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恋愛脳オタクの初異世界生活と闇翼の黒竜  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』
【連載版】三角関係勃発! 三角お山の上のトライアングラー‼︎
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第11話! と次回予告


「不思議な場所ね……」

「道らしいものはありませんね。……やはり竜人族の方々は翼があるから道は必要ないのでしょうか?」

「転移陣があるから別に山道をこんな風に登る必要性も、そもそもないんだろうしね」


 と、カノトさんとハクラの分析を聞きながら、魔石車の上を飛ぶターバストさんや竜人の人たちを見上げる。

 なるほど、あの翼って本当に飛べるんだ〜。


「しかしその転移陣が使えなくなったというのは奇妙な話ですね。魔法関係なら、やはり魔法騎士隊の方に同行していただければ良かったのでしょうけれど……」

「あー、それは俺なんとなく理由分かった」

「え、本当ですか?」

「うん、空間に淀みが生まれてるっぽい。山頂の方は風の流れもおかしいから、それが原因じゃないかな」

「……僕はそこまで分かりませんでした……」


 ……ハクラとカノトさんがなんか小難しい話してる。

 それにしても、やだなー……ハーディバルが不吉な事言ってたし、転移陣の不備とかなんとか……。


「ハクラ、それって危険な事なの?」

「使えなくなったっていう転移陣を見ない事にははっきりした事は言えないけど……空間に淀みがあるのは危ないかな。フェレデニク地方はバルニアン大陸で一番高い場所……。そういう場所の空間の淀みは風に乗って広がる恐れもある。転移魔法って主に『風属性』の系統の魔法に着地点として『土属性』系統の魔法も組み込まれてる複合魔法の一つ。空間と空間を繋げる魔法だから、結構ナイーブというか……それなりに繊細で、定期的に手入れが必要なんだよ」

「「そ、そうなんだ……」」


 と、私と声がハモったのはナージャ。

 それに一瞬ハクラが黙る。


「え、知らないの?」

「!? しししし知ってますよぉ!? ……ふ、複合魔法だったのに驚いただけですよぉ〜!?」

「知らなかったんじゃない!?」

「ううう」


 魔法使い志望のくせに、こいつめー!

 見なさい、ハクラが呆れて空笑いを浮かべているわよ!?


「……ちなみに、空間の淀みは修復出来るものなのですか?」

「原因を調べないと対処方法が異なるな〜。規模にもよるし……」

「では、調査が必要になりますね」

「そうだね……」

「他に何か気がかりな事でもありますの?」


 領主としてなのか、ユフィがあまり表情の優れないハクラを覗き込む。

 確かにいつもへらへらしてるハクラが難しい顔してるのは珍しい、かも?


「……いやー……まあ……山岳地帯は空間の淀みが生まれやすいって聞いた事あるんだよね。でも、メンテナンスしてれば多少歪んでも数週間使えなくなるなんて事はないはずだし……他に空間に影響を及ぼす何かがあるのかなー……みたいな? ……まさかミスズが召喚された事が関わってたりして……とか」

「私!?」

「可能性としてはなくはないかなー……ミスズは別の空間……異世界から来た訳だもん。……でもなー……ミスズが召喚された場所は王都だし……? フェレデニク地方とは距離あるし関係もないし? ……うーん?」

「…………な、なんなのよ、もう……」


 つまり関係あるの? ないの?

 まあ、ハクラにもよく分からないみたいだし……。

 ……それにしても空間の淀みかー……そう言われると、他人事とは思えないわね〜。

 とか考えていると山頂に近付いて、町が見えてきた。

 あれが竜人族の町の一つ『カルーパル』。

 塔のような建物がたくさんある……不思議な町ね……。

 ちょっと御伽の国っぽい雰囲気で素敵かもー!


「……あー、これは……やばめ」


 そしてハクラの第一声とその眉を寄せた表情。

 カノトさんも似たような顔だ。

 やばめって、何が!?


