~ 本物 の 巫女~
翌朝 宿を立ち 老婆に聴いた タエ の 家を目指すと …
ボロ屋には 草が繁り とても 人が住んでいる様子は無かった …
三人 が 呆然 と 立ち尽くしていると …
「あんたら どうした? 其の家は とっくに人なんか 居ないぞ … もう 五年になるかな… タエって 娘 が 居たんだが …ちょっと変わった 娘でね 首吊って自殺してな … 両親も 後追うみたいに 病気になって … 死んだ… 其から 此のザマだよ … 」
と タエ の 家の隣ではあるが 更に遠く向こう側に住んでいる隣人が 都から家に戻る途中に 通りかかり 三人に そう教えてくれた …
信太 は 隣人に …
「あの タエ さん が 死んだ 理由は …」
と そう訪ねた …
隣人 は 辺りを キョロキョロ 見回し 三人に近寄ると …
「大きな声じゃ言えないが … タエって娘…神通力があってな … 太子 様 の所に 行きゃぁ良かったのに … 菊花様… いっ いやぁ~太子 様 の 側で 祈り捧げてる 巫女様が 態々 足運んだのに 追い返して … 其で 其の三日後に首吊ったのさ … だから … 呪いじゃないかって … まぁ そう 言われてるだけだが…ハハハッ… 」
と 隣人は 誤魔化し笑いをし
「悪いな 急ぐから!」
と 慌てて 帰って行った …
三人 の 背中に ゾゾゾッ…と 寒気が走った…
三人 は 互いに 見つめ合い ハハハッ! っと 怖さを消し去ろうと 作り笑いをした …
其から 与助が …
「あっ あのよ 此処に居ても何だから はな坊の話しの 方へ行ってみねぇか?」
と 少し 声を震わせ そう言った …
信太 も 末吉 も …
「そっ… そうだな ! じゃあ 行くべ!」
と 声を震わせ 早足で 山の方へと 歩き出した …
先程 の 話しを聴いたからなのか …
山道に入ると まだ 昼間だと言うのに いっそう 薄暗く 寒気がする程の冷気が 漂っていた …
何故か 嫌な 汗をかきながらも 三人は ナツムの元を目指した …
確かに 山道を 奥に進んでいる筈なのに 進んでいる 気がしない 寧ろ 同じ場所に 戻されている …
そう感じた 末吉 は 石を拾い 側にある大木に X印を付け 先へ進んだ …
暫く歩くと 見覚えのある 大木が現れ 末吉の付けたX印が ハッキリと目に映った …
三人は ガタガタと身体を寄せ合い 震えた…
すると 木霊のように …
「貴方達 … 此の山に 何用です… 」
と 女の声が 響き渡った …
三人は ヒィイィ~! と 耳を塞ぎ 踞り ガタガタと震えた …
意を決して 末吉は
「 ナツム と言う巫女様に あっ… 会いに来た―!」
と 声を 震わせ叫んだ …
続いて 与助が …
「だっだっだっ …駄菓子屋の~ はっはっ…はな坊に聴いたんだぁ ~! 」
と 涙目で 叫んだ …
最後に 信太 は …
「助けて~! 助けてくれ~!」
っと 今の三人をなのか 村の事なのか …
定かでは無いが そう泣きながら 叫んだ …
ふわぁ~ っと 辺りを取り巻く 冷気が消え…
「どうぞ … お進み下さい … 旅の方 … 」
と 女の 声が 辺りに 木霊した …
三人 は ゴクリッと 唾を飲み込み 緊張しながらも 山奥へ 前へ 前へ と進んだ …




