、まいごになったことあるよ! すごくこわかったよ! 」
「そうか、……大変だったね。」
「わかってくれるの? 」
「ああ、今の私も、怖くて、とても……心細いんだ。知らない場所に、知らない人、知らない事ばかりだからね。」
「そっかー、じゃあ、サニーが教えてあげるよ! 」
「ありがとう! 本当に助かるよ。おじいちゃんの友達に、なってくれるかい? 」
「うん、おともだちになろう! 」
話が勝手に進んでいくのを、サニーちゃんのご両親と、村長、そしてお医者さんは、呆然と眺めていたが、娘が、怪しいじーさん(俺)と仲良しになってしまったので、仕方無く助ける事にしたらしい。
「まあ、サニーがそう言うならねえ。」
「……じーさんは、悪い奴には見えねえからな。」
「ええ、そうですね、とりあえず、このプティー村のお客さんとして、お迎えしましょう。後の事は、追々考えましょうか。」
「多分、記憶を無くしてしまったのでしょう。元の場所では、身分の高い方に違いありませんよ。庶民の我々にも、丁寧な話し方と物腰で接して下さるなんて。余程に、人気がお有りの御領主だったのでしょうな。」
「領主? あー、いやいや、待って下さい。色々覚えてませんが、庶民だったのは、間違いないですよ。」
「だってじーさん、あ、あの服! 」
「私の居た国は、庶民が仕事する時や、たまにちょっとだけ贅沢する時に、あの服を……。」
「贅沢! やっぱりだよ! あんた! 」
「身分の高い方の為の家が、この村には無いので、……一番大きな、空き家をお使い頂きましょう! 」
「少しだけ、村に帰る前に、お話出来れば光栄ですな! 」
……しまった! これ以上迂闊な事は、言えないよ。
ありがとうございます。
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