「何がやばめですの?」

「思ってた以上に淀みが酷い。もう歪みの域。これは転移魔法使えないよ、危なくて……」

「確かに……これだけの高さの山で、風がほとんど吹いていませんね……。これほどとは……」

「よくここまでおかしくなってて気付かなかったな。竜人の人ならすぐ気付きそうなものなのに」

「……ハクラ様もカノト様もすごいですね……。私には全然分かりませんわ」

「わたくしもです……一応得意属性は『風』なのですが……」


 姉妹が頰に手を当ててそんな事を言う。

 そういえばハクラもカノトさんも得意属性は『風属性』だっけ……一応エルフィも。

『風属性』は多種多様な系統を持つ万能型属性とも呼ばれている。

 回復、攻撃、補助……それだけではなく飛行、伝達、転移……他にも他にも……色々な事が出来る属性。

『土属性』みたいに土を操るか土を通して植物に影響を与えるか、みたいな系統云々ではなく、風属性のどのジャンルを極めるかはその本人のやる気次第といういかにもっぽい性質がある。

 カノトさんは、多分スピード強化系に特化した人なんだろうけど……。


「それに、町全体に変な気配もこもってるなぁ……なに? これ? これがこの町の普通なの?」


 魔石車が町の前の門に止まる。

 ターバストさんやお付きの竜人さんたちも降りてきた。

 門と大きな建物が一体化している、再び関所っぽい場所……。

 まるで錆びた扉が、ギシギシ音を立てて開いていく。

 な、なんていかにも使ってませんでした風なの?

 これも転移陣様様って感じ?

 転移魔法って便利だもんね……。


「ようこそ、ユスフィーナ……ここが私の町『カルーパル』だ」

「ユスフィーナ様、僕の後ろへ」

「は、はい」

「………………。君はさっきからやけにユスフィーナと距離が近いな?」

「申し訳ございません。ターバスト様の高魔力はユスフィーナ様には多大な威圧感と感じられるようですので……」

「……なるほど、それならば致し方ない。だが、私の妻になる女ならこのくらい早々に慣れなければ」

「え……!? い、いえ、あの……」


 なっ……………………な〜〜に〜〜〜〜!?

 なんでユフィが悪い感じになってるのー!?

 そもそもお前、ユフィと付き合ってもないし〜〜!?

 なにあの態度! 亭主関白とか今時流行らねーのよ!?

 いっやな感じ〜!!


「……あれは少しヤバイかも」

「ハクラ様……」

「ターバストさん、『闇属性』と『火属性』の竜人なんだね。あれはやばいね。断る時、血が流れかねないや……」

「ええええっ……!?」


 竜人もドラゴンみたいに一途だから、好きな人が自分のものにならないと逆ギレして道連れに……なんて恐ろしい事言ってたっけ。

 い、いや〜っ! 血が流れるとかいや〜っ!

 そういうのは求めてない〜!

 エルフィも不安そうじゃないっ!


「まあ、最悪な事になったらどうにかするよ」

「は、はい、ハクラ様、よろしくお願いいたしますわ!」

「頼もしい! そうなったら頼むわよ!?」


 ハクラかっこいい!

 あ、また出遅れた。

 ユフィたちが町に入っていく。

 というか、ここからは徒歩なのね。

 領主庁舎って近いのかしら?

 と、思ったら、ここが領主庁舎だったらしい。

 領主庁舎の奥に見えるのが『カルーパル』の町なんだって。

 竜人族の領主庁舎はユティアータのとは全然違う。

 石造りで、全体的にひんやりしている。

 天井はガラスのような透明な石が所々にはめ込まれてあり、そこからわずかな光が定期的に入る。

 なんとなく森林浴してるみたい。

 ご遺体の乗った台車が竜人の付き人さんたちによって別室に運ばれていく。

 あれ……。


「あの、ご家族の方々は?」

「まず別室で家族と対面させて、身元の確認をする。話はそれからだ」

「そ、そうでしたか……」


 家族の人たちもきっと驚くわよね……。

 カノトさんはご家族の人たちと話をしたいって付いてきたんだし……ちょっと肩透かし食らった感じかしら。


「…………」

「ハクラ? どうかしたの?」


 運ばれていく台車を眺めていた私の横で、マーファリーがハクラを見上げる。

 その声につられて私もエルフィもハクラへ目を向けた。

 本当だ、えらく厳しい顔つき。

 ど、どうしたの。


「…………ティル、起きて」

『んん〜』

「ごめん起きて。なんか、変な感じがする」


 フードの中からもぞもぞと白いドラゴンが首を伸ばす。

 寝ぼけ眼であくびを一つ。

 ハクラと違ってなんて緊張感のない……。


『んあ〜……なにこのヘンな“けはい”……』

「やっぱり? なんだろうね……個人的には嫌いな気配」

『うん、ぼくもきらい』


 でもないようだ。

 二人が嫌いな気配が充満しているらしい、この庁舎内。

 前方を歩くターバストさんが領主室だと促してきた部屋。

 ユフィとカノトさんは早々に入っていったけど……私たちも入っていいのかしら?

