~ 巫女を求めて ~
約束の 一辰刻となり 三人は橋で 落ち合い 其から 互いに 聴いた話しを 聞かせ合った …
信太 は 洗濯をしていた 老婆から聴いた話しとして …
「京の都を出て直ぐの ボロ屋に タエと言う娘がいてな 其の娘が 神降ろしって言って 神からの 御告げをするって聴いた … 何でもな 困っているから 助けるって言って 大根 一本でも 御告げをくれるってよ … 」
と 与助 と 末吉 は …
「へぇ~ そりゃ 違いなく 巫女様だなぁ …」
と 頷いた …
次に 末吉 は 反物問屋から 聴いた話しとして …
「太子様 付きの 巫女様方は あの でっけぇ塔で 朝日が昇る頃から 日暮れまで 毎日 神に祈ってるんだと… 国中の あちこちから 神通力を持つ 巫女様が 太子様の命令で 京に集められてるんだと … 此の国の災いを無くす為だって言ってな … で 団子屋の 姉ちゃんの言った通り 御神託を貰うには 沢山 銭がいるらしい… 俺な 村から持って来た反物見て貰ったんだけどな … 笑われた … これっぽっちじゃ って な …」
と 末吉 は 俯いた …
信太 と 与助 は …
「そっかぁ … それじゃぁなぁ … 」
と ガッカリしたように 言った …
最後に 与助 が 駄菓子屋の 娘から聴いた話しをした …
「その娘は まだ 七つなんだが 確りしててよぉ~ 勘定も達者でなっ …あっ !いやぁ~ すまねぇ 一つだけ 買っちまってぇ … 其より 其の子 名は はな ってんだが はな坊の話しだと 京の都を 俺達が 来た道と逆の道に抜けて暫く歩いて 山に入るんだと そしたら其所に 小さい寺があんだと … 其の寺に住んでる ナツムって言う 女が はな坊を助けたってんだよ! はな坊 は 生まれて直ぐに山に捨てられてたんだが ナツムって女に拾われて 駄菓子屋の子 … 養子ってのになったんだってよ … 其でな はな坊 三つ と 五つの時 に 流行り病で 死にかけたんだが …駄菓子屋の両親が 其の ナツムって女の所に連れてって 二度とも 救われたってんだよ ~ で はな坊 の話しだと 太子様の所の巫女様は皆 綺麗だけど 冷たくて意地悪だって … でも… ナツム 様って女は 違って 温かく 優しい… だから 本物 の 巫女様は ナツム様だって… はな坊 の 名前を言えば きっと 困り事を何とかしてくれるって … あっ ! 其にな 太子様からの遣いも 何度も訪れてるが ナツム様は 首を横に振り 太子様の元へは 絶対に行かない!と そう言ってるんだとよ … 」
信太 と 末吉 は …
「其は 本物に違いないな!」
と そう 頷いた …
其から 三人は 再び話し合い …
先ずは 太子様の元の巫女様の居る 塔へと向かい 其が駄目なら タエ と ナツム の元を訪ねようと 決めた …
何れにしても 何もせず 村に戻る事は 出来ないのだから … と …