 カノトさんとハクラは護衛だし、エルフィはユフィの妹でユティアータの代表の一人の扱い。

 とか悩んでいたら、竜人の職員さんに「代表の付き人はこちらの部屋でお待ちください」と反対側の廊下を促されてしまった。

 いや、まあ、そうですよね。


「ティル」

『うーん、わかったよぅ……』


 パタタ、と翼を広げてマーファリーの肩へと飛び移るティル。

 え? え?


「何かあったらティルに言って。ティルも強いから」

『くぁぁ……』


 あくびしてますけど?


「こちらへどうぞ」

「……あ、は、はい」


 トカゲ人間風の竜人さん。

 うう、エルフィとユフィはハクラとカノトさんが一緒だから平気だろうけど……私は魔力耐性低いから竜人さんと対峙すると怖いのよ〜。

 レークさんの時はこんな怖いと思わなかったのに……。

 とか思っていたら、ティルがマーファリーの肩から私の肩に飛び乗った。

 ヒ、ヒイィ!? ……あれ? 怖く、ないな?


『くぁぁ……』

「…………ティルも魔力耐性が高いの?」

『うん、ぼくもドラゴンだからー』


 ティルが喋ると竜人の職員さんが目を見開く。

 その上、急に背中が丸くなり「あ、し、失礼しました」と焦り始める。

 ええ? なんなのその態度?


『ハーディバルのまりょくのけはいがするぅ』

「ちょ……」


 そしてティルの長い首が腕の魔力補助器に。

 こらこらこらこら!


「………………」

「え?」

「? あの……」


 ナージャがスタスタ入っていくのでそれに続いて部屋に入る。

 思っていたのとは違い、石造りの真四角な何にもない部屋。

 すると竜人職員さんが「すみません!」と叫びながら扉を閉めた。

 え? え?


『…………まっくらー』

「真っ暗!!」


 光なんて一筋も入らない!

 えええ!! ど、どうなってるのーーー!?





 ********





「ちゃんちゃかちゃーん! 次回予告の時間だよー! 担当はお馴染み! ハクラと!」

「帰っていいです?」

「そして私! ランスロット・エーデファー!」

「ど、どうも……カノト・カヴァーディルです……。え? あの、なにするんですか?」

「三角お山のトライアングルァ〜! カノトさんどうだったの!? トライアングルったの!?」

「へ!? え!?」

「次回、最終回! 『勇者な彼女と闇翼の黒竜!』……私も気になるな! カノトくんは恋愛イベントとやらに成功したのかね!!」

「え、ええぇと……? な、なんのお話でしょうか?」

「絡みやがるなです。カノト氏、こいつらはシカトこいて大丈夫です」

「そ、そもそもこれはなんなんですか?」

「やっと解放されたです」

「な、何がですか!?」

「次回は最終回なんですー!」

「ハーディバル隊長!?」

「……そんなに嫌だったの、ハーディバル……」

「時にハクラくん! 私の恋愛イベントはまだかな!」

「もー、ランスロットさんの恋愛イベントはもう終わったでしょ〜?」

「私の婚期もまさか最終回!?」

「おっとこれを言い忘れるところでした。『尚、内容は変更になる場合があります。ご了承ください』です。ふ、ふふふ、これでお役御免です!」

「だ、だからこれは一体なんなんですか!?」

「撤収〜! お疲れ様でしたー。じゃ、俺はティルのご飯作りに行くから」

「私も職務に戻るぞ! 行こうハーディバルくん!」

「じゃ、お疲れ様です」

「え、えええええ!? ぼ、僕なんで呼ばれたんですか~!?」



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